映画『それでも夜は明ける』の制作陣による公開トークで耳にした「revelation」の意味とは?

年末年始は最新映画を観まくっていますが、先日は賞レースで有力候補と言われている映画『それでも夜は明ける12 Years a Slave)』(日本では3月7日公開予定)を観ました。

12 Years a Slave


その後、アカデミー賞の YouTube チャンネルに、『それでも夜は明ける』の制作陣による公開トークの映像が載っていたのでチェックしてみると、”revelation” という言葉が2度登場しました。

I wish — I really do feel like it was Patsey’s guidance to that revelation.(6:17)

Every page was a revelation.(9:39)

ポイント

“revelation”〔発音〕は “reveal” という単語から派生していて、「新事実」「発覚」など、いろいろな言葉に訳されています。「それまで見えていなかったものが見えるようになること」というニュアンスがあります。

revelation | Macmillan Dictionary

  1. a surprising piece of information
  2. a surprising and enjoyable experience that makes you realize something that you previously had not known
  3. the process of letting people know or see something that was previously hidden or secret
  4. a message that is believed to have come from God

(前者の文では 3.、後者の文では 2. の意味で使われています!4. は「啓示」という意味で、聖書『ヨハネの黙示録』は英語では “The Book of Revelation” と言います。)

つまり前者では「本当に、あの発見はパッツィの導きだったと思うんです」、そして後者では「どのページも驚きに満ちたものでした」と語られていたのでした。

補足

というわけで、この映画は、1853年に発表されたソロモン・ノーサップ(Solomon Northup)氏の同名の回顧録が原作になっています。
Twelve Years a Slave
ソロモンさんは、1808年ニューヨーク生まれ。音楽家として家族と共に幸せに過ごしていましたが、1841年に騙されて誘拐され、黒人奴隷として何部の州に売り飛ばされてしまいます。

そして12年間、奴隷として生きる運命を背負うことに。

ただ、もともと自由人として生活をしていたソロモンさんは、他の多くの奴隷とは異なり教養を身につけていました。そのことがソロモンさんのプライドを支え、後にソロモンさんを救うことになります。

主人公のソロモンを演じたキウェテル・イジョフォー(Chiwetel Ejiofor)を始め、パッツィ役として長編映画デビューを果たしたルピタ・ニョンゴ(Lupita Nyong’o)、2人と共にゴールデン・グローブ賞(Golden Globes Awards)にノミネートされたマイケル・ファスベンダー(Michael Fassbender)の演技がすばらしく、最後はめっちゃ感動。

でも実は最初、ジェガーさんはなかなかこの映画を一緒に観てくれようとしませんでした。

「タイトルからして、それ絶対暗い映画やん」
「でも、評価めっちゃ高いで」
「だって、『ハンガー(Hunger)』(2008)のスティーブ・マックイーン(Steve McQueen)監督やろ。観たら後味悪い気分になる気がする」

私は『ハンガー』を観ていないので何とも言えないのですが、1981年に北アイルランドの刑務所で起こったハンガー・ストライキ事件を生々しく描いた作品は、ジェガーさんにとって強烈なトラウマを残した様子。

それでもなんとか説得して一緒に観たところ、『それでも夜は明ける』はジェガーさんが思っていたほど衝撃的な場面はなく、ジェガーさんもほっと胸をなでおろしていました。

それでも一つ印象的だったのは、ソロモンが中途半端に首を釣られたまま、何時間も耐え続けるシーン。長いカットで、そのシーンだけ異様に長く感じられました。

ジェガーさんにとっては、そのシーンは最もスティーブ・マックイーンらしさが表れていたシーンだったそうです。

私はまだスティーブ・マックイーン監督の映画は『それでも夜は明ける』しか観ていないのですが、ジェガーさんがトラウマを植え付けられた映画『ハンガー』と、マックイーン監督の前作『SHAME -シェイム-(Shame)』(2011)も観てみたくなってきました。