映画『ヘイトフル・エイト』は、絶対にシネラマ映画館で観るべき

2015年の映画収めは、クエンティン・タランティーノ監督最新作『ヘイトフル・エイト』でした。

本当は公開日の25日に観に行く予定が、なんとチケット完売。翌26日に観に行ったところ、久しぶりに劇場パンフレットをもらいました。

このパンフレットを読んで、今回の映画にタランティーノ監督の強いこだわりが詰まっていたことを知りました。

珍しい70ミリ映画

この作品に対するタランティーノ監督の特に大きなこだわりは、今は珍しき『ウルトラ・パナビジョン70』で撮影していること。

Ultra Panavision 70 refers to the very rare and exceptional format that Quentin Tarantino and his team used to shoot The Hateful Eight. Panavision’s unique anamorphic camera lenses capture images on 70mm film in an incredible aspect ratio of 2:76:1. Almost all films you see today are shot in ratios of either 1.85:1 or 2.39:1. So, to put it simply, Ultra Panavision 70 provides an amazingly wider and more detailed image.

（ウルトラ・パナビジョン70は、クエンティン・タランティーノ監督と制作陣が映画『ヘイトフル・エイト』の撮影に用いた極めて特別で珍しいフォーマットだ。パナビジョンのアナモフィック・レンズは、70ミリフィルムの縦横比を脅威の2.76:1で捉える。今日私たちが目にしているほとんどの映画は、1:85:1または2:39:1の比率で撮影されたものだ。つまり簡潔に言えば、ウルトラ・パナビジョン70は驚くべきほど幅広く、より充実したイメージを提供するのだ。）

『ウルトラ・パナビジョン70』で撮影された代表的な作品と言えば、『ベン・ハー』（1959）。

今回『ウルトラ・パナビジョン70』で映画が撮影されるのは、実に1966年の『ハルツーム（Khartoum）』以来約50年ぶりだそうです。

70ミリフィルム上映限定の「特典」

現在、70ミリフィルムの映画を上映できるところと言えば、シネラマ映画館くらいしかありません。

シネラマ映画館で観る！70mmフィルム映画祭で上映中の8作品 : ツカウエイゴ

そこでタランティーノ監督はシネラマ映画館と契約を結び、本編前に序曲を挟んだり、劇場パンフレットを用意したりして、かつての映画体験の復興を試みたとのこと。これらは、70ミリフィルム上映限定となっています。

The exclusive 70mm Roadshow engagement of The Hateful Eight pays homage to and recreates the grand film exhibition style popularized in the 1950s and ’60s and that brought audiences to theaters with the promise of a special event.

（『ヘイトフル・エイト』の70ミリ映画上映でのみ、1950年代から60年代にかけて人気を集めた、特典付きの劇場鑑賞を再現し、オマージュを払っている）

私がもらった劇場パンフレットも、「特典」の一環だったんですね！

タランティーノ監督を襲った悲劇

・・・ところが、そんなタランティーノ監督を12月、悲劇が襲いました。なんと、『ヘイトフル・エイト』公開の1週間前に全米公開となった『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』が、ホリデーシーズンも延長してシネラマ映画館で上映されることになったのです。

これにはタランティーノ監督、大ショック！ディズニーにブチ切れました。

Quentin Tarantino Pissed off at Star Wars and Disney | Collider

私たちも大ショックで、一応26日は急遽70ミリフィルムを上映すると発表した映画館に観に行ったのですが、スクリーンサイズが70ミリフィルムに対応していなかったため、映画の下に黒い余白スペースのある残念な状態で観賞せざるを得ませんでした。もうがっかりです。映画の冒頭でシネラマのロゴが表示されたのが、また切なくて仕方ありませんでした。

映画自体はジェガーさんも私もかなり気に入って、最近のタランティーノ作品の中で一番だと思ったので、スター・ウォーズが落ち着いてシネラマ映画館で『ヘイトフル・エイト』が上映されるようになったら絶対もう1回観に行きたいと思います。