シカゴ川もビールも緑一色!3月17日はセント・パトリック・デー!

私はアメリカに来るまで全く知らなかったのですが、3月17日はセント・パトリック・デー(St. Patricks Day)です。聖パトリックは、アイルランドにキリスト教を伝えた守護聖人で、もともとアイルランド系アメリカ人が祝っていたそうですが、現在ではアメリカ各地、いや世界各地で祝われています。

基本的にパレードをするところが多く、私のいるところでもこの週末にパレードが行われるのですが、アイルランド系アメリカ人の多いシカゴはこんなことに!

Chicago River dyed green, buildings more prominent

これ、一度で良いから生で見てみたくて仕方ありません。そもそもいつからシカゴ川がこんなことになっているのか、ちょっと調べてみました。

真緑のシカゴ川、きっかけは水質汚染!?

スミソニアン・マガジンの記事『A New Meaning to Green Urban Design: Dyeing the Chicago River』(2013年3月)によると、なんとこのイベント、1960年代から続いているとのこと。

1961年にウィンディ市が水質汚染管理を実施することになり、シカゴ川に廃棄物を垂れ流していた配管を見つける作業が行われました。その時に使われたのが、緑色の色素。廃棄物システムに投入し、どこの配管からシカゴ川に流れ出てくるのかを確認するのがその目的でした。

作業を済ませた配管工(plumber)は、配管工組合のビジネス・マネジャーに報告へ。するとそのマネジャーは、セント・パトリック・デー・パレードの会長でもありました。色素のせいで緑色に染まった配管工の作業服を見て、突如会長はひらめきます。

こうして、1962年のセント・パトリック・デーに、シカゴ川は初めて緑色に染まりました。この時に使われた染色剤は、水質汚染管理で使われたものと全く同じものだったそうです。当時は勢い余って100ポンドもの染色剤を溶かし、本来1日だけ緑にするつもりやったはずが1週間ずっと緑のままだったとか。その後調整が行われ、現在は40ポンドに落ち着いているそうです。

セント・パトリック・デー・パレードの会長が配管工組合のビジネス・マネジャーだったというつながりがもう、奇跡的です。

現在使われている染色剤は植物由来

ところで、この緑色の染色剤、川に害はないのでしょうか。そんな私の疑問に答えるように、染色剤についてもスミソニアン・マガジンの記事に書かれていました。

これはフルオレセイン(fluorescein)という蛍光色素で、もともとはオレンジ色や赤色なのですが、水に溶けて太陽の光を浴びるときれいな緑になるそうです。開発したのは、なんとインディゴ・ジーンズで有名な合成藍(synthetic indigo)を作って1905年にノーベル化学賞を受賞したアドルフ・フォン・バイヤー(Adolf von Baeyer)博士。主に水の流れを辿ったり、水漏れがないかを調べたりするのに役立てられていたほか、空から水面の特定の場所に着地する場合の目印としても使われていたようです。

川にとって害はないと見なされていたようですが、環境保護主義者(environmentalist)が1966年に地元政府に嘆願書(petition)を提出し、現在は植物由来の染色剤に切り替えられているとのこと。

シカゴ川、いろいろ奥深いです。ますます真緑のシカゴ川が見たくなってきました。

セント・パトリック・デーはビールも緑に!?

私のいるシアトルはこのように川が真緑になることはありませんが、セント・パトリック・デーにアイリッシュ・パブに行くと、緑色のビールが楽しめたりします。

St. Patrick's Day - green beer

(2010年のセント・パトリック・デーで飲んだ緑のビール)

セント・パトリック・デーは「コーディネートに緑色を取り入れていない人はつねられる」とも言われているので、出かける際は緑のアイテムを身につけて行くのもお忘れなく。

以下、2010年の時の日記より。

ジェガーさんに「当日緑色をコーディネートに取り入れてない人は周りの人からつねられる(pinch)んやで」と聞かされ、私もさっそく緑のニットに緑のスカート、緑のレギンスに緑の帽子という気持ち悪い出で立ちになりました。

ジェガーさんは『グリーン・ランタン』という、これまたシンボル・カラーが緑色のスーパーヒーローがいるので、彼のシンボル・マークの入った緑色のTシャツを着ると言っていましたが、当日になってそれが見当たらず、結局、緑色の紙にアイルランドの国花、クローバーを描いて胸に貼ってはりました。

そして夜はその格好で家の近くにあるアイリッシュ・パブへ。

St. Patrick's Day - Irish pub

中は緑色の人たちでいっぱいでした。

※中央に座ってはるキャラクターみたいな格好の人は、アイルランドの伝承に登場する妖精レプラコーン(Leprechaun)です。妖精と言っても、ちっこいおっさんで、虹のふもとに金貨をたくさん隠しているらしいです。『ハリー・ポッターと炎のゴブレットHarry Potter and the Goblet of Fire)』でもクィディッチのアイルランドチームのマスコットとして登場しているそうです。

via Let’s swing by it.: Are You A Normal Japanese Girl?(2010年3月)

ジェガーさん、今年も緑のビール飲みに連れてってくれへんかな〜