フランの歴史について書かれた文章で目にした「savory」の意味とは?

先日、プリンにそっくりのフランを食べた記事を書いた後、 Facebook ページTwitter でコメントをいただきました!

creme brulee2

フラン、多分、フランス料理ですよ。最初の写真のcrème caramelは仏語かと。クレーム・キャラメルは日本のに近いですね。クレーム・ブリュレっていう焦げたザラメの乗ったプリンみたいなのも別にあり、濃厚です。そちらにないですか?

flan

(確かにパッケージに “crème caramel” と書いてあります!)

貴重なコメントありがとうございました!先日の記事を書いた時点で、私は “creame caramel” の部分がよくわかってませんでしたが、おっしゃる通りフランス語ですね。

こちらではフランはメキシコのデザートという認識が強いので、私も不思議に思い、フランの歴史について調べてみることにしました。

すると、いろいろな記事で “savory” と書かれているのを目にしました。『The Real Man’s Cookbook』の著者 W.J. レイメント(W. J. Rayment)氏による Flan の歴史の解説ページ(『History of Flan』)にも、

It was orignally a savory dish (not sweet, but aromatic and pleasing to the palate).

via History of Flan

と書かれています。

ポイント

“savory”〔発音〕は日常生活では、飲食店のメニューや料理本など、食関係でよく目にします。

savory | The Free Dictionary

  1. Appetizing to the taste or smell
  2. Piquant, pungent, or salty to the taste
  3. Morally respectable; inoffensive

(”piquant”〔発音〕も “pungent”〔発音〕も「刺激的な」という意味ですが、”piquant” の方は風味に対して、”pungent” の方は香りに対して使われます!)

つまり、上の一文は「フランはもともとは甘くない料理だった(甘くないけど、風味があって舌触りが良い)」と書かれていたんですね。

補足

というわけで、レイメント氏の解説によると、フランの歴史はローマ時代(Roman times)にまでさかのぼるそうです。この時代に鶏が初めて飼われ、卵が豊富に手に入るようになったとのこと。そこでローマ人がギリシャ人の調理法を取り入れて考えついた料理の一つが、フランの起源になったカスタード風の混ぜもの。本来は甘くなく、うなぎなどが入っていたこともあったそう。一方で、はちみつで甘く味付けされたフランもありました。

Flan is found in recipes as far back as ancient Rome. It was during Roman times that domesticated chickens were first kept for laying eggs. The Romans, with eggs in surplus, and consulting the Greek’s knowledge of the art of cooking, developed new recipes, one of which turned out to be a custardly concoction known as flan. It was orignally a savory dish (not sweet, but aromatic and pleasing to the palate). The Romans concocted many dishes that we might find interesting, such as eel flan. They also had a very nice sweet flan that was flavored with honey.

ローマ帝国(the Roman Empire)が滅亡して中世が始まっても、フランは時代を超えて引き継がれていきます。”flan” という言葉は、「フラットケーキ」を意味するラテン語の “flado” に由来しているそうです。それが後に、昔のフランス語における “flaon” となりました。

フランは、その後二通りの道をたどっていきます。まずスペイン。スペインでは、カラメルのついた甘いカスタードとなりました。ローマ人の影響に加え、ムーア人(Moor)が取り入れたシトラスやアーモンド入りのフランも誕生。そしてコロンブスがアメリカ大陸を発見した際に、フランもアメリカ大陸に上陸します。主に中央アメリカ及び南アメリカの人に受け入れられ、特にメキシコに定着したようです。

もう一方はイギリス。イギリスの方はパイ生地にカスタード(ナッツ類やフルーツが入ることもあり)を入れて焼いていたそう。これは私の想像ですが、エッグタルトみたいな感じでしょうか。

他にもいろいろ読んでみましたが、だいたい同じようなことが書かれていました。それに加え、レシピや食に関する情報提供サイトを運営している方の 『A History of the Elegant Flan』という記事によると、メキシコのフランは伝統的にバニラ味で、ピスタチオやココナツなど、他の味のフランもあるとのこと。どれもカラメルソースがかかっていて、それがメキシコのフランの特徴みたいです。確かに私が買ったフランにも、透明に近いカラメルソースがかかってました。フランはメキシコの最も有名なデザートの一つになっているんですね。

Vanilla is the traditional flavor of a Mexican flan. Only use fresh vanilla bean or the best of real extracts! You can find other flavors, however like pistachio, coconut, pumpkin, lemon, or almond. All flavors are topped with the delicious caramel sauce that is the true signature of a Mexican flan.

