ジャパニーズ・ファッション展についての記事で目にした「meticulous」の意味とは?

毎月第一木曜日は、アートウォークの日。美術館や博物館が全て入館無料になります。6月は、地元の映画や映画館の歴史を辿る『Celluloid Seattle: A City at the Movies』という展示という展示を見に歴史産業博物館(Museum of History and Industry)へ行きましたが、今月は市の美術館へ行ってきました!

Future Beauty

お目当ては、『Future Beauty: 30 years of Japanese Fashion』という展示。下の写真からも想像がつくかもしれませんが、なんと、日本を代表する服飾デザイナーたちの展示会が、今私のいるところで開催中なのです。

「これは絶対観なあかんやろ」ということで行ってきたのですが、その前に地元紙の記事『SAM’s ‘Future Beauty’ presents Japanese couture as art』(6.23.2013)を読んでみたところ、”meticulous” という単語が2回登場しました。

Eight years later, Kawakubo and Yamamoto caused a sensation on the Paris runways, with collections that seemed like the antithesis of Western couture: At a time when high fashion involved bright colors and meticulous finishes, their work was intentionally ragged, distressed, oversized and predominantly black.

via SAM’s ‘Future Beauty’ presents Japanese couture as art | The Arts | The Seattle Times

As the team from Kyoto makes final touches to the display this week — complete with special irons and meticulous undergarments for the mannequins — there’s a sense of excitement at the museum at the arrival of something very new and different from other shows.

via SAM’s ‘Future Beauty’ presents Japanese couture as art | The Arts | The Seattle Times

ポイント

“meticulous”〔発音〕は「細部まで行き届いた」という意味です。

meticulous | Macmillan Dictionary

meticulous: very thorough and with careful attention to detail

一文目は「8年後、川久保と山本はパリのランウェイでセンセーションを引き起こした。彼らのコレクションは西洋の婦人服に対するアンチテーゼのようだった。当時ハイ・ファッションといえば、明るい色使いで、細部まで行き届いた仕上げになっていたが、彼らの場合は故意にぼろぼろにしたり、ダメージを与えたり、ぶかぶかにしたり、ほぼ黒色であったりしたのだ。」、そして二文目は「京都のチームが今週、特別なアイロンを使ったり、マネキンにきちんとした下着をつけたりして最終仕上げを行っている。美術館内には、これまでの展示会と一味違う、新しいものに対する興奮した雰囲気が漂っている」と書かれていたのでした。

補足

というわけで、この記事はやや長めなのですが、私にとって最も印象に残った箇所は以下の部分でした。

Kawakubo and Yamamoto were both inspired by the writings of Juni’chirō Tanizaki, who wrote in his 1933 book “In Praise of Shadows” that “We find beauty not in the thing itself, but in the patterns of shadows, the light and the darkness, that one thing against another creates.” Their clothing isn’t often conventionally pretty, but its movement and silhouette is remarkable; it seems to be collaborating with its wearer, rather than mirroring her.

(川久保と山本は、二人とも谷崎潤一郎の文章に影響を受けた。谷崎は1933年の『陰翳礼賛(いんえいらいさん)』という本の中で、こう記している。「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。」彼らの衣服は、従来的な意味ではそれほどかわいくはないが、その動きとシルエットは目を瞠るものがある。着ている人をそのまま映し出すというよりは、互いに連携しあっているようなのだ。)

via SAM’s ‘Future Beauty’ presents Japanese couture as art | The Arts | The Seattle Times

『陰翳礼賛(いんえいらいさん)』という本は、私は読んだことがないのですが、愛読しているブログの一つ『坂井直樹の”デザインの深読み”』の記事『美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあるという「陰翳礼賛」。』(8.5.2011)によると、

『陰翳礼賛』は時代を超えて、今やプロダクトデザイナーの愛読書だ。しかも『陰翳礼賛』は海外で一番読まれている日本の本のひとつだ。

via 坂井直樹の”デザインの深読み”: 美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあるという「陰翳礼賛」。

ということで、「陰翳」が最初読めなかった私は、今すぐにでもこの本を読みたくなってきました。

展示会では、上記の文章に挙がっている『Yohji Yamamoto 』の山本耀司さんと『Comme des Garçons』の川久保玲さんに加え、『Issey Miyake』の三宅一生さん、『UNDERCOVER』の高橋盾さん、そして『Comme des Garçons』のデザイナーの一人である渡辺淳弥さんの5人の作品がそれぞれ大々的に取り上げられていました。さらに、モノトーンを基調とする衣服を集めたコーナー、着ると立体的だけれども脱ぐと着物のように平らになる “日本的” 衣服を集めたコーナー、特異な素材にこだわった衣服を集めたコーナー、最新の日本のファッションを集めたコーナーなども充実。


彼らの服は、服として見ていた時は「もはやアートやな」と思っていましたが、実際にこうして美術館で眺めると、とても不思議な感じがします。

人もたくさん来ていて大盛況で、ジャパニーズ・ファッションに対する関心の高さを改めて感じるとともに、日本の服が欲しくなってきました。

ちなみに、私が今日本の服飾デザイナーで最も注目しているのは、『mina perhonen』の設立者、皆川明さんです。

値が張るので一着も持っていませんが、テキスタイルが本当にかわいくて、いーないーなと常々思っています。

昨年一時帰国した時に東京スカイツリーを見に行った時も、皆川さんがプロデュースを手がけた東京スカイツリーのスタッフの制服をじーっと見続けてました。東京スカイツリーより見てたかもしれません。

ちなみに、『mina perhonen』の服はまだこちらのセレクトショップで見たことはありませんが、Yohji Yamamoto などの服はやっぱり扱っているところがあります。初めて見た時はちょっと感激しました。Porter の鞄を売っている店も見かけました。

どれもあほほど高いですが、やっぱり人気はあるみたいです。