シアトル・福岡・熊本の3拠点を繋ぐ『英語でまなぶコンピュータ・サイエンス』

今年4月に第1回を開催し、6月に第2回目、そして今回で3回目(夏の番外編を含むと4回目)を迎えた『英語でまなぶコンピュータ・サイエンス』を見学してきました。

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コンピュータのバグについて英語で学習

『英語でまなぶコンピュータ・サイエンス』とは、文字通りコンピュータ理論について英語で学ぶという無料のワークショップです。コンピュータ理論というと大人の私にとってもとっつきにくい印象がありますが、このワークショップでは、それをなんと小学生に向けて英語で説明します。

第3回目のテーマは、コンピュータのバグ。「バグってる」というような言い方を日本語でもしますが、”bug” はいわゆる「不具合」のこと。

1. [INFORMAL] an insect
2. [INFORMAL] an infectious but usually minor illnessa flu bug
3. [COMPUTING] a minor fault in a computer system or in a computer program
4. a small piece of electronic equipment used for secretly listening to what people are saying
5. [INFORMAL] a sudden strong enthusiasm for doing something be bitten by the travel/fitness/cooking etc. bug (=to suddenly become enthusiastic about it)

bug (noun) American English definition and synonyms | Macmillan Dictionary

もともと “bug” には 1. の「昆虫」という意味がありますが、コンピュータの不具合を “bug” と呼び始めたのは、プログラマーかつ米海軍の軍人でもあったグレース・ホッパーさんが初めて。1947年、ホッパーさんがコンピュータの中に蛾が入っていたのを発見し、報告したところから “bug” という言葉が使われるようになったとか。

蛾を取り除いたらプログラムが動作するようになったことから “debug” という言葉も生まれたそうです。意外と最近生まれた言葉だったんですね!

バグの仕組みを楽しく理解

参加者の子供たちには、「イラストを見て不具合を見つける」という課題が事前に課せられていました。この課題を通して、まずはバグの概念を理解。コンピュータのバグというと、ちょっと難しそうですが、これなら私でも楽しく取り組めます!

Kids from Seattle/Fukuoka/Kumamoto are submitting homework relating to finding errors and bugs in Seesaw.

We hope you will enjoy tonight's class about bugs. See you at 5:30PM tonight

Posted by Seattle IT Japanese Professionals on Saturday, October 20, 2018

 

見つけたバグはレポートにまとめて報告し、それぞれのバグの重要性を判別します。そこからデバッグするところまで、とてもわかりやすく、そして面白く教えられていました。

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この「面白い」というのが個人的にはかなりポイントで、難しいはずの概念がスムーズに頭に入っていく仕組みがとても素晴らしかったです。

(デバッグに取り組む福岡会場の子どもたち。)

シアトル・福岡・熊本の3拠点開催

本ワークショップは、シアトル・福岡・熊本の3拠点同時開催。シアトルは夕方から、日本は朝からビデオ中継で繋がって、同時に学びを進行させていきます。ちなみにビデオ中継には Zoom というソフトウェアが使われていました。

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ワークショップは基本的に英語で行われますが、日本側では必要に応じて日本語のサポートも受けられます。日本では英語力の参加基準は特になく、過去のレポートによると、「言語はわからなかったけど、話の内容は分かった」という子どもも中にはいるようです。

(福岡会場の様子。)

実際にアメリカに住んでいると、「英語そのものを勉強するよりも、何かを通して英語のスキルを身につける方が格段に効率がいい」ということを肌で感じるので、コンピュータ理論について学びつつ英語力も身につけられるこのような場は、個人的にはかなり理想的に感じます。

しかもこのワークショップの良いところは、単にビデオ中継で繋がるだけでなく、Seesaw という教育プラットフォームを活用して、各拠点の子供たちとお互いに学びを共有できるようにもなっているところ。

冒頭の課題も、参加者の子供たちは Seesaw 上で提出し、お互いの提出物を見られるようになっています。物理的な距離はあっても、おかげでより「一緒に学んでいる」という意識が育めそうです!

講師はアメリカで働く現役エンジニア

ワークショップの講師を務めるのは、SIJP (Seattle IT Japanese Professionals) 代表の今崎憲児さん。アメリカを代表する IT 企業を渡り歩き、第一線で活躍を続けていらっしゃる現役のエンジニアです。

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熊本育ちで熊本地震の復興活動にも熱心な今崎さんとの繋がりで、これらのワークショップも熊本・福岡との共催に。福岡の参加人数は特に多く、日本でも IT 教育への関心が高まっている様子が伺えました。

他の地域でもきっと需要はあると思うので、この活動がますます広がっていくよう、私も微力ながらサポートしていけたらと思います。

ちなみに次回のテーマは『ツリー(木)を使ったアルゴリズム』。11月18日(日本時間)開催予定です!

こちらのレポートもどうぞ

【開催レポート】英語で学ぶコンピュータ・サイエンス第3回:デバッグについて楽しく学ぼう | Kids Code Club キッズコードクラブ

【英語版】Event Report – SIJP – Seattle IT Japanese Professionals