Flan is obviously one of the most famous Mexican desserts. It is known the world over for its creaminess that cools the palate after eating a spicy dish. Serve flan as a wonderful ending to any meal. Not only is it sweet, it is nourishing as well. Those eggs and milk are good for you.

また、クリーム・キャラメルについても検索して調べてみました。クリーム・キャラメル自体はフランスのデザートですが、ラテン・アメリカの多くでは crème caramel はフランとして知られていると書かれていました。フランにはヘビークリームが使われることもあるみたいです。

Crème caramel is a French dessert with a simple custard base and a soft caramel topping, related to crème brulee except that the dessert is not fired before serving to create a hard sugar crust. A number of nations make variations on crème caramel, and the dish is extremely popular. Since it is served chilled, crème caramel is an excellent dish to pair with a heavy or hot meal, since it cools and calms the stomach. It is also remarkably easy to make, requiring a few simple tools and ingredients.

In much of the Latin American world, crème caramel is known as flan. Flans are often flavored with assorted things, and they may be baked with heavy cream for a more intense flavor. In Italy, the same dish is called crema caramella, and it is sometimes known as crème renversée in French, a reference to the fact that the dish is inverted when it is served.

via What is Crème Caramel?

以上を踏まえると、フランとクリーム・キャラメルはほぼ同じデザートで、アメリカにはメキシコで親しまれているフランが入ってきているものと思われます。

私も前回のプリンの記事ではスーパーのプリンだけ紹介していましたが、実は街の人気デザート店にも視察に行ってました。
Dahlia Bakery
さっそく中に入ると・・・プリン、じゃなくてフランらしきものが・・・!(左の方にご注目ください)
creme brulee
と思ったら、Twitter でいただいたコメントにあったクリーム・ブリュレでした!
creme brulee2
念のためお店の人にも「フランはありますか?」と確認すると、「うちはクリーム・ブリュレしか置いてないです」

「実は、フランを探してるんですけど、フランって、どこに売ってますかね?」
「やっぱりメキシカン・レストランとかじゃないですかね?」

・・・やっぱりメキシカン・レストランなんや〜

ちなみに私、映画『アメリ(Amélie)』が大好きで、その影響でクリーム・ブリュレも大好きです。パリのモンマルトル(Montmartre)にある、アメリが働いていたカフェ『Café des 2 Moulins』まで行ってわざわざクリーム・ブリュレを注文したほど、大好きです。

フランがなかったのは残念でしたが、クリーム・ブリュレ買っちゃいました。

買ったら「バーナーで表面焼きますか?」と聞かれたのでお願いすると、その場でバーナーで焼いてくれました。あまりにもおいしそうだったので、がまんできず外のテーブルでぱくっ。
creme brulee3
表面のパリパリと濃厚な味わいがたまりません。幸せな味がします。

食べた後にこのガラスの耐熱容器を返還するとデポジット分の1ドルが返ってくるんですが、私は家に持って帰って使うことに。が、うきうきし過ぎて、どこかに置き忘れたことに気がつかないまま帰宅してしまいました。

気づいた時、めちゃ切なかったです。

でも Twitter 経由でコメントをいただいたおかげで、フランについてもっと詳しく知ることができました。この場をお借りして改めてお礼申し上げます!

他にも、気になることや質問があれば、お気軽にメールTwitterFacebook でコメントください。興味深いものはぜひブログでも取り上げたいと思います!– Riho

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