「無職の若者」を描いたスリラー映画『ナイトクローラー』

ちょっと前に映画『ナイトクローラー』を観ました。

ジェイク・ギレンホールの怪演

タイトルが示す通り、この映画は夜がメイン。ジェイク・ギレンホールさん演じる無職のルー・ブルームは、夜の LA の街を徘徊し、手当たり次第に職を探しまくります。

そんなルーの目に止まったのが、夜の事故現場。翌朝のニュースで配信する現場映像を撮るクルーたちに思わず「今雇ってますか?」と聞くものの、あっさり断られ、ルーは自分で撮影し始めることに。すると映像がニュース局で高値で売れるという奇跡を生み、ルーの欲望がどんどんエスカレートしていきます。

このルーという人物は思考や行動が全く読めず、めちゃくちゃ不気味です。この作品のためにジェイクさんは30パウンド痩せたそうですが、目が窪んでいて、もはや笑顔すらも恐怖。

佇まい、口調、ファッション、髪形・・・何から何まで独特で、ジェガーさんによると、彼はカメラに映っている時ほとんど瞬きしている気配すらなかったそうです。もともと目力がすごい人なのに、瞬きしなかったら、怖すぎます。

ダン・ギルロイ監督のインタビューによると、彼は「無職の若者」を描きたかったそう。

Yeah, he just wants a job. He’s desperate for a job, just like so many other young people in the world today. That was one of the keys to the character: that desperation for a job that young people are facing right now, trying to get full-time work in
a world where the only jobs most people can get are ones with bullshit wages. I very much feel Lou comes from that world.

(ええ、彼はとにかく職を求めています。現代の世界中の若者のように、彼は職が欲しくて欲しくてたまりません。フルタイムの職を得ようとしているのに、得られるのは労働賃金が最悪の仕事ばかりという、現代の若者が直面している職に対する絶望が、この人物の核の一つになっています。ルーの背景にはそんな世界があるように強く思います。)

Interview: “Nightcrawler” Director Dan Gilroy | Complex

「ルー・ブルーム」の “闇”

映画公開前には、こんな動画も投稿されていました。

YouTube のページをよく見ると、この動画を投稿したのはなんと、ルー・ブルーム。説明のところには “My video resume.(動画履歴書)” と書かれていました。

さらに、ビジネス SNS の LinkedIn にもルー・ブルームのページが登場(現在は削除)。

掲示板サイトのクレイグスリスト(Craigslist)にも投稿していたようです(こちらも現在は削除)。

we’re introducing this person to the public, and we never wanted to introduce him as, “Here’s a sociopath,” or, “Here’s a psychopath.” We wanted to introduce him as, “Here’s a person who’s not that different from you.”

(私たちはこのルーという人物を紹介するにあたり、「こちらが反社会的人間です」あるいは「こちらがサイコパスです」という風には絶対に紹介したくありませんでした。むしろ、「どこにでもいるような人間です」という風に紹介したかったんです。)

Interview: “Nightcrawler” Director Dan Gilroy | Complex

この前置きを知っていると、「どこにでもいるような人間」から「ルー・ブルーム」へと主人公が変化していく過程がめちゃくちゃ興味深いです。LA の闇を描きつつ、人間や社会の闇をすごくよく描いています。

ジェガーさんは、「ジェイク・ギレンホールの演技は絶対もっと評価されるべき!」と息巻いていましたが、アカデミー賞では今のところオリジナル脚本賞にノミネートされています!

ジェイク・ギレンホール最高傑作

 

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