世界で注目が高まっているシリア難民問題。私も理解しようといろいろ記事を見ていると、ニューズウィーク誌の記事『Syrian Refugees: All You Need to Know(シリア難民:知っておくべきこと)』がわかりやすそうだったので読んでみました。
この記事を書いている人は、レバノンの首都ベイルートから戻ったばかり。ベイルートでは多くのシリア難民や関係者に話を聞き、ヨルダンやトルコでも難民支援について調査をしていたそうです。
シリア難民発生のきっかけ
シリア難民は、2011年の「アラブの春(Arab Spring)」によって引き起こされたシリアの内戦(civil war)によって発生しました。バッシャール・アサド政権打倒派に対する政府の弾圧や、勢力を増すイスラム過激派グループにより、状況はどんどん混沌化。
シリア難民を受け入れている中東地域の状況
レバノン、トルコ、ヨルダン、イラクのクルド地域、そしてエジプトで受け入れられているシリア難民の数は約400万人。
( “Syrian refugees in the Middle East map en” by Furfur – Ishaan Tharoor: The Arab world’s wealthiest nations are doing next to nothing for Syria’s refugees, The Washington Post, September 4, 2015
Syria’s refugee crisis in numbers, Amnesty International, 4 September 2015
Jay Akbar: Revealed: How the five wealthiest Gulf Nations have so far refused to take a single Syrian refugee, Daily Mail, 4 September 2015
svg source: This file was derived from:
Syrian refugees in the Middle East map.svg. Licensed under CC BY-SA 4.0 via Commons.)
これらの国ではもはやこれ以上シリア難民を受け入れることが厳しくなってきています。そこでシリア難民たちが向かっているのが、ヨーロッパというわけです。
シリア難民の支援状況
2015年にシリア難民支援に求められている支援金55億ドルのうち、現在は約1/3が集まっている状況。集まった支援金は食料や避難所、公衆衛生に使われているほか、医療や教育、防御にも役立てられています。しかし、必要なのは支援金だけではありません。
しかしシリアはもともと貧しい国ではありません。貢献できる人材は豊富です。
前述の通り、ヨーロッパは積極的な受け入れを示していますが、実はアメリカはまだそこまで受け入れに積極的ではありません。記事にも出ていますが、アメリカは世界トップとなる5億7400万ドルもの寄付をしている一方で、シリア難民の受け入れはわずか1500人に留まっています。
【記事全文】
Syrian Refugees: All You Need to Know
アメリカの難民受け入れ事情
ニューヨーク・タイムズ紙の記事『Ex-Officials Urge White House to Accept More Syrian Refugees(元当局者がホワイトハウスにシリア難民をもっと受け入れるよう要請)』によると、一応ホワイトハウスは来年にかけて1万人のシリア難民を受け入れる意向を示してはいるものの、それでもまだまだ足りないとの見方が強いようです。
実際、アメリカは以前はもっと難民受け入れに寛容でした。1979年にはベトナムから11万1000人の難民を受け入れており、その数は翌年には倍の20万7000人に膨らんでいます。またキューバからも同時期に、マリエル事件(Mariel boatlift)による難民を12万人以上受け入れていました。特にベトナム系アメリカ人のコミュニティは、今はすっかりアメリカに根付いています。
しかし、難民受け入れの数は9.11を機に縮小。現在は難民受け入れの上限が年間7万人と決まっています。
【記事全文】
Ex-Officials Urge White House to Accept More Syrian Refugees – The New York Times
今回の問題を機にアメリカの難民受け入れもまた少し緩和されるのでしょうか。