浅田真央選手の記者会見について報じる海外メディアの記事で目にした「field questions」の意味とは?

つい先日まで1週間ちょっと日本に一時帰国していたのですが、久しぶりに見た日本のテレビでやたら流れていたのがソチ・オリンピック、とりわけ浅田真央選手でした。


Mao Asada

(By David W. Carmichael [CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

私が帰国してまもなく浅田真央さんも帰国し、海外メディアの集まる記者会見に臨んだ様子がテレビで流れたので、私も興味を持って、海外メディアが実際どのような記事を書いていたのか調べてみることに。

私が調べた限りでは、そこまで大々的に記事になっている印象はありませんでしたが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙東京支局の記者が発信するブログサイト『Japan Realtime』に会見の様子が書かれていたので、読んでみました。

すると、

After fielding questions about her future, came the issue the media were most interested to know–what Asada thought about comments by former Prime Minister Yoshiro Mori, who also happens to be the head of Tokyo’s 2020 Olympic organizing committee, criticizing her short program performance.

via Skating Star Asada Is ’50-50’ on Retirement – Japan Real Time – WSJ

という箇所が目に留まりました。

ポイント

“field a question” は「質問に答える」という意味です。

field a question | The Free Dictionary

field questions and field a question: to answer a series of questions, especially from reporters

(特に、記者からのさまざまな質問に答える、という意味なんですね!)

つまり、「今後についてのさまざまな質問に答えた後は、メディアが最も興味のあった森喜朗元首相の発言について浅田選手がどう思ったのかに焦点が当てられた。森氏は2020年東京オリンピック組織委員会会長でもあり、浅田選手のショート・プログラムでの演技を批判していた」と書かれていたのでした。

補足

確かに、森さんの失言に関する記事も、海外メディアで記事になっていました。

そんな森さんの発言に対して、浅田選手は以下のように答えていましたが、

--森(喜朗)さんの驚くような発言について、どう思いますか。

もう終わったことなので、なんとも思ってないですけど。でも、聞いたときは「あ、そうなんだ」って思いました。

via 浅田真央さんが会見、引退は「今のところ五分五分」 【会見全文】

この発言はウォール・ストリート・ジャーナルの記事では以下のように訳されていました。

It’s all over, so I can’t say anything more. But I thought ‘Oh, that’s how it is’ when I heard that,” she said.

via Skating Star Asada Is ’50-50’ on Retirement – Japan Real Time – WSJ

さらに、最後に浅田選手は「森さんがああ言う発言をしたことについて、すこし後悔をしているんじゃないでしょうか」とも語っていましたが、その発言については同記事では “I think Mr. Mori may even be wanting to eat his words now.” と訳されていました。

“eat one’s words” は「発言を撤回する」という意味です。

eat one’s words | Wiktionary

eat one’s words: [idiomatic] To regret or retract what one has said.

(自分の言ったことを後悔したり、撤回したりする、という意味なんですね!)

ちなみに同じ記者会見を取り上げていたワシントン・ポスト紙の記事では、前述の発言は “he might feel some regret about the comment he made” と訳されていました。

一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事で私が特に興味を持ったくだりは以下です。

Her disastrous performance in the short program, which killed any chances of her winning a medal at Sochi, was a huge disappointment for the fans at home. But her stunning turnaround in the free skating the following day has gotten more coverage than some of her medal-decorated counterparts.

Asada scored her personal best by nailing her trademark—and highly risky—triple axel jumps in an emotional free skate program. The footage of the skater ending the program overcome by joyful tears has continued to play on TV.

The media circus over the country’s most popular skater resumed as soon as her plane landed on Tuesday morning, with cameras awaiting her and rest of the Japan Olympics team at the airport.

She then headed straight to the press conference held at the Foreign Correspondents Club of Japan, where she not only faced foreign journalists, but also a wall of photographers and television cameras from the Japanese media that lined the back of the room.

(ショート・プログラムでの悲惨な演技によりソチでのメダル獲得のチャンスを失ったことは、祖国のファンにとって大きな落胆となった。しかし、翌日のフリー演技での見事な挽回は、メダルを獲得した他の選手よりも大きく取り上げられることとなった。

浅田選手は、感情的なフリー・プログラムの演技で、トレードマークである非常にリスクの高いトリプル・アクセルを成功させ、自己ベストを叩きだした。その演技終了後の喜びの涙の映像は、テレビで何度も繰り返された。

この日本で最も人気のあるスケーターに対して、メディアは飛行機が火曜朝に到着するやいなや再び大騒ぎを始め、空港ではカメラが彼女と他の日本のオリンピック選手を出迎えた。

その後彼女はそのまま外国人記者クラブでの記者会見に臨み、外国人ジャーナリストのみならず、部屋の後方に壁のように連なる日本メディアの写真家やテレビカメラマンらと対峙した。)

via Skating Star Asada Is ’50-50’ on Retirement – Japan Real Time – WSJ

浅田選手を取り上げる日本メディアの一連の報道については、私はやや過剰とも思える違和感を覚えていたのですが、このウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者も似たようなことを感じていたみたいです。

浅田選手がそれだけ国民的アイドルに近い人気を博していることも理由に考えられますが、この現象は、結果と同じくらい過程を評価する日本ならでは、とも言えるかもしれません。

でも、浅田選手のフリーの演技そのものは、彼女の強さをまざまざと見せつける素晴らしいものだったと思います。

今回のソチ・オリンピックでは、個人的にはスキージャンプの葛西紀明選手にも心から感動しました。

葛西さんは、次の2018年韓国オリンピックの出場も目指していらっしゃるということで、本当すごすぎます。

選手の皆さん、本当におつかれさまでした!