性別欄の「第3の性」に関するニュースで目にした「as of」の意味とは?

少し前に、ニューヨーク在住の方からこんな質問をいただきました。(以下、本人の了解を得て引用)

rainbow flag

ところで、一つふと疑問に思ったことが有りまして、
突然のメールを御許し下さい。。。

今、自分が踊りが大好きで、阿波踊りからズンバやらサルサまで、お世辞にもうまいとは言えないのですが、生まれ持った、同じアホなら踊らにゃ損精神でついつい踊ってしまいます。

そんな根っからの踊り好きが高じて、ダンス関連のアプリを作っているのですが、”男” ”女” を入力するボタンをつくって、ふと、、

いや、待て。 今やゲイの皆様が市民権を得る世の中。
そういった人々をどう表現したら良いのだろう。。?
そもそも踊り場ではゲイの人々は女子に次ぐ一大勢力。
無視してはおねえマン達のお怒りを買いそうです。

しかし、属性の入力ボタンを作るにも、
I’m Female, Male or…..????

Gayとかくのも何だか何ともはて、いいのかな?それとも、
”そのどちらでもない”とか書くのかしら?と、と疑問になり、
Rihoさん、アメリカでは、公で男女の属性を聞く際、
男女、そしてゲイの皆さんは何と表現するのが良いとかあるのでしょうか?

めちゃ興味深い質問です!・・・ただ私もよくわからず、しばしの間宿題にさせていただいていました。

ところが数日前に、こんなニュースを発見:

なんとドイツで、出生届の性別欄に新たなオプションを付け加える法案が通過したというのです。

これは読まねばということで、読んでみたところ、冒頭の “as of” という部分が気になりました。

As of November, Germany will be the first country in Europe to offer a “third gender” distinction on its birth certificates.

via Germany To Offer Third Gender Option On Birth Certificates

ポイント

“as of” は、「〜の時点で、〜以降」という意味です。

as of | Macmillan Dictionary

as of: used for saying that something will start to happen on a particular day, and will continue after that day

(ある特定の日を境に何かが始まり、その後もずっと続いていくという時に使われるんですね。口語でも使われます!)

つまり記事には、「11月から、ドイツがヨーロッパ諸国で初めて、出生届に “第3の性” の区別を設けます」と書かれていたのでした。

補足

このドイツで5月に可決された新しい法案によると、生まれた子どもの性別が不確定な時は、あえて「男(male)」「女(female)」を選ぶ必要がなくなるそうです。そのかわり、性別欄を空欄にしたまま残せるとのこと。その場合、子どもが大きくなった時に、子ども自身が自分で性別を選ぶことができます。

ただし、この決定については、子どもが旅行をする時に性別欄が空白だとトラブルが起きる可能性があるとして、パスポートには X と記すように提案している団体もあります。

Though the Germany is more progressive than many of its neighbors, the law often lags behind public opinion. For instance, same-sex marriage is illegal, even though 74 percent of Germans are in favor of legalization, according to Reuters. Same-sex unions are legal, however, and partners are granted equal tax benefits as those of married couples.

(ドイツは隣国と比べると進歩的ではありますが、世論にはしばしば遅れを取っています。たとえばロイター通信によると、74%のドイツ人が同性結婚の合法化を支持しているにも関わらず、現在は違法。その一方、同性カップルによる団結は合法で、同性カップルは夫婦と平等の税制待遇を受けられます。)

via Germany To Offer Third Gender Option On Birth Certificates

ヨーロッパ以外では、ネパールが今年のはじめに市民権証書に “第3の性” を追加しました。オーストラリアでも、今年の7月1日からパスポートに “M” “F” の他 “X” と表記できるようになっています。

アメリカでは今年の6月末に米連邦最高裁判所(The U.S. Supreme Court)で同性婚の権利を支持する判決が下され、同性婚カップルの法的権利が保障されましたが、性別欄に関する議論はまだあまり盛り上がっていないように思います。

