スタンダップ・コメディ・ショーのポスターで目にした「tix」の意味とは?
LA に住むジェガーさんの知人が主催するスタンダップ・コメディ・グループ『Disoriented Comedy』のショーに、ジェガーさんと先日行ってきました!
その告知を見ていると、「tix」と書いてあったのが気になりました。
ポイント
“tix” は “tickets” の略語です。
tix: [Informal] tickets (from tics, shortened from tickets)
(”tickets” が縮まって “tics(チックス)” になって、”cs(クス)” の部分が “x” に置き換わったんですね!)
Twitter などでもよく使われています!(”tickets” は字数が多いため。)
補足
というわけで、ジェガーさんは招待されていたので、私の分のチケットだけ事前に買ってもらったのですが、「チケット購入の確定メール届いた?」とジェガーさんに言われて「届いた届いた!ありがと〜」と言うと、
「ちゃんと見た?」
「えっ?」
「チケットの予約名のところ、ちゃんと見た?」
言われてちゃんと見てみると、なんと予約の名前が「Chibi(+ラストネーム)」になっています。当日は will call でチケット受け取りやったんですが、おかげで will call のおっちゃんに何回も「予約名は?」と聞かれ、何回も「Chibi です」と言わなければなりませんでした。おっちゃんは “chibi” という言葉をおそらく知らなかったと思うんですが、本能で「人の名前ではない」と察知したようです。ジェガーさん、次からはどうぞ本名で予約してください。
今回のコメディ・ショーは、出演するコメディアンが全員アジア系アメリカ人女性。スタンダップ・コメディアンの世界で女性は少数派ですが、アジア系アメリカ人のコメディアンもあまり見ません。その中で、”アジア系アメリカ人女性のコメディアン” に絞ることにより、彼女たちの活動を支援する目的が込められています。
昨年7月にロサンゼルスのリトル・トーキョーで行われたショーを皮切りに西海岸でツアーを行ってはるのですが、チケットはたいてい売り切れという人気ぶり。16日にこちらで行われたショーも、やはり売り切れとなりました。
会場はアジア系アメリカ人が多く、始まった瞬間から大盛り上がり。特に「アジア系アメリカ人あるある」ネタは鉄板でした。
その一つが、名前。アジア系の名前はアメリカ人には発音しにくかったりするので、英語名をつけているアジア系の人は結構います。たいていの人は自分で名前を付けはるのですが、小学生の頃にアメリカへ移民で来て、教室で先生にいきなり “Stacy” という名前を付けられたとのエピソードには会場爆笑。私も大笑いやったのですが、「その日から突然私は “Stacy” になってしまいました」と聞いた時、そういえば自分も渡米当初に英語名で名乗っていた時期があったなと思い出しました。
クラスの韓国人や台湾人の留学生がみんな英語名をつけていて感化されたというのもあったのですが、自分の名前がそもそも英語風にうまく発音できなかったのが問題でした。”Riho” と言うとだいたい「リオ?」「ニホ?」と聞かれるのです。(台湾ではニーハオをリーホーということもあるらしく、台湾の人にはめっちゃ面白がられました。)
それでも留学生のクラスには日本人もいたので日本名で通していたのですが、アメリカ人だけのクラスを取った時、最初の自己紹介でとっさに「Annie と呼んでください」と挨拶。大学時代のバイト先でのあだ名がアニーやったので(ミュージカルのアニーから来ています)、それがぽろっと口から出てきたのですが、誰にも突っ込まれなかったため、その日から私はアメリカ人には Annie と呼んでもらうようになりました。
なのでジェガーさんに会った時も、私は Annie でした。でもジェガーさんに「本当の名前は何なん?」と聞かれ、「Riho です」と言うと、
「そっちの方がええやん!」
「そ・・・そう?」
それ以降アメリカ人の前でも堂々と本名で通すようになったので、ジェガーさんには感謝しています。
でも、他のコメディアンの中には「私の名前は Mona ですが、自己紹介すると『それって本名?』とよく聞かれます。おそらくもっとアジアっぽい名前を想像してはったんやろうと思いますが、残念ながら本名です。」と言って笑いを取っている人もいて、そういうのを聞くと、アメリカ風の名前じゃなくても苦労するし、アメリカ風の名前でもやっぱり苦労するんやな〜と思わされました。
名前に限らず、アメリカで日々生活していると自分がマイノリティであることを実感する場面はよくあります。そんな思いを笑いを通して共有し、「自分だけじゃないんや」と思えたことはすごく大きかったです。会場で笑いがどっかんどっかん起こっていたのも、みんなどこか似たような体験を抱えていて、笑い飛ばすことによってそういう違和感に満ちた思いを乗り越えていたのかもしれません。
アジア系アメリカ人どころか “アジア系アジア人” の私にとっても、「面白かった」以上に得るものがあったコメディ・ショーでした。
次のツアー場所は、サンフランシスコのベイエリアやそうです!(日程未発表)