私のいるシアトルの観光名物の一つといえば、水陸両用車の観光ツアー『Ride the Duck』。

（ “Seattle – Fremont Bridge – Ride the Ducks” by Joe Mabel. Licensed under Wikimedia Commons.）

私はまだ一度も乗ったことがありませんが、観光シーズンになると常に満席で、「キャプテン」と呼ばれるエンタメ精神あふれる運転手が観客を盛り上げている姿をよく目にします。

ところが先日、この『Ride the Duck』が衝突事故を起こすという事件がありました。

邦人も1名犠牲に

この事故で亡くなった5名の犠牲者（当初は4名と報道されていましたが、その後5名に修正されました）は全て、新学期が始まる前のオリエンテーションのアクティビティ中だった、近くのコミュニティ・カレッジの留学生たちでした。邦人も1名含まれていたため、日本でもニュースになったようです。

在シアトル日本総領事館によると、このほか留学生と観光客の日本人4人が入院したが、命に別条はないもよう。
　バスには留学生ら約45人が乗っており、うち8人前後が日本人だった。28日から授業が始まるのを前にオリエンテーションに参加していた。
　事故は24日に発生。サトウさんら留学生4人が死亡し、51人が負傷した。

via 死亡邦人は36歳女性＝米シアトルのバス事故 （時事通信） – Yahoo!ニュース

衝突事故の原因は？

事故の原因は現時点でまだ明らかになっていませんが、目撃者の証言から、『Ride the Duck』の車両が何らかの不具合を起こして対向車線にはみ出したと見られています。

公式サイトには “safety is always our #1 concern and we take it very seriously（安全性は私たちにとって常に第一で、真剣に向き合っています）” と書かれていましたが、地元シアトル・タイムズ紙によると、実際にはきちんとメンテナンスを行っていなかったこともわかりました。

State alleges Duck in crash was operated in ‘unsafe manner’ | The Seattle Times

『Ride the Duck』はもともと軍用車だった！？

『Ride the Duck』に使われている車両は、もともと第二次世界大戦中に使用されていた米軍の上陸用舟艇（landing craft）。

最初に使われたのはイタリアのシチリア戦で、応急物資を運び入れたり、負傷兵たちを運び出したりする任務を負っていたそうです。その後もサレルノ戦、ライン川への進軍、ニューギニアやブーガンビル、フィリピン、マニラ、硫黄島、沖縄への上陸などで使われ、朝鮮戦争でまた復活。

最終的に1960年代まで米軍で使用された後リタイアとなり、現在は観光用に使われているほか、警察や消防などの機関でも役立てられています。

DUKW History | Ride The Ducks of Seattle

軍用でしっかりした作りにはなっているのかもしれませんが、これだけ70年以上使い古された車両なのだったら、もっとしっかりメンテナンスしてもらいたいものです・・・

1ヶ月以内に運営再開！？

シアトル・タイムズ紙によると、今回事故を起こした車両とは別のモデルが、早ければ1ヶ月以内に復活する見通しのようです。

State alleges Duck in crash was operated in ‘unsafe manner’ | The Seattle Times

いつか乗ってみたいとは思っていましたが、やっぱりちょっとまだしばらく遠慮したいと思います。