フライヤーなどによく書かれている「stick around」の意味とは?
先日、家の近くの劇場で年に2回開催される『Silent Movie Mondays』に行って来ました。ジェガーさんと私が2年前に『群衆(The Crowd)』(1928)と『キートンの大列車追跡』(1926)を観て心を震わせた、無声映画の上映シリーズです。
会場となっている劇場は、市内でも最も内装が美しい劇場の一つで、歴史を感じさせる雰囲気がそこかしこに漂っているうえ、映画の BGM は昔実際に無声映画の上映で使われていたオルガンを使っての即興演奏。まるで昔にタイムトリップしたみたいで、私もジェガーさんも大興奮してしまいました。
via I hooked your parents up with Facebook. | Are You A Normal Japanese Girl?(2011年5月)
今回のラインナップは『サンライズ(Sunrise: A Song of Two Humans)』(1927)、『パンドラの箱(Pandora’s Box)』(1929)、『ピーターパン(Peter Pan)』(1924)、そして『キートンの大列車追跡(The General)』(1926)です。
私が気になったのは『サンライズ』。英国映画協会(BFI)発行の Sight & Sound 誌 が10年ごとに発表する「批評家が選ぶ映画史上最も素晴らしい映画トップ10(The Critics’ Top 10 Greatest Films of All Time)」の5位にもランクインしているのに、まだ一度も観たことがなかったからです。
映画史上最も素晴らしい映画と、それに対する酷評レビュー | ツカウエイゴ
ジェガーさんはすでに2回観ているのですが、「大画面で観たことないし、観たい!」と言ってくれたので、一緒に観に行くことに。
その当日、劇場の Facebook をチェックしてみたところ、”Stick around after the film for the CineClub discussion, led by Seattle film critic Robert Horton.” と書いてありました。
ポイント
“stick around” は、フライヤーなどによく書かれているのを見ます。イベント開始の挨拶などで耳にすることも多いです。
stick around: to stay or wait about
(その場にとどまる、あるいはブラブラしながら待つ、という意味なんですね!)
つまり Facebook の投稿には、「上映後も残って、地元の映画批評家ロバート・ホートン氏による『シネクラブ』の論議にご参加ください」と書かれていたのでした。
補足
というわけで、これは『シネクラブ』も見逃すまいと思いつつ、仕事の後ジェガーさんと劇場の入口で待ち合わせ。
趣ある劇場で、無声映画の上映にぴったりです。
一番前には、1928年のオープン時にインストールされたという The Mighty Wurlitzer Organ が置いてありました。めっちゃ豪華。鍵盤だらけで、もうわけわかりません。
始めに無声映画の伴奏の名手であるオルガン奏者のジム・リグズ(Jim Riggs)さんが映画について簡単に解説し、ジムさんの演奏で上映開始。
これが本当、良い映画でした。ジェガーさんが3回観たくなる気持ち、わかります。
映画は、郊外に住む1組の若い夫婦と、その夫を誘い出す都会の女の話なのですが、正直現代でもありそうな話です。結婚当初はめちゃめちゃ仲が良かったのに、奥さんの純朴さや健気さに慣れてくると物足りなさを感じ、セクシーな他の女にひょいひょい誘われる夫。自分がとんでもない間違いを犯して初めて、奥さんへの真の愛に目覚める夫・・・
本当は浮気なんかせずに、奥さんの大切さに気づいてもらいたいところですが、最後は「やっぱり夫婦って、ええな」と思わされました。
上映後の『シネクラブ』で聞いた話によると、『サンライズ』は1929年に開催された第1回アカデミー賞で作品賞に並ぶ芸術作品賞(Unique and Artistic Picture)を受賞したものの、翌年に「芸術作品賞」というカテゴリがなくなってしまったため、現在では第1回アカデミー賞作品賞と言うと、当時の作品賞(Outstanding Picture)を受賞した『つばさ(Wings)』(1929)のみを指すことも多いそう。
『シネクラブ』に参加していた人はみんな映画通で、議論もえらい盛り上がっていました。
感化されて、同じ週にジェガーさんとイタリア映画上映シリーズにも行ってきたので、また今度感想を書きたいと思います!