混同注意!日本語の「プレミア」と英語の「premiere」はちょっと違う?

先週から開幕している地元の大きな映画祭『Seattle International Film Festival』。先日さっそく一作品観てきましたが、開場前に並んでいた時にクロージング作品がソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)監督の『The Bling Ring』(6月14日一般公開)だと知ったジェガーさんが、”It’s the North American premiere!” と興奮していました。


SIFF 2013

ポイント

“premiere” は「初演」「初公開」という意味です。

premiere | Macmillan Dictionary

premiere: the first public performance of a play or a movie

ジェガーさんは「全米初公開やて!」と言っていたのでした。ちなみに、世界初公開(world premiere)は現在開幕中のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)でした!

補足

今回、ロサンゼルス在住の方からメールをいただいたことがきっかけで、この表現を取り上げさせていただきました!(以下、ご本人の了解を得て引用)

今日、ブログで取り上げてもらえたらイイナという単語を見つけました。
premiereプレミアです。
日本では何かのコンサートのチケットなどを「プレミア付き」と言ったり、
付加価値のついたチケットのことを「プレミアチケット」と言ったりする気がするのですが、
それがそもそもよくわからないのですが、
こっちでは映画の公開初日のことを指しますよね?それもいまいち定かではないんですが。
それから新しいテレビドラマがはじまるときにもシーズンプレミアと
言っているのですが、結局プレミアってどういう意味なのかなーと思いました。

これは面白い発見です。

日本語の「プレミア」と英語の “premiere” の使い方が必ずしも同じではないことに、メールをいただくまで気がつきませんでした!

調べてみると、日本語の「プレミア」と英語の “premiere” の微妙な違いをわかりやすく説明した記事を見つけました。

辞書を、代表的な国語辞典・広辞苑の「プレミア」をひいてみよう。なんて書いてあるか?
 【プレミア】の見出しが2つある。ひとつは「プレミアショーの略」と出ていて、もうひとつは「プレミアムの略」。以上。プレミアという言葉では何も説明されていない。プレミアだけでは意味をなしていないのだ。
 
 外来語のプレミアは原語の英語では3つの意味がある。
 
 まず、日本語として多用されるプレミアは英語のpremium。発音もプレミアム。賞金とか、割増金、手数料、謝礼という意味。日本語の「プレミア付き」は実はこのプレミアムなのだ。付加価値として付けられる「割増金」。語尾の「ム」が消えてしまったのか、略されたのかは分からないが、英語では絶対必要な発音がなくなってしまった。
 プレミアという単語がなければそれでよかったかもしれないが、プレミアもあるからいけない。
 
 もうひとつのプレミアの英語はpremiere。こちらはプレミアともプリミアとも発音される。ちょっと変なのは、もとはフランス語だからだろう。フランス語premiereはプルミエールと発音される。
 英語premiereは名詞で「初日、封切り」。形容詞で「初日の、最初の」という意味になる。だからプレミア試写会とは、封切り前に見せる最初の試写会。プレミア・ショーなる和製英語もその意味で作られた。そのプレミア・ショーを略してプレミアという。
 
 以上のように、プレミアはプレミアムとプレミア・ショーの略語。付加価値、割増金を指すなら本来はプレミアム、プレミアム付きと言わなければならない。新聞用語ではそう表記することになっている。

via 日本語「プレミア」には3つの意味があるのに辞書には載ってない!? | 言葉の旅人(2013年1月)

なるほどー!日本語の「プレミア」でよく使われる意味は、実は英語の “premium” に該当するものだったんですねー!

premium〔名詞〕 | Macmillan Dictionary

  1. an amount of money that you pay regularly for an insurance policy
  2. an amount of money paid in addition to the usual amount
  3. [BUSINESS] the amount by which the price of a share is higher than its original price
  4. something offered for free or at a reduced price in order to get someone to buy something else

(1. が「保険料」、2. が「割増料金」、3. がビジネス用語で「発行価額が額面金額を超えた場合の差額」、そして 4. が「他のものを買ってもらうために割引または無料でもらえるもの」という意味になります。)

premium〔形容詞〕| Macmillan Dictionary

  1. more expensive or of higher quality than other similar things
  2. premium prices are higher than usual

(一方、形容詞で使われると、「他の類似品よりも高価、または質が高い」「通常より高価」といった意味になります。)

こうやって、日本語でなにげなく使われている単語の英語の意味を改めて調べるのは面白いですね。私自身も非常に参考になりました。この場をお借りして、改めてお礼申し上げます!

他にもツカウエイゴで取り上げるべき表現があれば、ぜひお知らせください。実際によく使われている表現であるか確かめたうえ、紹介させていただきたいと思います。また、寄稿も受け付けていますので、お気軽にメールTwitterFacebook でお問い合わせください!– Riho

サガスエイゴ企画も引き続き募集中です!