留学生に向けた就活イベント『先輩たちに聞く就活の極意』企画・運営レポート

先週は、私が昨年末から参加している SIJP(Seattle IT Japanese Professionals)が主催する学生向けイベントの企画・運営に関わり、私も話をしてきました。

もともと留学生としてアメリカにやってきた私は、昨年夏から留学生のサポートにも関わっているのですが、いまや留学生の就活意識はめちゃくちゃ高いです。

そこで、留学を就活に生かしたいと考えている留学生たちが特に意識する「英語力」「ボストン・キャリア・フォーラム」「アメリカで働くということ」について、SIJP のネットワークを駆使し、先輩たちが経験談を共有する場を設けることになりました。

私はアメリカに来るまで、『ボストン・キャリア・フォーラム』という名前すら聞いたことがなかったのですが、ボストン・キャリア・フォーラムとは、ボストンで毎年11月に行われる世界最大の日英バイリンガル・ジョブ・フェアのことです。

いわゆる日本の新卒向けの就職活動で行われる “合同説明会” にめちゃ似ています。私は留学時は行かなかったのですが、行っている人はまわりにたくさんいました。

このボストン・キャリア・フォーラムの大きな特徴は、採用までのプロセスがめちゃめちゃ早いこと。全部で3日間あるのですが、その間に内定が出る人もいます。また、企業によっては、最終面接を日本で行うところもあります。

私が留学時にボスキャリに行かなかったのは、当時自分の英語力に全然自信がなくて、自分はバイリンガルじゃない、と思っていたからなのですが、必ずしも完璧なバイリンガルである必要はないようです。実際、私のまわりにも、留学に来て半年くらいの時点でボスキャリに参加し、内定をもらっている人はたくさんいました。

ボストン・キャリア・フォーラムの公式サイトによると、参加対象者は以下のように定義されています。

日英バイリンガルで以下のいずれかに該当される方

  • 日本国外の大学・大学院を卒業予定(もしく卒業済み)の方
  • 日本の4年制大学・大学院に在籍し、交換留学をされている方
  • 職務経験をお持ちの方
  • 卒業まで1年以上あるが、就職意識の高い大学1、2、3年生、大学院1年生の方の参加も歓迎

via CFN | Boston Career Forum 2013

企業の間でも、ボスキャリは海外経験を持つ優秀な学生や社会人をいち早く獲得する場として年々注目度が高まっていて、2013年は全部で200社以上参加したそう。

全米から留学生が集まってくるので、トラベルスカラシップという交通費補填制度まで用意されているという充実ぶりです。

必ずしも留学中に参加する必要はなく、留学経験さえあれば帰国後も参加できるそうなので、日本からはるばる来る人も多いそう。

今ではボストンだけでなく、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、シドニー、東京など、さまざまな地域に拡大しています。

イベントでは、このボストン・キャリア・フォーラムで2013年に内定をもらった人たちが登壇して、「面接でどんなことを聞かれたか」「ボスキャリまでに行った準備」「ボスキャリまでにやるべきだったこと」「ボスキャリまでにやっていて良かったこと」などが話されました。イベント会場には60人くらい集まっていたのですが、メモを取る勢いがものすごかったです。

私自身は、1月から『ゴガクの達人』というメールマガジンを BLOGOS メルマガで始めて、英語を使って仕事をしている人たちに根掘り葉掘り話を聞いているので、その観点から「社会で求められる英語力」について簡単にお話しました。

最後に登壇されたのは、アメリカの大企業で働くお二人の社会人。
SIJP Event For Students
一人は、以前『『アメリカで働く日本人エンジニアが陥りやすい落とし穴』講演会参加レポート』という記事にもご登場された、米マイクロソフト本社 Operating System Group (OSG) のプリンシパルマネジャー、鷹松弘章さん。
SIJP Event For Students 3

