映画『グランド・ブダペスト・ホテル』で耳にした「flirt」の意味とは?
先週は、ジェガーさんと私の間で話題のウェス・アンダーソン(Wes Anderson)監督最新作『グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)』(日本は6月6日公開予定)を観に行ってきました。
その予告編で耳にしたのが、”flirt” という言葉。レイフ・ファインズ(Ralph Fiennes)さん演じるグスタヴ・Hが、ロビー・ボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ:Tony Revolori)の前でアガサ(シアーシャ・ローナン:Saoirse Ronan)に “She’s charming. She’s so charming.(魅力的な女性だ)” と嬉しそうに言い、ゼロがアガサに “Is he flirting with you?”(0:30)と言っています。
ポイント
“flirt” は、この場合「口説く」という意味で使われています。
flirt: to behave towards someone in a way that shows that you are sexually attracted to them, although you do not really want a relationship with them
(特に深い関係になることを望まずに、性的な興味を持った態度で接する、という意味なんですね〜)
つまり、ゼロは「今この人口説いてる?」と言っていたのでした。ちなみにそのセリフは、日本語の予告編では「口説かれた?」(0:28)となっていました!
補足
ゼロが目を光らせるのも無理はありません。というのもこのグスタヴ・H、とんでもない女たらしだからです。
グランド・ブダペスト・ホテルのコンシェルジュとして、グスタヴ・Hは数々の女性顧客をもてなし、上顧客の多くも彼を目当てにホテルに来ていました。そのうちの一人が、ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)さん演じる84歳のマダム・D。ところが、そのマダム・Dが殺人に遭い、容疑がグスタヴ・Hさんにかかります。逃げるグスタヴ・H。追う警察。
ミステリー要素あり、アドベンチャー要素あり、ロマンティック要素あり、コメディ要素ありの、何でもありの映画でした。
一番の魅力は、何と言ってもそのキャストです。ありえないほど豪華。主役級の俳優がチョイ役でぞろぞろ出ていて、度肝を抜かれます。
しかもみんな楽しそう。個人的には、84歳のマダム・Dを演じたティルダ・スウィントンさんと、殺し屋ジョプリングを演じたウィレム・デフォー(Willem Dafoe)さんは特に楽しんではったのではないかと思いました。
そして、舞台セットも魅力的。相変わらずの凝った演出です。ロケ地巡り好きとして胸が高鳴るのは、このホテルのモデルが、ドイツの小さな街ゴエルリッツ(Görlitz)に実在すること。
下の映像によると、もともとアンダーソン監督はホテルを探し続けていたそうなのですが、なかなか見つからず、諦めかけていたところに古いデパートを発見。それがこのホテルの舞台となったそうです。すごく趣があって、素敵です。
しかも、街の撮影も、同じゴエルリッツで撮影しているそう。こんなかわいい街が存在するなんて、信じられません。
ウェス・アンダーソン監督の映画はいつもいつも絵本みたいで、毎回そのクオリティは上がっているように思います。でも個人的には、今まではストーリーが追いついていないように感じていました。観ていて楽しいのは楽しいのですが、ちょっと物足りない余韻が残るのです。
でも今回は、観ていて楽しくて、ストーリーもよく練られていて、大満足。彼の実写映画の中では本作が一番お気に入りです。
ちなみに、彼の作品全部の中では、断トツで『ファンタスティック Mr.FOX(Fantastic Mr. Fox)』(2009)がお気に入りです!