活弁士付きで楽しむ!小津安二郎監督のサイレント映画『浮草物語』(1934)

週末、近くの映画館で小津安二郎監督のサイレント映画『浮草物語(A Story of Floating Weed)』(1934)が上映されると知り、喜び勇んでジェガーさんと観に行ってきました。

今回の上映はなんと、実験的音楽 & パフォーマンス・グループの『青野実験アンサンブル』とのコラボレーションで、生演奏と活弁士付きで楽しめるというもの。しかも活弁士はバイリンガルです。

You're in for a global audiovisual treat this Saturday! Aono Jikken Ensemble (青野実験アンサンブル) performs a new live score – a…

Posted by SIFF on Wednesday, July 8, 2015

ジェガーさんも私も『浮草物語』はすでに観たことがありますが、生演奏や活弁士が付くとどんな感じになるのか全く想像できなくて、わくわくして行ってきました。

会場に着くと、ほぼ満席。スクリーンの前にはいろいろな楽器が用意されています。

A Story of Floating Weeds_SIFF

日本らしい情緒あふれる音楽で映画が幕を開けると、まずは汽車が到着するシーン。するとパーカッション担当の人が太鼓や笛などを使って汽車のサウンドを再現し始めました。活弁士さんはセリフの画面以外のところもセリフを入れてくれて、サイレント映画なのにその場の情景がありありと目に浮かんできます。

しかもバイリンガル活弁士さんなので、英語と日本語を駆使。セリフの画面は日本語のみで英語字幕がないので、英語がメインでしたが、タイミング的に余裕があれば日本語も織り交ぜていて、そのバランスが実に見事。音のタイミングも、言葉のタイミングも、完璧です。

小津安二郎監督の映画は家族の関係を捉える作品が多いですが、『浮草物語』(1934)も、旅芸人として各地を回る生活をする父親と、健気に学問の道を進む息子の話です。父親は職業柄、息子に自分が父親だと名乗れず、女手一つでたくましく育てられていく息子の成長を見守るばかり。ところがそれを愛人が嗅ぎつけて、邪魔をしようとしてきます。

父親が「息子には自分のように育って欲しくない」という固い信念を貫いてきた甲斐もあり、息子と父親とは全然似ていないように見えます。でも、やはり二人には同じ血が流れていると実感する場面がところどころあり、家族の妙を感じさせました。

「来年は(徴兵)検査だもの」「甲種(合格)だな」といったセリフや、人々の暮らし方にも、時代が感じられます。

ちなみにこの作品は、1959年に小津安二郎監督自ら『浮草(Floating Weeds)』としてリメイクしています。

以下のシーンは一つ前の動画と同じシーンだと思われますが、セリフがやはり時代に合わせて「今時」になっています。

『浮草』は未見なので、両方観ていろいろ見比べてみたいです。