主題歌と物語が絶妙にマッチしたアニメーション映画『秒速5センチメートル』

先週、今敏監督のアニメーション映画『パプリカPaprika)』(2006)を観たことを書きましたが、ジェガーさんが地元のレンタルビデオ屋さんで、今度は映画『秒速5センチメートル(5 Centimeters Per Second)』(2007)というものを見つけて借りてきはりました。

5 Centimeters Per Second

秒速5センチメートル [Blu-ray]
たった1時間程の作品です。でも、私は恋愛ものの作品にあまり興味が持てなかったので、パス。ジェガーさんが映画を観ている間せっせとブログを執筆していました。

すると1時間後・・・隣の部屋から山崎まさよしの “One more time, One more chance” が。

アーティスト:山崎まさよし
リリース:2005-11-11(J-Pop)
価格:250円 – (視聴する)
(アルバム:HOMEの10曲目に収録されています)

隣の部屋をのぞきに行くと、ジェガーさんが「めっちゃ映像奇麗やで」と言ってきました。「この映像観るだけでも、観る価値ありやで」

画面を観ると、確かに映像めっちゃ奇麗です。でも、今の私には山崎まさよしの声しか聞こえません。

ジェガーさんはもちろん、映画で流れている曲が山崎まさよしの “One more time, One more chance” だということは知りません。画面には歌詞が英訳されて出ていますが、あまりに映像に合っているので、この映画のために作られた曲だと思ったようです。

変なタイミングで乱入してしまったせいで、ばっちり結末を観てしまいましたが、かえって一から全部観たくなったため、私も観賞してみることにしました。ジェガーさんも気に入ったらしく、2回目の観賞にも参加。

この映画は3話構成になっていて、遠野貴樹という人の幼い頃から成人するまでの恋物語を主に描いています。

第1話『桜花抄』と第2話『コスモナウト』は「ロマンチックすぎるやろー」という感じでしたが、第3話『秒速5センチメートル』で完全にやられました。第3話で完全にやられるためには、やはり第1話と第2話を観ている必要があります。第3話を観た時点で「第1話と第2話も観て良かった」と思えました。

もう、第3話の “One more time, One more chance” の部分が、この曲の PV にしか見えません。

あまりに完璧すぎて、てっきりこの曲のために映画が制作されたのかと思いましたが、気になってネットで調べてみたら、ニコニコ動画のインタビューで新海誠監督が曲について語っておられました。曲に合わせて物語を作ったのではなく、物語のテーマに合わせて “One more time, One more chance” を選んだようです。

実は私、この曲のことは長い間ずっと、別れた恋人のことが忘れられなくて「こんなとこにいるはずもない」ところをいつでも捜してしまう歌やと思っていました。でも、そうするとどうしても「言えなかった『好き』という言葉も」の部分が理解できません。

そこが、なんとこの映画を観てすっきり。こういうシチュエーションであれば、まさに山崎さんの歌がしっくり来ます。そうか、そういう歌やったんか・・・

でも、そう考えると、この映画に出てくる主な登場人物である3人(遠野貴樹・篠原明里・澄田花苗)全員に、この歌はあてはまる気がします。めっちゃ切ないです。

映像については、ジェガーさんが絶賛していたとおり、これまで観たアニメーション映画の中で最高に近い美しさでしたが、個人的にはかなり細かいところまで描写が凝っていたのがまたぐっときました。日本がめちゃ懐かしくなりました。