日常会話で副詞的に使われる「that」の意味とは?

ジェガーさんは食べるのがやたら遅いです。先日ジェガーさんとジェガーママと3人で食事をしていた時もその話題になり、「ジェガーママは食べる早さ普通やのに、ジェガーさんがこんなに遅いのはなぜ」という議題で盛り上がりました。

Martha Marcy May Marlene

ジェガーママいはく、「小さい頃から遅かった」そうなのですが、ジェガーママが過去から現在までにおけるさまざまなエピソードを披露していると、ジェガーさんが “I don’t eat that slow.” と反論していました。

ポイント

この時の “that” は副詞で、その前に話されていたことを受けて「そんなに」という意味になっています。

that | Macmillan Dictionary

that: 10 [USUALLY IN NEGATIVES OR QUESTIONS][MAINLY SPOKEN]to a very great degree

(主に否定文や疑問文で使われるんですね。※”that” の用法はとても多いので、この意味の箇所だけ抜き出しています。)

つまりジェガーさんは「そんなに食べんの遅くないわ」と言っていたのでした。いや、遅いです。

補足

ちょっと前に観た映画『マーサ、あるいはマーシー・メイMartha Marcy May Marlene)』(2011)でも、マーサが “I can’t wait that long.” と言っていました。

これはマーサという情緒不安定な女の子の現在と過去を描くスリラー。現在の様子に過去の様子を少しずつシンクロさせながら、マーサの身に過去に一体何があったのかを少しずつ明らかにしていきます。

面白いのは、真相が全部明かされないところ。わかるのは、マーサという女の子がかつてカルト集団に属していたこと、そこから脱走してきたこと、精神的に多大なショックを受けていること、血のつながっている親族は姉しかいないこと、姉と会うのはかなり久しぶりであること、くらいです。一般的な社会に対して敵対心やおびえる様子を見せるところから、カルト集団にはけっこう長い間いたのではないかと推測しますが、どのくらいいたのかなどはストーリーでは具体的に明らかにされていません。

現在のマーサは過去についてほとんど語りませんが、断片的に現れる過去の映像は、まるで情緒不安定な現在のマーサの心の中の記憶を見せているよう。それらを繋ぎ合わせていくうちに、理解できないマーサの行動や言動が、少しずつ説明しえるものになっていきます。

と、思っていたら、映画はそれで終わりませんでした。最後の最後に強烈な余韻が残って、背筋がぞくり。こういうスリラーは、ある意味ホラーより怖いです。
マーサ、あるいはマーシー・メイ [Blu-ray]
ところが、そこへさらなる事実が発覚。なんと、この『マーサ、あるいはマーシー・メイ』のショーン・ダーキン(Sean Durkin)監督、同作の物語につながる短編映画も撮っていました。それが『Mary Last Seen』(2010)と呼ばれる作品です。

タイトルはもはやホラー映画ですが、この作品がレンタルした『マーサ、あるいはマーシー・メイ』の DVD に収められていたので、ジェガーさんと鑑賞。あいにく DVD に傷が入っていて、最後までうまく再生できなかったのですが、『マーサ、あるいはマーシー・メイ』の後に『Mary Last Seen』を見ると、『マーサ』の物語がさらに深みを増して、またまた背筋がぞくりとしました。

‘Mary Last Seen’ Deepens Haunting ‘Martha’ Story | XFINITY Movie Blog by Comcast』(3.1.2012)という記事によると、ダーキン監督は『マーサ、あるいはマーシー・メイ』を制作するにあたり、カルト集団についてめっちゃ調査をしたそうですが、人がカルト集団に入るきっかけについても知って興味をもったそう。ただ、『マーサ』では彼女がカルト集団を出た後のことを描くため、”最初のきっかけ” については別の物語にまとめたとのこと。

細菌のように人の心に入り込み、じわじわと内側から蝕んで破壊していくカルト集団、おそるべしです。

監督は『マーサ、あるいはマーシー・メイ』の後に『Mary Last Seen』を見ることを勧めていますが、私もその順序で観ることを強くおすすめします!