非エンジニアにも読んで欲しい!『エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド』

先日『書籍『エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢』の表紙で目にした「cutting-edge」の意味とは?』という記事を書きましたが、無事本を読み終えました!


この本はエンジニア向けですが、私はエンジニアではありません。でも、非エンジニアでもこの本は大いに読む価値があります。そこで私は、文学部卒のザ・文系の視点でこの本を振り返ってみたいと思います。

まず、文系でも理系でも、「海外で働く」と聞いたら最初に頭に浮かぶのは英語のこと。著者の竜さんはそれについて、「活躍できる条件をすべて揃えてから渡米する人はほとんどいない」という節で以下のように語っておられます。

あらかじめ1つ言っておきたいことがあります。もしやってみたいと思うならば、
 「もっと英語が上達してから」
 「もう少し仕事を覚えてから」
 「もう少し〇〇できてから」
などの理由で先延ばしにはしないほうがいいということです。アメリカで素晴らしい活躍ができる条件をすべて揃えてから渡米する人はほとんどいません。たとえば、英語に不安があるならば、日本で上達を図るよりも、アメリカに渡ってしまったほうが上達が速くなります。完璧に準備しようと時間をかけると、人生のステージが進むに従って、実現がさらに困難になってきます。

Excerpt From: 竜盛博. “エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド.” iBooks.

私もそうでしたが、どんなに準備したつもりでも、実際にアメリカに来たら自分の準備不足に嘆く人が多いです。完璧に準備できる時というのは、たぶんいつまで経っても訪れません。英語の準備よりも、心の準備を整えることの方が大切です。

でも私はアメリカに来るまで、「アメリカに行くなら英語を完璧に話せるようになりたい(& ならなければダメだ)」と思っていて、それが心の準備を邪魔しているところがありました。ただ実際にアメリカに来てみてすぐに気がついたのは、誰もが「完璧な英語」を話しているわけではないということ。

シリコンバレーには、非アメリカ人がたくさんいます。2010年に、シリコンバレーの技術者の半数以上がアジア人になりました。アジア人が50.1%、白人は40.7%です。

Excerpt From: 竜盛博. “エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド.” iBooks.

シリコンバレーではなんと、家庭内で英語を話す世帯の比率が50%を切っているそうです。

シリコンバレーに限らず、アメリカにはいろいろな英語を話す人がいるので、意思疎通ができれば、アクセントや発音、文法の間違いなどは意外にそんなに気にされません。

とはいえ、仕事となると不安もあるもの。竜さんは「どれぐらい英語ができればいいんですか?」 という節で、必要な英語力について以下のように答えておられます。

私が以前から考えている一番大事な指標は、「情報伝達速度」です。仕事をする際も面接を受ける際も、相手の言っていることを理解し、自分の考えていることを伝える情報伝達が肝要です。

Excerpt From: 竜盛博. “エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド.” iBooks.

英語に限らず、本では海外就職の一連の流れについてもレジュメを送るところから採用後の交渉までかなり具体的に網羅されていて、非エンジニアでもめちゃ参考になります。たとえばレジュメの書き方。

一般的な「レジュメの書き方」には出てこないのですが、キーワード検索に引っかかるようにするために、単純に“Skills”の項目を作りましょう。

Excerpt From: 竜盛博. “エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド.” iBooks.

レジュメというと紙の印象が強いですが、今は LinkedIn などに代表されるウェブ上のレジュメもかなり重要です。それなのになぜか私は「キーワード検索」をあまり意識していなかったので、この対策はなるほど、と思いました。エンジニアであれば、「ホワイトボード面接」のくだりもめちゃくちゃ参考になるはずです。

また採用されても、上司との関係やチーム内でのミーティングなど、慣れない環境で働くとなるとささいなことまで疑問は尽きませんが、そういう疑問にも一つ一つ丁寧に答えてくださっているのがめちゃ親切です。

初めてアメリカで働き始める人に、強くお薦めしたい目標があります。
「1人でランチを食べない」
というものです。チームメートか席の近い人を誘って、できるだけ早く仲の良い人、顔見知りを増やしていきましょう。「英語で雑談をしなければならないランチは苦手だ」という日本人は多くいますが、同僚と仲良くなるにはランチがかなり有効です。

Excerpt From: 竜盛博. “エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド.” iBooks.

なんだか「アメリカで働く」というと、良い面ばかりが先行して現実が美化されていると感じることもありますが、私が思うこの本の最も素晴らしいところは、アメリカで働く良い面と悪い面のバランスがすごく意識されているところ。

ポジティブな面ばかりを強調して、ほかの面にまったく触れない一部の記事には、私は違和感を覚えていました。「働くといい」と勧めはするものの、それはつまり全体としてどういうことなのか、またそこにたどり着くにはどうしたらいいのか ―― そういうところがすっぽりと抜けているような気がしたのです。海外生活の明るい一面ばかりに過剰なほどスポットライトが当てられていて、それ以外の重要な部分についてはヒントさえも与えられない、暗黒大陸のようになっているのではないかと感じていました。
そこで、この本を書くにあたって考えたのは、「普段あまり目にしない面にも光を当てるようにしよう」ということでした。もちろん、ポジティブな面はいろいろ存在するのでそれらは記述するものの、さらにそれと同じぐらいのネガティブな面にも言及しよう、具体的な情報を伝えると同時に、何事にも存在する二面性が伝わるようにしよう、と考えました。全体として見れば、ポジティブでもなくネガティブでもなく、ニュートラルになるような記述を心がけたので、海外についてのほかの本に比べると必ずしも明るいトーンではないとは思います。このスタイルで、よりリアルに感じられる情報が伝わっていれば幸いです。

Excerpt From: 竜盛博. “エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド.” iBooks.

これぞ私が「この本はエンジニアだけでなく非エンジニアも読む価値がある!」と思った一番の理由だったりもします。

海外就職や海外生活は、手の届かないものではありません。でも、イメージや先入観だけで飛びつくのは危険です。だからこそ、竜さんが今回現実を具体的に語ってくださったことは、とても大きな意味があると思います。エンジニアでも非エンジニアでも、少しでも海外志向がある人にはめちゃおすすめです。

ちなみに、私のいるシアトルでは、10月27日に紀伊国屋で竜さんによる出版記念ミニ講演会・サイン会が開催されます。私も参加する予定なので、楽しみです!

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Posted by Seattle IT Japanese Professionals on Thursday, October 15, 2015