改まった挨拶でよく耳にする「privilege」の意味とは?
先週、友人の妹が遊びに来ていた時に、前から行ってみたかった『Chihuly Garden and Glass』に行ってみました。
私はこちらに来るまで全然知らなかったのですが、私のいるところは、ガラスのアートが盛んなことでも有名です。
その中でも最も有名なガラス・アーティストがデイル・チフーリ(Dale Chihuly)さんで、その作品を展示した美術館が昨年地元にオープンしたのです。
期待していたよりもずっと良かったので、帰ってきてからビデオもいろいろ観てみると、Google 主催のトークイベントの映像を発見。モデレーターは当時まだ Google に勤めていた、現 Yahoo! CEO のマリッサ・メイヤー(@marissamayer)さんです。冒頭で
It’s an honor and a privilege for me today to introduce one of the world’s greatest contemporary artists, and Seattle native son, Dale Chihuly.
と言っていました。
ポイント
“It’s an honor and privilege to XXX”という言い方は、改まった挨拶でよく使われています。
- a special advantage that is given only to one person or group of people
- something that you are lucky to have the chance to do, and that you enjoy very much
- a situation in which people who are rich or of a high social class have many more advantages than other people
- a situation in which doctors, lawyers etc are allowed to keep information about their discussions with their patients or clients secret from other people
- the right to do or say something unacceptable without being punished, especially in parliament
(”privilege” と聞くと、私はもう受験の時に覚えた「特権」しか出てこないのですが、「幸運にも〜をするチャンスに恵まれ、それを楽しむこと」という意味もあるんですね!)
つまりマリッサ・メイヤーさんは、「今日は、シアトル出身の世界で最も優れた現代美術家の一人、デイル・チフーリ氏を紹介させていただくことを名誉かつ光栄に思います。」と言っていたのでした。
補足
デイル・チフーリさんは、もともとワシントン大学(University of Washington)でインテリア・デザインを専攻し、その頃にガラスと出会ったそう。
1971年には、ここワシントン州に Pilchuck Glass School を創設し、そこでさまざまな「実験」を繰り返しながら独自のスタイルを確立していきました。
現在では、世界200ヶ所以上の美術館でチフーリさんの作品が展示され、日本では箱根ガラスの森美術館でその作品を見ることができます。
『Chihuly Garden and Glass』はそんなに大きな美術館ではありませんが、大きく10のセクションに分かれていて、それぞれ異なるテーマの作品が展示されています。
まずは展示ホール(Exhibition Hall)。ここで私が最も気に入った作品は、『Persian Ceiling』という作品。
天井にチフーリさんの作品が敷き詰められていて、まるで不思議なステンドグラスみたいです。
Chihuly began the Persians series in 1986 while experimenting with new forms. Originally, he displayed Persians in pedestal compositions, often with smaller shapes nested in larger pieces. Later, working with an architectural framework, he mounts larger forms to walls and suspends them as overhead compositions. The first Persian Ceiling was presented in his 1992 exhibition at the opening of the downtown Seattle Art Museum.
(チフーリ氏は、新しい形を探る中で、1986年に Persians シリーズを始めた。もともとは、台座のような構図で、小さな形のものを大きな作品の中に入れて見せていたが、後に建築的枠組みを取り入れ、より大きな形のものを壁に取りつけて頭上にぶらさげる構図に。最初の Persian Ceiling は、1992年のシアトル美術館開館時の展示で公開された。)
ガラスそのものも綺麗なんですが、そのガラスを通して色味を帯びた光の美しいこと。私は自然でもアートでも何でも、「光」が感じられるものが好きなんだと改めて気がつきました。
展示ホールを最後まで抜けると、今度はグリーンハウスならぬグラスハウス(Glasshouse)があるのですが、なんとその日は「プライベート・イベントによる貸し切りのためご覧いただけません」とのこと。
その分入場料はディスカウントされたのですが、グリーンハウスに展示されているガラスの作品から覗くランドマーク・タワー、スペース・ニードル(Space Needle)がめちゃめちゃやばいという噂を聞いて死ぬほど楽しみにしていた私はがっくり。
ところが、展示ホールの最後まで来たところで、ふと見覚えのある人影が目に入りました。目に特徴的な黒い眼帯をしてはります。あれは、もしや・・・
「デイル・チフーリさんちゃうん!」
なんと、「プライベート・イベント」というのは、チフーリさんを囲むクリスマス・パーティのことだったのです。
チフーリさんは関係者にめちゃ囲まれていましたが、勇気をふり絞って近づき、写真をお願いすると、快く一緒に撮影してくれました。大感激です。最悪「チフーリさんの作品を見に日本からはるばる来たんです!」という必殺技も繰り出す覚悟でいたのですが、そんな必要は全くありませんでした。
色使いの美しすぎるガラスの作品の数々に圧倒され、友人の妹と「チフーリさんの色の感覚って、普通の人とは全然違うんやろうな〜」と言っていたのですが、プライベート・イベントに参加していたチフーリさんも、ネクタイと靴下がガラス作品のようにカラフルな色使いで、めちゃめちゃオシャレでした。
私も一度、チフーリさんの目を通して世界を眺めてみたいものです。
ちなみに、日本の新島への旅行がインスピレーションの一つになったという作品もありました。
『Ikebana and Float Boats』という作品名だそうです。
私は新島には行ったことがありませんが、きっと同じものを眺めても、感性の鋭い人はここまでイマジネーションが膨らむのかと思うと、本当にため息が出ます。