香港の民主派デモを理解する
香港でのデモが勢いを拡大し続けています。現状を理解するために、香港の歴史をふりかえってみました。
香港の特殊な立場
もともとイギリスの直轄植民地(crown colony)だった香港。1984年に中英共同声明(Sino-British Joint Declaration)が発表され、香港が中国に1997年に返還されること、そして「一国ニ制度(One Country, Two Systems)」が香港返還後50年にわたって(2047年まで)続くことが定められました。
1990年、香港の憲法とも言うべき「香港基本法(Hong Kong Basic Law)」成立。1997年、香港は中国に返還され、一特別行政区(special administrative region)になりました。ここまでは私も世界史で習ったので覚えています。
デモの原因は?
香港の政治の仕組みについては、現在は間接選挙で、トップの行政長官(Chief Executive of Hong Kong)は選挙委員会(election committee)によって選出されているようです。香港基本法は「2007年以降に直接選挙の導入を認める」としていましたが、中国政府が「2007年以降というのは、2007年という意味ではない」という解釈を示し、実施が怪しくなっていきました。
2007年、中国は2017年の行政長官選挙に直接選挙(popular vote)を導入すると決定したものの、今年の夏になって立候補の条件に「選挙委員会から過半数の賛成を得ること」という条件を付与。「それでは真の普通選挙ではない」として市民たちが立ち上がり、現在の民主化デモへと発展しています。
What you should know about the protests in Hong Kong http://t.co/WFrt2bj8kv pic.twitter.com/yXX4OD1hkp
— The New York Times (@nytimes) October 1, 2014
このデモは、市民たちが催涙ガスから身を守るために傘を使って抵抗していることから、「雨傘革命(Umbrella Revolution)」とも言われています。
TIME’s new cover in Asia: Hong Kong’s Umbrella Revolution http://t.co/ARkVV1Nb2k #OccupyCentral #OccupyHK pic.twitter.com/1XcWgUtUgg
— TIME.com (@TIME) October 3, 2014
デモにもテクノロジーを駆使
一方、私が香港のニュースを追っていて気になるのは、デモとテクノロジーの関係。2011年のエジプト革命の時もそうでしたが、香港で起きているデモでも、テクノロジーが駆使されています。特に私が気になるのは FireChat というアプリ。
この FireChat の画期的なところは、WiFi や電波がなくても使えるところです。どうやってメッセージを送受信するのかと思ったら、Bluetoothと Wi-Fi シグナルを使うそうです。チャットルームにアクセスして公にメッセージのやりとりをするので、個々のやりとりはできませんが、Bluetooth の届く半径200メートル内で「警察がどのあたりにいるか」「どのエリアがブロックされているか」などの情報交換が行われているそう。半径200メートルというのはだいたい20歩くらいです。以下の動画で実験されています。
FireChat は、民主化デモの17歳のリーダー、ジョシュア・ウォンさんが周囲に勧めたところから香港で爆発的に広がったと言われています。
香港デモを率いる17歳少年、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)とは何者か? | NAVER まとめ
ちなみに、『In Hong Kong’s protests, technology is a battlefield – Quartz』という記事によると、香港はなんと携帯所持率が驚異の237%だそう。平均1人2台も携帯を持っているんですね!
その驚異の携帯ネットワークが、香港市民のライフラインになっているようです。
ただし、FireChat はメッセージが公開されるため、懸念点も御留意を。
ネットのいらないチャットアプリ「FireChat」、香港のデモで利用急増中 « WIRED.jp