映画『ベイビードライバー』が革新的な理由
エドガー・ライト監督と言えば、ちょっとマニアックで下世話な作品のイメージが強く、正直今まであまり好きではなかったのですが、最新作の映画『ベイビードライバー(Baby Driver)』(日本は8月19日公開予定)を観てイメージが一新!カッコよすぎて痺れました。
でも、実はこの映画、ただカッコ良いだけではありません。アクション映画として、驚くほど革新的でもあるのです。
映画全体がまるでミュージックビデオ
『ベイビードライバー』の主役は、ベイビーフェイスの逃し屋ドライバー、その名も “ベイビー”。天才的ドライビング・センスを持つ彼は、一見普通の青年ですが、強盗犯たちを車で逃す特殊な仕事を請け負っています。
“ベイビー” は常に音楽を聴いていて、オープニングも彼が車の中で音楽を聴くところから始まるのですが、リズムに合わせて役者たちが動くのが実に軽快。と思ったら、なんと、アクションシーンも音楽のリズムに合わせて進んでいきます!まるでシーン全体がミュージックビデオのよう。
実はこのシーン、エドガー・ライト監督が2003年に手がけたミント・ロワイヤルのミュージック・ビデオ『Blue Song』のオマージュとなっています。
GQ のインタビューによると、もともと『ベイビードライバー』のアイデアが先にあったそうですが、『Blue Song』のミュージック・ビデオを制作するに当たってどうしてもいい考えが思い浮かばず、映画の案を使ったそう。
15年以上かかって、ようやくアイデアが映画として実現したんですね!
アクションと音楽が完全に一体化
音楽が重要な役割を果たしている映画はたくさんありますが、音楽がアクションと一体化した映画はほとんどありません。以下の映像によると、『ベイビードライバー』は脚本自体が音楽をベースに作られていて、役者はもちろん、銃撃戦やカーチェイスの動きなども完璧に音楽に合わせて撮られたそうです。もやはミュージカル・アクション映画。
以下の予告編の『TeKillYah』バージョンも、映画の雰囲気をよく伝えています。
ストーリー自体は後半がけっこうハチャメチャで、ツッコミどころもありましたが、音楽と映画の相性が良すぎて、映画を観た後サウンドトラックを速攻ダウンロードしてしまいました。
演技派役者揃い
主役の “ベイビー” を演じているのは、人気急上昇中のアンセル・エルゴートさん。“DJ アンソロ” としても活躍しているだけあって、リズム感が抜群で、観ていて気持ちがいいです。エドガー・ライトさんも、アンセルさん自身が音楽アーティストである点を高く評価して抜擢したそう。
“Baby” のボスを演じるケヴィン・スペイシーさんとチンピラ役のジェイミー・フォックスさんもハマり役で、タイプは違えど、どちらも何をしでかすか分からない雰囲気がめちゃ怖かったです。
“You tell me who dies.” Kevin Spacey is “Doc.” #BabyDriverMovie NOW PLAYING! Get tickets: https://t.co/zGpOHrMWgB pic.twitter.com/yoVVYKXB4x
— Baby Driver (@BabyDriverMovie) June 30, 2017
主人公の聴く音楽に合わせて世界が動くという、めちゃくちゃ斬新なこの映画。もう1回観たらもっと楽しめそうです!