夫婦の正しいけんかの仕方を学ぶ

しょうもないことが発端で、夫ジェガーさんとけんかをしてしまいました。

その時に、ふと昔ジェガーさんが「うちらけっこう当てはまってるで!」と言いながら、Psychology Today 誌の『10 Habits of Happy Couples(幸せなカップルの10個の習慣)』という記事を見せてくれたのを思い出しました。

改めて読んだところ、特に以下が刺さりました。

If and when they have a disagreement or argument, and if they can’t resolve it, happy couples default to trusting and forgiving rather than distrusting and begrudging.

(意見の相違があったり、けんかをしたりして、それを解決できない時、幸せなカップルは不信感や嫉妬心を持つのではなく、相手を信じて許します。)

10 Habits of Happy Couples | Psychology Today

これは、ジェガーさんと私が今最も心がけていることです。相手を許すということは、相手を信頼して受け入れるということ。私は頑固で、一度けんかするとなかなか相手を許せなかったりもするので、これは本当に課題です。

でも、けんかをするということは勝ち負けを決めることではありません。お互いに「ここまでは許せる」「ここまでは許せない」という境界線を引き合いながら、両者にとってベストなラインを見出せるのが良いけんかだと言えます。

けんかの発端はしょうもないことが多いですが、一見細かいことにことにこそ、「ここまでは許せるけどここまでは許せない」というこだわりが表れやすいようにも思います。

けんかと向き合う

ジェガーさんとけんかして、乗り越える時、私はよく村上春樹さんの言葉を思い出します。

僕自身は結婚してから長い間、結婚生活というのはお互いの欠落を埋めあうためのものじゃないかというふうにぼんやりと考えていました。でも最近になって(もう結婚して二十五年になるのだけれど)、それはちょっと違うのかなと考えるようになりました。それはむしろお互いの欠落を暴きたてる — 声高か無言かの違いはあるにせよ — 過程の連続に過ぎなかったのではないかと。

結局のところ、自分の欠落を埋めることができるのは自分自身でしかないわけです。他人がやってくれるものではない。そして欠落を埋めるには、その欠落の場所と大きさを、自分できっちりと認識するしかない。(p.58)

『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』河合隼雄・村上春樹(新潮文庫)

私も結婚するまで、「結婚生活というのはお互いの欠落を埋めあうためのもの」だと思っていました。でも、春樹さんのおっしゃる通り、「自分の欠落を埋めることができるのは自分自身」でしかありません。

けんかをすると傷つきますが、それはきっと、傷口から自分の欠落した部分が見えてしまうから。でも、自分の欠落した部分は相手に埋めてもらうのではなく、自分で埋めなくてはいけません。辛い作業ではありますが、それを乗り越えると、いつも自分が前よりもう少し優しい人間になれたような気になります。今回も、けんかを乗り越え、ジェガーさんへの感謝の気持ちが増しました。

ジェガーさんと私はよく、「結婚生活におけるけんかはスーパーマリオの『ボス戦』に似ている」という話をするのですが、ジェガーさんと仲直りをした後はいつもなんだか2人でボスをやっつけたような達成感を得ます。ボスを倒すことで、自分たちのレベルがアップして次のステージに進んだような気になるのです。

できればけんかはしたくありませんが、けんかから学ぶことも多いです。