日本の TPP 参加に関するコラム記事で目にした「bilateral」の意味とは?

先週金曜に、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加を正式表明した日本。

Leaders of TPP member states

Leaders of TPP member states

(2010年の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する各国首脳の集い:(左より)日本、ベトナム、オーストラリア、チリ、シンガポール、アメリカ合衆国、ニュージーランド、ブルネイ、ペルー、マレーシア。このうちチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイは締結済み、他は当時参加交渉段階。By Gobierno de Chile (14.11.2010 Gira a Asia) [CC-BY-2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/2.0)], via Wikimedia Commons

アメリカではあまりニュースで大きく話題になっているようには思いませんでしたが、CNN のブログにピュー研究所(Pew Research Center)のブルース・ストークス(Bruce Stokes)氏が書いた記事がアップされていたのを見つけたので、読んでみました。

すると、「bilateral」という言葉が目につきました。

But trade relations have long been a neuralgic irritant in bilateral relations.

A more positive bilateral public disposition is no assurance of success for the TPP negotiations. Washington will want openings of the Japanese rice and auto markets that Tokyo will resist.

ポイント

“bilateral”〔発音〕はこの場合「二国間の」という意味で使われています。

bilateral | Longman Dictionary

bilateral: involving two groups or nations

(2つのグループ間、あるいは2国間という意味ですね!)

補足

というわけで記事の内容を具体的に見ていくと、まず冒頭、日本の TPP 参加に嬉しい驚きを隠せないストークス氏。国民の不信や敵意がむきだしになっていた25年前と異なり、今は支援的な動きが今は見られると言ってはります。

過去数十年にわたり、アメリカは概して日本に対して好意的な意見を持っていました。1990年に自動車や米、その他の品に対して日米の争いがピークに達しそうになった時も、タイムズミラーの調査によるとアメリカ人の2/3近くは日本に対して良い印象を持っていたそうです。ペン研究所の調査によると、2009年でもアメリカ人の67%が依然として日本に好意的だったそう。

でも、貿易関係に関しては、ぴりぴりした状態が長く続いていました。1989年、アメリカ人の63%が日本は不公平な貿易を行っていると信じ、半数超の人が日本からの輸入品に対する関税率を上げて欲しいと思っていたとのこと。1995年には、アメリカ人の61%が、日本からの高級輸入車に対して輸入税を課すビル・クリントン元大統領の決定を認めています。

ところが、アメリカの気持ちはその後大きく変化。2010年の調査によると、5人に3人のアメリカ人がいまや日本との貿易を強化したいと考えているのです。これに対し、EU との通商関係を深めたいという人は58%、中国との貿易を強化したいという人は45%にとどまっています。

このような変化が起こった理由の一つとして考えられるのは、おそらく中国が日本に代わってアメリカの最大貿易競争国になったことかもしれない、とストークス氏。1990年、アメリカ製品の貿易赤字の40.7%を日本が占める一方、中国は10.3%のみだったのですが、その後2012年までに日本はわずか10.5%まで減り、中国が43.3%を占めるようになりました。

「今日においては、アメリカ人の10人に4人が中国を世界最大の経済大国とみなし、アメリカにとって最大の競争相手国だと思っていることはさほど不思議ではない」とストークス氏。最近行われたピュー研究所の調査によると、アメリカ人の49%が、経済問題に関して中国に強気であって欲しいと思っているそうです。一方日本については、1990年には半数の人が日本を世界一と見なしていたのに比べ、現在日本を経済強国とみなしている割合はわずか6%となっています。

また日本側も、アメリカに対する見方が著しく良くなっているとストークス氏。読売新聞の調査によると、1993年には日本人の37%が日米関係を良好だと考えていたのに対し、2002年にはその割合が75%にアップしています(後者はピュー研究所の調査より)。

日米貿易関係に対する日本の姿勢も向上。米国文化情報局(USIA)の調査によると、1994年には日本人の40%が「アメリカの政策や行動が日本経済に悪影響を害している」と考え、半数以上の人が「アメリカが日本の製品を米国市場で売れにくくさせている」という意見を持っていたのに対し、現在では48%の日本人が「日本は TPP に参加するべき」と考えているとの調査が出ています(後者は昨年11月に行われた朝日新聞の調査より)。

これらが TPP 交渉において追い風になることを期待するストークス氏。交渉が難航して国民の意見が傾いても、一世代前よりはずっと良好な地点から交渉は始まるので、それ事態が注目に値すべきことだ、と締めくくられています。

というわけで、細かくデータに裏付けられたコラムでしたが、一番前向きなのはこのスタークス氏なんちゃうかというようにも感じられます。果たして TPP 交渉、スタークス氏の期待通りに進むんでしょうか。