映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の制作陣に向けて書かれた手紙で目にした「con」の意味とは?

先日『映画館で目にした「showtime」の意味とは?』という記事で、「映画館で『アメリカン・ハッスルAmerican Hustle)』(日本では1月31日公開予定)を観るか『ウルフ・オブ・ウォールストリートThe Wolf of Wall Street)』(日本では1月31日公開予定)を観るかで意見が分かれ、結局『アメリカン・ハッスル』を観ました」と書いたのですが、その翌日に『ウルフ・オブ・ウォールストリート』も観ました。

The Wolf of Wall Street


その後、ジェガーさんが『An Open Letter to the Makers of The Wolf of Wall Street, and the Wolf Himself | LA Weekly』(12.26.2013)なる記事を送ってきてくれたので、読んでみたところ、「conned」という言葉が2回出てきました。

I hate to be the bearer of bad news, dear Kings of Hollywood, but you have been conned.

via An Open Letter to the Makers of The Wolf of Wall Street, and the Wolf Himself

I was conned, too.

via An Open Letter to the Makers of The Wolf of Wall Street, and the Wolf Himself

ポイント

“con” は「信用させてだます」という意味です。

con | Macmillan Dictionary

con: to make someone believe something that is not true, especially in order to get money from them

(特にお金を騙しとる目的で、真実ではないことを他人に信じ込ませる、という意味なんですね!)

つまり、一文目は「悪いニュースを伝えるのは嫌だけど、ハリウッドの王者たち、あなたたちは騙されています」、そして2文目は「私も騙されていました」と書かれていたのでした。

ちなみに、『アメリカン・ハッスル』の公式サイトの「あらすじ」にも、”con man(詐欺師)” が使われていました!

A fictional film set in the alluring world of one of the most stunning scandals to rock our nation, American Hustle tells the story of brilliant con man Irving Rosenfeld (Christian Bale), who along with his equally cunning and seductive British partner Sydney Prosser (Amy Adams) is forced to work for a wild FBI agent Richie DiMaso (Bradley Cooper).

via American Hustle | Official Movie Site | Sony Pictures

補足

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、実在する実業家、ジョーダン・ベルフォート(Jordan Belfort)の自伝が原作になっています。
The Wolf of Wall Street
この人がトンでもない人で、26歳で証券会社を設立して年収4900万ドルを稼ぎ出し、10年間にわたって栄光を謳歌した後、36歳で奈落の底に突き落とされるという、目茶苦茶な人生を送ります。

冒頭の記事は、そんなベルフォートに自分の人生も目茶苦茶にされたというクリスティーナさんが、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督とレオナルド・ディカプリオ(@LeoDiCaprio)に対して書いた怒りの手紙でした。

クリスティーナさんは、ベルフォートと共に刑務所入りした幹部の娘さん。

I was 18 and a freshman in college when my father and his attorneys forced me to attend his trial at New York City’s federal courthouse so that he “looked good” for the jury — the consummate family man.

(父親とその弁護士が、ニューヨークの連邦裁判所での裁判に出席するよう言ってきた時、私は18歳で、大学1年生でした。私が出席すれば、彼が陪審に対し、欠点のない家庭的な男として「良い印象を与える」という目的からでした。)

via An Open Letter to the Makers of The Wolf of Wall Street, and the Wolf Himself

彼女の父親はクリスティーナさんの名前を使って不正資金を浄化し、最終的には10万ドル近い借金がクリスティーナさんの元に残ったそうです。家族の人生はその後、ぐちゃぐちゃになりました。

Let me ask you guys something. What makes you think this man deserves to be the protagonist in this story? Do you think his victims are going to want to watch it? Did we forget about the damage that accompanied all those rollicking good times? Or are we sweeping it under the carpet for the sale of a movie ticket? And not just on any day, but on Christmas morning??

(教えてください。この男が、物語の主人公に値すると思った理由は何でしょうか。被害者たちがそれを観たいと思うのでしょうか。楽しい過去の日々とともにあった被害のことは忘れてしまったのでしょうか。それとも、映画のチケットを売るために、都合よく隠してしまうのでしょうか。よりによって、クリスマスの朝に。)*注:アメリカでの公開日はクリスマスでした。

via An Open Letter to the Makers of The Wolf of Wall Street, and the Wolf Himself

クリスティーナさんは、この映画を支援することはウォール街のおおかみたちに餌を与えることになると警告し、人々に映画を観ないよう求めて記事を締めくくっています。

これに対し、レオナルド・ディカプリオが反応。CNN が記事にしていました。

Leonardo DiCaprio has a message for those who think his latest film “The Wolf of Wall Street” glorifies greed or condones the actions of those who bilked investors out of money: you have “missed the boat entirely.”

(最新作『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が、欲望を美化し、投資家たちを騙す人々の行動を大目に見ていると思う人たちに向け、レオナルド・ディカプリオは「完全に要点を把握し損なっている」とコメントしています。)

via Leonardo DiCaprio answers ‘Wolf of Wall Street’ critics – The Marquee Blog – CNN.com Blogs

このコメントは、HitFix によるインタビューの中で語られたもので、以下のリンクで全文読めます:

映画を観た私にも、マーティン・スコセッシはジョーダン・ベルフォートを美化しているようには見えませんでした。演出が派手なので、エンターテインメント作品にも見えますが、演出が派手だからこそ、私にはベルフォートが余計憐れに見えました。

でも、クリスティーナさんが言う通り、スコセッシ監督がどうしてベルフォートを映画化しようと思ったのかは、気になります。

・・・と思ったら、やっぱりみんな気になるみたいで、スコセッシ監督がインタビューで答えていました。

印象深いのは、スコセッシさんが “obsession(執着)” という言葉を使っていること。私も “greed(欲望)” よりこの言葉の方がしっくりきます。

とは言え、個人的にはあまり好きな作品ではなかったのですが、ディカプリオの演技はとても良かったです。ちなみに下の映像で知ったのですが、ディカプリオをスコセッシ監督に紹介したのは、ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)さんだったそうです・・・!