フィリピンの巨大台風「ハイエン」のニュースで何度も目にした「displace」の意味とは?

先週11月8日から9日にかけてフィリピンを襲った超巨大台風ハイエン(Haiyan / フィリピン名 Yolanda)。


Typhoon Haiyan

(11月6日時点での航空写真)

週末からニュースをいろいろ見ていて、何度も “displaced” という単語を目にしました。
BBC の記事NBCNews の記事など、さまざまなニュースに引用されていた国際連合(United Nation)の発表を読んだ時も、

The typhoon slammed the country over the weekend and according to the UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA), some 11 million people have been affected, and more than 600,000 people have been displaced.

via United Nations News Centre – Philippines: UN humanitarian chief appeals for support for typhoon survivors

と書かれていました。

ポイント

“displaced” はこの場合「住むところがなくなった」という意味で使われています。

displaced | Macmillan Dictionary

  1. lacking a home, country, etc.
  2. moved or put out of the usual or proper place.

(役職などに使われることもあります。)

つまり記事には、「台風は週末にかけて国を襲い、国連人道問題調整事務所によると、およそ1,100万人が被害を受けているほか、60万人以上の人が住む場所を失ったという。」と書かれていたのでした。

NBC News の記事『Typhoon death toll rises above 4,400 as hospitals struggle to treat victims – World News』によると、米11月14日の時点で、死者の数は4,400人を超えたそうです。

補足

というわけで、フィリピンには甚大な被害が及んでいます。それにともない、世界中で支援の動きが高まっています。

米11月12日付のロイター通信の記事『FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines』に、各団体及び各国の支援状況が紹介されていました。

  1. 国際赤十字・赤新月社運動
  2. – THE INTERNATIONAL RED CROSS AND RED CRESCENT MOVEMENT is appealing for 87 million Swiss francs ($94.6 million) to provide 100,000 families with food, water, shelter and other essential relief for 18 months.

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    赤十字は、10万世帯に食料と水、避難場所、その他必要最低物資を18ヶ月にわたって提供するため、8,700万スイスフラン(約9,460万ドル)の支援を求めています。

  3. オーストラリア
  4. – AUSTRALIA announced a A$10 million ($9.3 million) package and will provide medical personnel and items such as tarpaulins, sleeping mats, mosquito nets, water containers and hygiene kits.

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    オーストラリアは1,000万オーストラリアドル(約930万ドル)の支援を発表し、医療チームと、防水シート、敷き布団、蚊帳、水タンク、衛生キットなどの物資を提供する予定。

  5. 国際連合
  6. – U.N. aid chief Valerie Amos, who is travelling to the Philippines, released $25 million for aid relief on Monday from the U.N. Central Emergency Response Fund.

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    国際連合は、国連中央緊急対応基金から2,500万ドルの救援金を提供することを公表。

  7. イギリス
  8. – BRITAIN will send a warship with equipment to make drinking water from seawater as well as a military transport aircraft to provide temporary shelters, water, plastic sheeting and household items. It has pledged a 15 million pound ($24 million) package and said that the government will match the first 5 million pounds of public donations.

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    イギリスは、海水から飲み水を作る器具を備えた軍艦を派遣するとともに、一時避難所、水、プラスチック・シート、生活用品などを提供するために軍用の航空機も送る予定。1,500万ポンド(約2,400万ドル)の資金援助をすでに発表しているほか、民間からの寄付の最初の500万ポンドに対してマッチング(同じ量のお金を寄付)することも発表。

  9. 日本
  10. – JAPAN will give $10 million in aid, including goods such as tents and blankets. A 25-strong emergency medical relief team has already been dispatched.

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    日本は、テントや毛布などの物資を含めた1,000万ドル分の支援を提供する予定。総勢25人の緊急医療支援チームもすでに派遣済みです。

  11. 韓国
  12. – SOUTH KOREA will provide financial aid worth $5 million and send a 40-member disaster relief team. The Korea Red Cross is giving financial aid worth $100,000 and will start a nationwide donation campaign aiming to raise 10 billion won ($9.32 million).

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    韓国は500万ドル相当の資金援助をするとともに、40人の災害救助チームを送る予定。韓国赤十字は、10万ドル相当の資金援助をするとともに、全国で100億ウォン(約932万ドル)を集める寄付キャンペーンを行う予定。

  13. アメリカ
  14. – The UNITED STATES is providing $20 million in immediate humanitarian assistance and has sent a team of about 90 Marines and sailors, part of a first wave of promised U.S. military assistance. An aircraft carrier and four other Navy ships set sail for the Philippines from Hong Kong on Tuesday.