公的書類はもちろん、同性婚の権利を公に支持していた Facebook でも、プロフィールの性別欄は “male” と “female” の2択しかありません。

これについて、『Facebook’s ‘other’ gender problem | Thought Leader』(6.10.2013)という記事に興味深いことが書かれていました。

When it comes to gender, Grosser also notes that Facebook only offers two options. He notes “a user can say ‘I am Male’ or ‘I am Female.’ There are no choices to add your own description or to select a catchall alternative such as ‘other’ ”. This has the consequence according to Grosser of excluding people like transgendered people who do not fit within the two Facebook categories. Stryker and Whittle inform us that often transgendered individuals are unsettled with the labels of “man” or “woman”. This means that “someone with a transgender identity lives that identity as strongly as a man or a woman, and, while some might choose to describe that identity as ‘male’ or ‘female,’ others prefer a more complex description. However, Facebook excludes them listing that as part of their user profiles”.

(性別に関して言えば、Facebook にも選択肢が2つしかないことをグロッサー氏は指摘する。「ユーザは『私は男性です』あるいは『私は女性です』と言うことができるだけです。独自の記述を加えたり、”other” といった選択肢を選ぶことはできません。」グロッサー氏によると、これによって Facebook の2つのカテゴリに当てはまらないトランスジェンダーの人などが除外される結果になっているという。ストライカー氏とウィットル氏によると、トランスジェンダーの人は “男性” ”女性” のどちらかに落ち着いていない場合が多いのだそうだ。「トランスジェンダーというアイデンティティが男性や女性のアイデンティティと同じくらい強く存在していて、”男性” “女性” を選ぶ人もいるかもしれませんが、もっと複雑な説明を好む人もいます。でも、Facebook はユーザ・プロフィールの一環として性別を記載し、彼らを除外するのです。」)

via Facebook’s ‘other’ gender problem | Thought Leader

これに対しては、ネパールで初めて同性愛者であることを公言した政治家が、昨年春に Facebook に対して性別欄に “other” の選択肢も設けることを要求しましたが、Facebook はそれに対し、「プロフィールの性別欄を非表示にしている人もいますよ」との見解を述べました。

It is not enough to say that “people can already opt out of showing their sex on their profile” — what about those who want to show it? As Logan Scherer has pointed out, transgender people do not just want to hide or remove gender completely: “Instead of forcing users to choose between male and female and, well, nothing, why not make the category allow users to write in what they want — like the site’s religion category allows them to do. If Facebook really wants to lead a social revolution in the way we define ourselves, then allowing people freedom from a constantly reinforced gender binary might be a good start.” I couldn’t have put it better myself!

(「プロフィールの性別欄を非表示にしている人もいますよ」と言うのは十分ではない。– 公表したい人はどうなるのか。ローガン・シェーラー氏の指摘する通り、トランスジェンダーの人は性別を隠したり、取り除いたりしたいと思っているわけではない。「男性か女性の選択肢を選ぶよう強要するのではなく、ユーザが書きたいことを書けるような欄を設けるのはどうだろうか — Facebook の宗教欄のように。Facebook がもし本当に私たちを定義づける意味での社会革命をリードしたいのなら、2通りの性別を強要し続けるのをやめるとこから始めたら良いかもしれない。」全くその通り!)

via Facebook’s ‘other’ gender problem | Thought Leader

というわけで、次世代の性別欄は “male” “female” “other”(あるいは “M” “F” “X”)にするか、自由回答欄を加えるのが良さそうです。

私もすごく勉強になりました!

ちなみにこのアプリは英語で作っているそうなので、完成したらぜひブログでも紹介させていただきたいものです。アプリ制作、応援しています!

他にも、気になることや質問があれば、お気軽にメールTwitterFacebook でコメントください。興味深いものはぜひブログでも取り上げたいと思います!– Riho

※アイキャッチ画像:By Ludovic Bertron from New York City, Usa [CC-BY-2.0], via Wikimedia Commons