伝統的ホラー映画の手法に基づいた映画『イット・フォローズ』
ニューヨーク・タイムズ紙の『Anatomy of a Scene』というコラムシリーズをご存知ですか?
最新映画の1シーンを監督本人が分析するというもので、最近観た話題のホラー映画『イット・フォローズ』をデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督自身が解説していたので、さっそく観てみました。
動画の中で話されていますが、『イット・フォローズ』は、ここ最近のモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)手法を取り入れた斬新なホラー映画と異なり、伝統的ホラー映画の手法に基づいて制作されています。
ファイナル・ガール
「伝統的なホラー映画の手法」と言えば、以前ジェガーさんが『Men, Women, and Chainsaws: Gender in the Modern Horror Film』という本を読んでいて、その本で提示される「ファイナル・ガール」のコンセプトを説明してくれたことがありました。
『Men, Women, and Chainsaws: Gender in the Modern Horror Film』では、この「ファイナル・ガール」はたいてい処女であり、男女どちらにも使われる名前(あるいは男性らしい名前)を持っていると言われています。
『イット・フォローズ』の主人公も、名前は「ジェイ(Jay)」。ジェガーさんもミドルネームが「ジェイ」なので、「ジェイ」は男女どちらにも使える呼び方と言えるでしょう。
また、ジェイはとてもピュアな女の子。19歳の大学生で、以下の予告編の冒頭では、初めての恋人とのデートに胸を躍らせる場面が描かれます。
全ての映画が「ファイナル・ガール」の条件に完全に合致するとは言えませんが、『イット・フォローズ』は確実に「ファイナル・ガール」を意識していると思われます。
連続する恐怖の刺激
『イット・フォローズ』の「何かが後をつけてくる」というアイデアは、ミッチェル監督が9〜10歳の頃に何度も見た悪夢が元になっているそうです。
そんなミッチェル監督の最も好きなホラー映画は、ジョージ・A・ロメロ監督作『ゾンビ(Dawn of the Dead)』(1978)。
また『イット・フォローズ』は、ホラー映画で恐怖を煽る重要な要素の一つでもある音楽にシンセサイザーが使われていますが、シンセサイザーといえばホラー映画の巨匠、ジョン・カーペンター監督。ミッチェル監督の好きなホラー映画のもう一本も、やはり『ハロウィン(Halloween)』(1978)だそうです。
最近、リメイク以外でこういうホラー映画らしいホラー映画を観ていなかったように思うので、逆に新鮮でした。
でも、この映画が夢だったら、確かにめっちゃ怖いです。