映画批評家ロジャー・エバートの訃報ニュースで耳にした「signature」の意味とは?

今週はマーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)元イギリス首相の訃報もありましたが、個人的にショックだったのは、先週報道された映画批評家(film critic)ロジャー・エバート(@ebertchicago)氏の訃報。70歳でした。

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(2007年当時のエバートさん
Roger Ebert” by Sound OpinionsFlickr: Roger Ebert. Licensed under CC BY-SA 2.0 via Wikimedia Commons.)

ロジャー・エバートさんは元シカゴ・サンタイムズ(Chicago Sun-Times)の映画批評家。なんと46年も映画批評を書き続け、1975年には映画批評家として初めて、ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)も受賞しておられます。

私は日本にいた頃はエバートさんのことをよく知らなかったのですが、ジェガーさんに教えてもらって彼の映画批評や本を読むようになり、映画の見方についてたくさん教わりました。

そんなロジャー・エバートさんに関する映像が CNN にアップされていたので、観てみたところ、”signature” というところが気になりました。

In 1986 the show was renamed “Siskel & Ebert.” The duo began their signature “thumbs-up/thumbs-down” rating system, which was Ebert’s idea.(1:28)

ポイント

“signature” は名詞で「署名」という意味で使われることが多いですが、形容詞でも「代表的な」という意味で、お店の看板メニューなどにもよく表記されています。

signature [形容詞] | Dictionary.com

signature: serving to identify or distinguish a person, group, etc.

(他の人やグループとはっきり区別する特徴があるということですね!)

ナレーター(CNN のアンダーソン・クーパー〔@andersoncooper〕さん)は、「1986年に番組は『シスケル & エバート』という名前に変わり、かの有名な “サムズ・アップ(親指を立てる)” “サムズ・ダウン(親指を下げる)” という評価システムが取り入れられました。これはエバート氏のアイデアでした。」と言っていたんですね〜

補足

私は2人の番組は直接観たことがないのですが、YouTube や Siskel & Ebert.org でアーカイブ映像はよく観ていました。2人の意見が分かれて白熱する時が特に好きで、そういう映画はやっぱりどうしても自分で観たくなってしまいます。

この番組はもともとローカル番組として始まったのですが、3年後には全国放送されるまでに成長。その後ジーン・シスケルさんが1999年に他界するまで、24年間一緒に番組を続けました。

そんなエバートさんも、2002年にガンの手術を行い、2006年にはガン切除手術で下あごの一部を切除。話すことも食べることもできなくなりましたが、それでも映画批評を精力的に続け、Twitter でも活発に発信されていました。

その後コンピュータで生成された声を利用して話をするようになり、2011年2月には、TED Talk にも登壇。

今月2日には公式ブログ『RogerEbert.com』の記事『A LEAVE OF PRESENCE』で、46年前の1967年4月3日にシカゴ・サンタイムズ紙で映画批評家として仕事を始めたことを振り返り、当時年間200本のレビューを書いていたこと、昨年の2012年は306本書いたことなどを報告。そしてガン再発のため「ペースを落とさなければいけない(I must slow down now)」と発表し、このことはニュースでも報道されました。

それからわずか2日後の4月4日に他界。2日のブログでは「ついに自分の最もやりたかったこと、レビューしたい映画だけをレビューすることができる(I’ll be able at last to do what I’ve always fantasized about doing: reviewing only the movies I want to review)」と書いていたエバートさんでしたが、最後にエバートさんが書いたレビューは、テレンス・マリック(Terrence Malick)監督の新作『To The Wonder』(米4/12公開・日本公開未定)でした。


エバートさんは15年前から毎年映画祭も主催していますが、今年は4月17日から21日までイリノイ大学(University of Illinois)で開催予定です。

現在は、これまで数々のドキュメンタリー映画を手がけてきたスティーヴ・ジェームズ(Steve James)監督が、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)& スティーヴ・ザイリアン(Steve Zaillian)制作総指揮のもと、エバートさんのドキュメンタリー映画を制作中。エバートさんが2011年に出版した回想録『Life Itself』が原作になっていて、映画のタイトルも『Life Itself』となっています。私も本を持っているので、これは絶対観たいです。

Life Itself

現在、シカゴ・サンタイムズ紙には、特設メモリアル・ページが設けられています。