1994年よりロータス株式会社(現 IBM)の製品開発分野を歴任後、マイクロソフト株式会社(現日本マイクロソフト)を経て、2001年米国 Microsoft Corporation 入社。Windows Media Center、Windows Media Player、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows8.1 のリリースを手掛け、現在は Operating System 部門のプリンシパルマネージャーを務める。

もう一人は、米アマゾン本社で Elastic Load Balancing というウェブサービスの開発・運用を担当されているソフトウェアエンジニア、橋本幸司さん。
SIJP Event For Students 2

2000年、大阪大学工学部情報工学学科博士課程を修了。同年に日立製作所に入社、日立研究所に配属される。2008年に同社を退職し、アメリカのジョージ・メイソン大学(George Mason University)MS ソフトウェアエンジニアリング学科に入学。2010年、Amazon.com, Inc. に入社。現在はソフトウェアエンジニアとして、同社のウェブサービスの開発・運用を担当する。

講演は『エンジニアとしてのキャリア -日本とアメリカの違い-』という題で、橋本さんが「日本とアメリカにおけるエンジニア事情の違い」「日本アメリカにおけるキャリアパスの違い」などについて対比しながら話を進め、鷹松さんがマネジャーという視点で補足していくという見事なバランスで進みました。理系学生はもちろん、文系学生にとってもためになる話ばかりで、学生にも大好評。留学生のメモを取る勢いもさらに増していました。

留学生の中には、将来何らかの形で海外で仕事をしてみたいと考えている人がたくさんいます。今はビザがとても厳しいので、大半の人は留学後日本に帰国するのですが、アメリカになんとか残り続けられる可能性を模索している人もけっこういます。でも、鷹松さんのように外資系企業の日本オフィスを経て本社に来られる方や、橋本さんのように日本の会社でキャリアを積んだ後、一年発起してアメリカで挑戦される方もたくさんいらっしゃいます。

そういった方々から直接話を聞くことによって、留学生にとっては、就活について考えるだけでなく、「留学後にどう生きていきたいのか」を改めて具体的にイメージする機会になったのではないかと思います。お二人とも親しみやすい雰囲気を持っておられるので、講演後も多くの学生に囲まれていらっしゃいました。

留学中は、不安なことが多いです。私自身、留学中は不安なことばかりでした。私は日本の大学を卒業した直後に留学して、戻る場所もなかったので、留学が終わった時のことを考えると特に猛烈に不安な気分に襲われました。私が留学中、いろんな活動に精を出して、目の前のことに全力で取り組んでいたのも、すべてその不安を打ち消すためです。

一生懸命メモを取る留学生たちの背中からも、多かれ少なかれ、当時の私が抱えていた不安が見え隠れしていた気がします。今回のイベントが、その留学中の不安を少しでも乗り越える助けになればと思います。

ちなみに、SIJP では、2月21日にも『米国での起業体験について』と題した講演会を行います。ゲストはなんと、人気メールマガジン『週刊 Life is beautiful』でもお馴染みの、中島聡(@snakajima)さん。

960年北海道生まれ。アスキー・ラボラトリーズの一員として「CANDY」をはじめとする数多くのプログラムの開発や移植に大学在学中から携わり、早稲田大学大学院理工学研究科修了後にNTT(研究部門)に就職。86年のマイクロソフト日本法人設立を機会に同社へ転職し、89年に米国本社へ移籍。Windows95、同98及び Internet Explorer 3.0、同4.0の開発に携わる。2000年に退社し、ソフトウエア会社のUIEvolution,Incを設立した。現在はメルマガ「週刊 Life is beautiful」(出版はまぐまぐ)を執筆中。

via Seattle IT Japanese Professionals 講演会 「米国での起業体験について」… Registration, Bellevue – Eventbrite

これ、私も行きたくて仕方がないのですが・・・なんと、その日が一時帰国の出発日とかぶってしまいました!・・・相当ショックです。

ああ、レポートしたかったです〜!