映画『リリーのすべて』に影響を与えた画家ヴィルヘルム・ハンマースホイ

新年最初に観た映画は『リリーのすべてThe Danish Girl)』でした。

リリーのすべて』は、1920年代に世界で初めて性別適合手術に挑んだデンマーク人の話です。同名の原作(邦題は『世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語』)が元になっています。

イラストレーターの妻ゲルダに女性を描くためのモデルになることを頼まれ、女装をしたことがきっかけで、内なる女性性に目覚めた風景画家のエイナル。リリーという名で表に出るようになるにつれ、エイナルのアイデンティティが覆っていきます。

性別を超えた愛の実話

驚くのは、エイナルの変化をゼルダが支え続けたこと。まだ「トランスジェンダー」という言葉もない頃に、エイナルの変化を真に受け止めることは、相当な努力が必要だったのではないかと思います。

それでも、たとえリリーとしてのアイデンティティがどれだけ強くなっても、ゲルダがエイナルのそばを離れず全てを受け入れ続けたところに、私は性別を超越したとてつもない愛を感じました。

女装すると完全に女性にしか見えないエディ・レッドメインさんはもちろん、ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルさんも素晴らしい演技です。ちなみにアリシア・ヴィキャンデルさんは『エクス・マキナ』のアンドロイド役の人でもあります。

映画の世界観に影響を与えたヴィルヘルム・ハンマースホイ

この映画はコペンハーゲンで撮影されましたが、トム・フーパー監督は制作にあたって、デンマークを代表する画家の一人ヴィルヘルム・ハンマースホイの作品を参考にしたそうです。

上の映像でもハンマースホイの作品と実際の映像が比較されていますが、確かに世界観が似ています。

Vilhelm Hammershoi - Interieur mit Rueckenansicht einer Frau - 1903-1904 - Randers Kunstmuseum.jpg

(”Vilhelm Hammershoi – Interieur mit Rueckenansicht einer Frau – 1903-1904 – Randers Kunstmuseum” by Vilhelm Hammershøihttp://www.um.dk/Publikationer/UM/Deutsch/DanischeThemen/BildendeKunst/html/chapter01.htm, http://isabelledescharbinieres.hautetfort.com/archive/2006/05/29/de-la-modestie-des-femmes.html. Licensed under Public Domain via Commons.)

Hammershoi Ida Reading a Letter.jpg

(”Hammershoi Ida Reading a Letter” by Vilhelm Hammershøihttp://artmarketmonitor.com/wp-content/uploads/2012/06/Lot-30-Hammershoi-Ida-Reading-a-Letter.jpg and http://artdaily.com/index.asp?int_sec=11&int_new=55938. Licensed under Public Domain via Commons.)

トム・フーパーさんの映画は品性を感じさせるので私はとても好きですが、ハンマースホイの世界観はまさにぴったりです。

私が最も好きなトム・フーパー作品