映画『her/世界でひとつの彼女』とテクノロジーの未来について書かれた記事で目にした「simultaneously」の意味とは?

先日、めちゃめちゃ美しい映画を観ました。スパイク・ジョーンズ(Spike Jonze)監督の新作『her/世界でひとつの彼女her)』(日本は6月28日公開予定)です。



これは、近未来を舞台にしたラブ・ストーリー。孤独な男性が次世代 OS(operating system)に恋をする、という話です。

この OS がもう、めちゃくちゃ人間っぽくて、私はちょっと怖くすらなりました。近い将来、こんな未来が本当に来るんじゃないか・・・とふと思ってしまったのです。

すると、『Why ‘Her’ Is the Best Movie Ever Made About the Singularity』(1.15.2014)という記事を発見しました。

さっそく読んでみると、”simultaneously” という表現が2回出てきました。(※2文目はネタバレになるので、気になる人は読まないでください。)

Popularized by science fiction author Vernor Vinge as well as inventor and now Google director of engineering Ray Kurzweil, the Singularity is a theoretical point in future history when artificial intelligences exceed the power of the human mind, become self-aware and dramatically change the balance of power on the planet while simultaneously transforming the very nature of humanity itself.

via Why ‘Her’ Is the Best Movie Ever Made About the Singularity

Soon after Samantha tells Theodore about its transcendence through collaboration, it also reveals that it is simultaneously having conversations with thousands of others.

via Why ‘Her’ Is the Best Movie Ever Made About the Singularity

ポイント

“simultaneously” は「同時に」という意味です。

simultaneously | Macmillan Dictionary

simultaneously: happening or done at the same time

(同時に起こる、あるいは同時に完了するという意味なんですね!)

つまり一文目は「”Singularity” とは、SF 作家のヴァーナー・ヴィンジ氏と、発明家で現在は Google のエンジニア部門ディレクターでもあるレイ・カーツワイル氏によって広まった言葉のこと。人工知能が人間の知能を超えて自己を認識し、地球上のバランスを著しく変化させるとともに、人間そのものの本質も変容させる理論上のある地点のことを言う」と書かれていたのでした。二文目はネタバレになるので日本語訳は伏せておきます。

補足

というわけで、”Singularity” という言葉、初めて知りました。

記事によると、1999年に公開された映画『マトリックス(The Matrix)』は、邪悪な人工知能が人類を奴隷化する “Singularity” の後の世界を描いた作品だそう。

さらに、”Singularity” を最初に描いた映画と言えば、1927年公開の『メトロポリス(Metropolis)』になるそう。

そうすると『her/世界でひとつの彼女』は、現代から想像しうる “Singularity” を極めて現実的に描いた作品だと思います。

実際、映画で起こることは、すでに現実で起こりつつあります。記事では、3点にわけて紹介されていました。

  1. Voice Interface(声による操作)
  2. According to a 2013 Gartner research report, the next 2-5 years will represent a highly active period for the development and distribution of speech recognition software.

    (ガートナー・リサーチによる2013年のレポートによると、この先2〜5年間は音声認識ソフトウェアの開発と流通が極めて活発になるようだ。)

    via Why ‘Her’ Is the Best Movie Ever Made About the Singularity

    私はタイマーをセットしたりする時は、基本 iPhone の Siri を使っています。”Set a timer for 5 minutes.” と言えば、いちいち画面を操作しなくても楽にタイマーを設定できて、めちゃ便利。あわよくば、ホームボタンを長押ししなくても、”Siri, wake up.” とか言えば Siri が立ち上がるようになると良いなと思いますが、グーグルグラスは “Ok, google.” と言うと立ち上がるので、Siri のアップデートも近いような気はします。

  3. Conversational Search(会話形式の検索)
  4. Last year, Google unveiled what it calls conversational search, a dynamic that allows you to not only ask the search engine a question, but ask an in-context follow-up question. For example, if you ask Google “Who is Spike Jonze?” it will tell you. Then if you say, “Where is he from?” Google will tell you that he was born in Rockville, Maryland, without needing to hear his name again for context.

    (昨年、Google はいわゆる「会話検索」なるものを発表。単に検索エンジンに質問するだけでなく、文脈に沿ったフォローアップの質問もできるというものだ。たとえば Google に「スパイク・ジョーンズは誰?」と聞くと、誰か教えてくれる。さらに「彼の出身地は?」と聞くと、名前をもう一度聞かなくても文脈から判断してメリーランド州のロックヴィル出身だと答えてくれるのだ。)

    via Why ‘Her’ Is the Best Movie Ever Made About the Singularity

    映画『her/世界でひとつの彼女』では、人間とコンピュータは完全に「会話」をしているのですが、これももう現実に起こりつつあるんですね・・・!

  5. The Cloud Pulse(クラウド脈)
  6. An estimated 500 million messages are sent every day on Twitter from over 230 million users and Facebook claims to have roughly 1.15 billion monthly active users.

    (Twiter ではおよそ5億通のメッセージが2億3000万人のユーザによって毎日発信され、Facebook は月間のアクティブ・ユーザがざっと11億500万人にのぼると発表している。)

    via Why ‘Her’ Is the Best Movie Ever Made About the Singularity

    映画『her/世界でひとつの彼女』では、街行く人がみんなヘッドフォンをつけて喋りながら歩いている光景がめちゃくちゃ不気味だったのですが、よく考えれば、現在でも手元に視線を落として携帯の操作に集中しながら道を歩いている人はよく見かけます。「将来はこうなるのか・・・」とリアルに考えてしまいました。

なんだかこの映画を観ると、今までは現実と SF 映画で描かれる未来にすごくギャップがあったのに、今はそのギャップがどんどん縮まってきているように感じます・・・

ちなみに、ジェガーさんに教えてもらったのですが、Siri に “Are you her?” と聞くと、こう答えるそうです。
Are you her
Siri もなかなかやります!