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    アメリカは緊急人道支援に2,000万ドルを提供するとともに、米軍による援助の第一弾として海兵隊員約90名のチームを派遣。空母1隻及び軍艦4隻が、火曜に香港からフィリピンに向けて出港予定。

  15. 米国国際開発庁
  16. – The U.S. AGENCY FOR INTERNATIONAL DEVELOPMENT (USAID) is sending emergency shelter and hygiene materials along with 55 tons of emergency food to feed 20,000 children and 15,000 adults for up to five days. The U.S. EMBASSY is sending $100,000 for water and sanitation support.

    via FACTBOX: World offers aid for typhoon-ravaged Philippines

    米国国際開発庁は、緊急避難所と衛生物資、及び2万人の子どもと1万5千人の大人を5日間支えるだけの緊急食料物資55トンを提供。米国大使館は、水と衛生支援に10万ドルを提供。

記事では、他にもさまざまな国や団体の支援状況が紹介されています。

また、主要メディアでは、個人ができる援助について多くの情報を提供しています。

  1. 赤十字国際委員会(ICRC) / フィリピン赤十字
  2. ICRC donation

    (クリックすると、ページ先に飛びます)

    フィリピン赤十字に直接寄付する場合は、支払い額の入力はフィリピンの通貨(フィリピン・ペソ)になります。赤十字国際委員会の方は、ドルやポンド、スイスフランなど、通貨の選択肢あり。フィリピン赤十字は、Facebook や Twitter(@philredcross)でも、細かく状況をアップデートしています。

    また、米赤十字(American Red Cross)は、iTunes 経由でも寄付を受け付けています。
    American Red Cross iTunes donation

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  3. 国際救援委員会(The International Rescue Committee
  4. IRC donation

    (クリックすると、ページ先に飛びます)

    国際救援委員会は、以下の通り、寄付をテキストでも受け付けています。

  5. World Food Program
  6. World Food Program donation

    (クリックすると、ページ先に飛びます)

    World Food Program は、家族や子どもたちに、栄養が気軽に取れるハイ・エナジー・ビスケットを配給。100ドルの支援で、1,000パックのビスケットが配れるそうです。寄付は各国の通貨及び PayPal で受け付けています。

  7. ユニセフ
  8. UNICEF Philippines donation

    (クリックすると、ページ先に飛びます)

    ユニセフもフィリピン・ペソで支援金を入力するようになっていますが、支援の目安が書かれているのでわかりやすいです。たとえば、1,500フィリピン・ペソ(27ユーロ相当)だと、7家族に1ヶ月間、安全な飲み水を提供できるそう。3,300フィリピン・ペソ(58ユーロ相当)の場合は、石鹸やタオル、水バケツ、歯磨き粉、歯ブラシなどの衛生用品を15人に提供できます。そして5,000フィリピン・ペソ(88ユーロ相当)だと、非難センターに35人の子どもたちのケアができるキッズ・スペースを設けることができるそう。1回だけでなく、定期的な寄付も受け付けています。

  9. 国境なき医師団(Doctors Without Borders
  10. Doctors Without Borders donation

    (クリックすると、ページ先に飛びます)

    国境なき医師団は、セブ島に緊急チームを派遣し、台風が最初に直撃したタクロバン(Tacloban)に向けて医療チームを火曜日に派遣しています。

  11. Gawad Kalinga
  12. Gawad Kalinga
    そしてフィリピンの NPO 団体『Gawad Kalinga』は、お米や缶詰製品、水などをパックにして配っています。1パッケージにつき200フィリピン・ペソ(5ドル)で、5人家族に対して4〜6回の食事を提供できるそう。同団体では、5万パッケージの配給を目指しているそうです。11月13日時点で、イロイロ(Iloilo)、ノース・ネグロス(North Negros)、オムロク(Ormoc)、及びセブ(Cebu)で18,500パッケージが配給済み。お金だけでなく物資援助も受け付けていて、特にお米、水、牛乳、子ども向けのビタミン剤、缶詰製品、毛布、調理器具、食器、工具などが必要とされているそう(詳しくはサイト参照)。Gawad Kalinga USA からだと、ドルでも寄付できます。

他にも、リンク先ではいろいろな団体が紹介されています。

私は東日本大震災の時に、あまり深く考えずに米赤十字にまとめて寄付をしたのですが、後から考えると、1箇所にまとめて寄付をするよりも、寄付先または寄付時期を分けた方が良かったかもしれないと思ったので、今回はまずフィリピンの NPO 団体『Gawad Kalinga』に寄付してみました。今の時期は食料確保が重要だろうと思ったのと、ハイ・エナジー・ビスケットよりお米の方が嬉しいんじゃないかと思ったからです。

東日本大震災の時も、フェーズによって必要な援助が変わっていたので、ニュースや支援団体のアップデートをチェックしながら、寄付する団体をまた選びたいと思います。

できるだけ多くの人に支援が行き渡って、状況が少しでも良くなりますように。