「wear」とちょっと違う「put on」の意味とは?
「さぁ、でかけるで〜!」とジェガーさんに言うと、”Let me put on my hat.” と言われました。
ポイント
“put on” は「身につける」という意味です。「身につけている」という状態を示す “wear” とは、少し意味が異なります。
- to cover a part of your body with a piece of clothing or jewelry so that you are wearing it
- to spread a cream, liquid, powder, or other substance on your skin or hair in order to make it softer, healthier, or more attractive
- put something on someone/something to cause something to affect someone or something
- if you put on weight, you become fatter
- put something on someone/something to risk a particular amount of money by trying to guess the result of a race or competition
- to pretend to have a particular feeling or a particular way of speaking or behaving
- to pass the telephone to someone so they can speak to the person you have been talking to
- to start cooking something
- to organize an event, show, performance, etc.
- to provide a bus, train, etc. for people to use
- to make a machine or piece of equipment start working, especially by pressing a switch
- to put a video, CD, etc. in a piece of equipment so that you can watch it or listen to it
- put someone on something to say what medical treatment someone should have
- to show a particular level of skill or ability in doing something, especially in a competition
- put someone on something to make someone responsible for dealing with something
- put something on something to record something in an account so that someone can pay for it later
- [INFORMAL] to try to make someone believe something that is not true
- put something on something [BRITISH] to add an amount of money to the cost or value of something
(put on という動作を経ることによって、wear の状態になるんですね。他にも “put on” は日常生活のさまざまな場面で、本当によく使われています!)
つまりジェガーさんは、「帽子かぶるわ」と言っていたのでした。
補足
デヴィッド・O・ラッセル(David O. Russell)監督の最新作『アメリカン・ハッスル(American Hustle)』(日本では1月31日公開予定)を観た時も、エイミー・アダムス(Amy Adams)演じるシドニーが、クリスチャン・ベイル(Christian Bale)演じるアーヴィンに “Put it on. Come on.(着てみてよ。ねぇ)”(0:15)と言っていました。
アーヴィンは、ドライクリーニング・チェーンを経営する天才詐欺師。なんでドライクリーニングやねん、と思いきや、上記のシーンを観ると、詐欺師だからこそドライクリーニングに目をつけたのかもしれない、と思わされます。
そんなアーヴィンを演じるのが、私の最も大好きな俳優の一人であるクリスチャン・ベイル。彼は作品によってとことんキャラ作りを徹底させることで知られていますが、今回もその風貌にびっくり!
お腹がでっぷり出ているのです。1年前はムキムキのバットマンを演じていたのに・・・!
これまではどちらかというと体を絞る方向が多かったので、「ついに・・・」という感じです。
髪の毛も「ハゲ」という設定になっていて、冒頭のシーンが衝撃的。顔が出てくるまで、冒頭で髪の毛をセッティングしている人がクリスチャン・ベイルだと気がつかないほどでした。
でも、演技力はさすが。ゴールデン・グローブ賞にも、コメディ・ミュージカル部門で主演男優賞にノミネートされています。
Golden Globes Awards | The Hollywood Foreign Press Association®
ところでこの映画、話の筋はトンでもないのですが、1979年に実際にあった「アブスキャム事件」が基になっています。「アブスキャム(Abscam)」というのは ” Arab Scam” を短くした言葉で、この捜査に対する FBI のコードネーム。
映画の冒頭で “Some of this actually happened.(一部は実際に起こりました)” と表示されたので、私はてっきり一部しか事実に基づいていないのかと思っていましたが、実際はかぶる点がたくさんあるみたいです。
Yahoo Movies の記事『Fact vs. Fiction in ‘American Hustle’: All the Hairy Details! | Yahoo Movies | Yahoo Movies』(12.27.2013)によると、クリスチャン・ベイルの演じたアーヴィンは、『The Sting Man: Inside Abscam』という本に描写されているメル・ワインバーグ(Mel Weinberg)という人物がモデルになっているそう。
メル・ワインバーグもアーヴィンも共にガラス産業に関わり、妻と愛人(mistress)を FBI の捜査に協力させています。
ワインバーグは現在80代で、フロリダに住んでいるそうですが、英テレグラフ紙のインタビュー記事『American Hustle: the man behind the scam – Telegraph』(12.16.2013)によると、権利を映画『アメリカン・ハッスル』のプロデューサーに25万ドルで売却したと語ったそう。
アーヴィンの愛人を演じるエイミー・アダムスは、ワインバーグの愛人で後に妻となるエブリンがモデルになっています。
また、ジェレミー・レナー(Jeremy Renner)演じるニュージャージー州のカーマイン市長も、アブスキャム事件に関わっていた市長がモデルになっています。
各登場人物の風貌は必ずしもモデルに即しているわけではなく、映画の終わり方も現実と少し異なるそうですが、実際の事件で検挙された汚職政治家の数は、映画よりもずっと多かったとのこと。
詳細→ Fact vs. Fiction in ‘American Hustle’: All the Hairy Details! | Yahoo Movies | Yahoo Movies
アーヴィンの “天才詐欺師” としての活躍ぶりは映画の前半で描かれるのですが、先ほどのテレグラフ紙の記事には、メル・ワインバーグの詐欺ビジネスについても詳しく関われていました。
中でも興味深かったのは、以下のくだり。
Weinberg knew that the key to success was looking the part: his office was always in a nice building; he bought the best furniture, the most expensive desks. “I had a big Lincoln limousine which I bugged,” he says. “So by the time clients arrived at the office I knew all about them.” Weinberg was so convincing that on one trip to Texas, a lawyer to whom he was extending a fraudulent loan arranged for him to use the plane belonging to the state governor. He was subsequently made an honorary citizen of Texas.
(ワインバーグは、成功の鍵が見た目にあることを心得ていた。彼のオフィスはいつも良い建物の中に位置していた。最高級の家具、そして最も高価な机を揃えていた。「私は大きなリンカーン・リムジンを持っていて、盗聴用マイクを仕掛けていました」と彼は言う。「だから、クライアントが到着する頃には、私は彼らのことを何から何まで知っていたんですよ。」ワインバーグはとても説得力があるので、テキサスへ行った時には、不正ローンを貸し付けていた人の弁護士が、州知事の飛行機を使わせてくれたこともあったという。その後、彼はテキサス州の名誉市民となった。)
おそるべし人です。映画についても語っていて、クリスチャン・ベイルと面会した時に、”You never get excited, do you?(感情の起伏がないんですね)” と聞かれて “It’s important never to show a person you’re getting upset.(イライラしているところを絶対に人に見せないのが大事なんだよ)” と答えたとか。
さらに、映画を観てアーヴィンが緑のジャケットを着ているのを見て “Wise guys dress in dark clothes. It’s just how you dress.(賢い男は地味なジャケットを着る。そういうもんなんだよ)” と語ったそう。
詐欺師の哲学が、一言一言に溢れています。
詳細→ American Hustle: the man behind the scam | Telegraph
ちなみに、タイトルの “hustle” は、私は「ハッスルする」などの「ハッスル」だと思っていたのですが、「だまし取る」という意味で使われているそうです。
- to make someone move quickly, especially by pushing them roughly
- [American English] to do something with a lot of energy and determination
- [American English] to hurry in doing something or going somewhere
- [American English] to sell or obtain things in an illegal or dishonest way
- [American English] [informal] to work as a prostitute, or to be in charge of prostitutes
日本語の予告編では、「詐欺(俗語)=ハッスル」と紹介されていました!