全米でも公開!宮崎駿監督ジブリ最新作『風立ちぬ』

昨年9月にスタジオ・ジブリの宮崎駿監督が引退を表明。当時私は・・・

Tatsuo Hori

宮崎駿監督の作品では私は『となりのトトロ』と『魔女の宅急便』が断トツで好きなんですが、話題の『風立ちぬ(The Wind Rises)』をまだ観ていないので、こちらでも早く公開してもらいたいです。

ちなみに最新情報によると、全米では来年2月21日に公開予定だそうです!・・・ああ、待てない!!!

via 6秒で伝える!宮崎駿監督引退に寄せられたトリビュート VINE 動画10選 : ツカウエイゴ

と書いたのですが、その後『風立ちぬ(The Wind Rises)』が全米で無事公開され、この度やっと観ることができました。

この作品の題名「風立ちぬ」は堀辰雄の同名の小説に由来する。ポール・ヴァレリーの詩の一節を堀辰雄は“風立ちぬ、いざ生きめやも”と訳した。この映画は実在した堀越二郎と同時代に生きた文学者堀辰雄をごちゃまぜにして、ひとりの主人公“二郎”に仕立てている。後に神話と化したゼロ戦の誕生をたて糸に、青年技師二郎と美しい薄幸の少女菜穂子との出会い別れを横糸に、カプローニおじさんが時空を超えた彩どりをそえて、完全なフィクションとして1930年代の青春を描く、異色の作品である。

via 風立ちぬ メッセージ

風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)
ポール・ヴァレリーの詩の一節「風立ちぬ、いざ生きめやも(原文:Le vent se lève, il faut tenter de vivre.)」は、映画の一番始めと、途中にも何度か出てきたので、とても印象に残っています。

少年期から青年期へ、私達の主人公が生きた時代は今日の日本にただよう閉塞感のもっと激しい時代だった。関東大震災、世界恐慌、失業、貧困と結核、革命とファシズム、言論弾圧と戦争につぐ戦争、一方大衆文化が開花し、モダニズムとニヒリズム、享楽主義が横行した。詩人は旅に病み死んでいく時代だった。
 私達の主人公二郎が飛行機設計にたずさわった時代は、日本帝国が破滅にむかってつき進み、ついに崩壊する過程であった。しかし、この映画は戦争を糾弾しようというものではない。ゼロ戦の優秀さで日本の若者を鼓舞しようというものでもない。本当は民間機を作りたかったなどとかばう心算もない。
 自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたいのである。夢は狂気をはらむ、その毒もかくしてはならない。美しすぎるものへの憬れは、人生の罠でもある。美に傾く代償は少くない。二郎はズタズタにひきさかれ、挫折し、設計者人生をたちきられる。それにもかかわらず、二郎は独創性と才能においてもっとも抜きんでていた人間である。それを描こうというのである。

via 風立ちぬ メッセージ

さまざまなインタビューで宮崎さん自身も語っていましたが、このジブリ映画は、子ども向けというよりも、どちらかというと大人向けのジブリだと私も感じました。

実在の人物を主人公にしたのはスタジオジブリの長編では初めてだ。

 「二郎のことを僕が道楽でマンガにしていて、それをプロデューサーが映画にしないかと言ってきた。悩みましたね。自己主張をしない二郎は何を考えているか分かりにくいから、子供の観客が置いていかれるんじゃないか、と」

 その時に思い浮かんだのが、自身が子供の頃に見た映画だった。「小津とか成瀬とか、生きることのつらさが描かれていて、なぜこんな暗い映画を見なきゃいかんのかと思ってました。でもこうした作品が今も強く自分の中に残っている。子供の時に、分かりにくいものに接する体験には意味があると思い直しました」

via 朝日新聞デジタル:「風立ちぬ」、アニメの方程式崩す 宮崎駿監督新作 – カルチャー

小津作品と言えば、主人公の二郎の声を演じた庵野秀明さんの声には賛否両論があるのを目にしましたが、彼の朴訥とした話し方は、私には小津作品の常連だった笠智衆さんの声を思い起こさせました。

それをジェガーさんに言おうと、「そういえば主人公の二郎の声さ・・・」と言い始めたところ、ジェガーさんが「笠智衆さんみたいやったな」

「えっ!やっぱりそう思った!?」
「思った思った!」

笠智衆さんの話し方はとても味があって、ジェガーさんも私も大好きです。ジェガーさんに「その声の人な、本業はアニメーションの映画監督やねんで」と言うと、びっくりしてはりました。

個人的には、最後に流れたユーミンの『ひこうき雲』がまためっちゃ良かったです。

ユーミンがジブリ作品に主題歌を提供するのは『魔女の宅急便』以来実に24年ぶりだったそうですが、やっぱりユーミンとジブリの組み合わせは、私の中では最高です。