第85回アカデミー賞授賞式で耳にした「boobs」の意味とは?
先日、「第85回アカデミー賞(the 85th Academy Awards)授賞式のオープニングで、テレビドラマ『スター・トレック(Star Trek)』シリーズのカーク船長が初司会を務めたセス・マクファーレン(@SethMacFarlane)を大惨事から救った」ことについて書きましたが・・・
第85回アカデミー賞授賞式の一幕で目にした「mediocre」の意味とは? | ツカウエイゴ
その “大惨事” の一つとしてカーク船長が危険視したのがこの歌でした。
この中で、”boobs” という言葉を何回も耳にしました。
ポイント
“boobs” は「女性の胸」のスラング(俗語)です。
- [INFORMAL] a woman’s breast
- [AMERICAN] [OLD-FASHIONED] a stupid person
- [British][informal] a stupid or embarrassing mistake
(1. の意味では、通常複数形で使われます。あまり使う機会はないかもしれませんが、日常生活はもちろん、テレビ番組や映画などでも耳にする機会は意外に多いです。)
つまり、セス・マクファーレンさんは名だたる女優の名前を次から次へと挙げ、意気揚々と「あんたの胸見たで」と歌ってはるわけですね!
補足
書き出してみたら、実に多くの女優が作品名とともに紹介されています。ケイト・ウィンスレット、多っ!
- メリル・ストリープ(Meryl Streep)- シルクウッド(Silkwood)(1983)
- ナオミ・ワッツ(Naomi Watts) – マルホランド・ドライブ(Mulholland Dr.)(2001)
- アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)- ジーア/悲劇のスーパーモデル(Gia)(1998)
- アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)- ブロークバック・マウンテン(Brokeback Mountain)(2005)
- ハル・ベリー(Halle Berry)- チョコレート(Monster’s Ball)(2001)
- ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)- アイズ ワイド シャット(Eyes Wide Shut)(1999)
- マリサ・トメイ(Marisa Tomei)- レスラー(The Wrestler)(2008)
- ジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)- 該当なし
- クリスティン・スチュワート(Kristen Stewart)- On The Road(2012)
- シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)- モンスター(Monster)(2003)
- ヘレン・ハント(Helen Hunt)- The Sessions(2012)
- スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)- 携帯画像流出
- ジェシカ・チャスティン(Jessica Chastain)- Lawless(2012)
- ジョディ・フォスター(Jodie Foster)- 告発の行方(The Accused)(1988)
- ヒラリー・スワンク(Hilary Swank)- ボーイズ・ドント・クライ(Boys Don’t Cry)(1999)
- ペネロペ・クルス(Penélope Cruz)- バニラ・スカイ(Vanilla Sky)(2001)
- ケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)- 乙女の祈り(Heavenly Creatures)(1994)、日蔭のふたり(Jude)(1996)、ハムレット(Hamlet)(1996)、タイタニック(Titanic)(1997)、ホリデイ(Iris)(2001)、リトル・チルドレン(Little Children)(2006)、愛を読むひと(The Reader)(2008)
そりゃこんな歌歌ったら、カーク船長も未来から忠告しに来るに決まってます。
でも、セス・マクファーレンという人は、こういうジョークにおいて天才的センスを発揮する人。先日もちらっと紹介しましたが、彼がクリエイターを努めるテレビドラマ『ファミリー・ガイ(Family Guy)』なんか見ると、もう下品なジョークのオンパレードなわけです。(ここでは、当たり障りのなさそうな動画を貼り付けておきます・・・)
マクファーレンさんが監督を務めた映画『テッド(TED)』(2012)も、予告編を見るとやはり似たような感じ。
日本語字幕付きはこちら→映画『テッド』R15+版予告編 | YouTube
そう思うと、セス・マクファーレンさんがたくさんの女優を前に「あんたの胸見たで」と歌ってしまうのも、無理はないのかもしれません・・・
とはいえ、終始こんな感じでずっと下ネタ & 毒舌を交えながら進んでいくので、賛否両論になるのもわかる気がします。
ちなみに、私のアカデミー賞のハイライトは以下の通りでした。
- 主演女優賞を受け取りに行く途中でずっこけたジェニファー・ローレンス
- 『レ・ミゼラブル(Les Miserables)』のキャストによる歌のパフォーマンス
- ジェームズ・ボンド作品のトリビュート企画
- ミシェル・オバマ(Michelle Obama)大統領夫人が作品賞を発表
- ダニエル・デイ・ルイス(Daniel Day-Lewis)の主演男優賞受賞スピーチ
こけている横でスタンディング・オベーションが起こり、総立ちしている一同に向かって “You guys are just standing up because you feel bad that I fell and that’s really embarrassing.(私がこけて気まずくなったから皆さん立ってくれてはるんですよね。ほんま恥ずかしいんですけど。)”(0:31)と言ってはるのがキュートでした。
でも、個人的に目を見張ったのは、ジェニファー・ローレンスがこけた瞬間に右サイドから勢い良く駆けつけてきたヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)。格好良すぎるやろ〜!とジェガーさんに言ったら、「ウルヴァリン(Wolverine)やからな」と言っていました。なぜかジェガーさん、「ウルヴァリンやからな」と言っている時、めちゃ誇らしそうでした。
『レ・ミゼラブル』を映画館で2回観ちゃうくらいはまっている私としては、もう何度聴いても彼らの歌声は聴き飽きません。このパフォーマンスを観たらまた映画館に観に行きたくなってきて、ジェガーさんに伝えると「もうええわ」と言われました(ジェガーさんは2回目も途中で寝てました)。
ちなみに、『レ・ミゼラブル』のキャストが登場する前はキャサリン・ゼタ・ジョーンズ(Catherine Zeta-Jones)による『シカゴ(Chicago)』の “All That Jazz” のパフォーマンスと、ジェニファー・ハドソン(Jennifer Hudson)による『ドリームガールズ』の “And I’m Telling You I’m Not Going” のパフォーマンスもあったんですが、どれも本当に素晴らしかったです。ミュージカル最高。
カテゴリ:Soundtrack(全18曲)
リリース:2002-11-08
レーベル:℗ 2002 Sony Music Entertainment Inc.
価格1,500円
カテゴリ:Soundtrack(全20曲)
リリース:2006-01-09
レーベル:℗ Compilation (P) 2006 SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT
価格1,500円
カテゴリ:Soundtrack(全20曲)
リリース:2012-12-21
レーベル:℗ 2012 Cameron Mackintosh Ltd, Under exclusive license to Polydor Records, a division of Universal Music Operations Limited
価格1,500円
ちょっと画質は悪いですが、以下のコラージュ映像が流れた後、シャーリー・バッシー(Shirley Bassey)が登場して『ゴールドフィンガー(Goldfinger)』を熱唱。このシャーリー・バッシーが迫力ありすぎて、その後アデル(Adele)が歌曲賞を受賞した『007 スカイフォール(Skyfall)』の主題歌『スカイフォール(Skyfall)』を歌った時も、頭の中で「ゴールドフィンガー」が流れていました。
リリース:2012-12-04(Soundtrack)
価格:150円 – (視聴する)
(アルバム:007 – James Bond Classics – Skyfall 50 years Editionの12曲目に収録されています)
今年のゴールデン・グローブ賞(Golden Globes)にビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領が登場して映画『リンカーン(Lincoln)』(日本は来年4月19日公開)を紹介した時もびっくりしましたが、オバマ夫人の登場もびっくりでした。
『アルゴ(Argo)』は計7部門にノミネートされていて、「編集賞」「脚色賞」「作品賞」の3冠を達成。監督賞にはノミネートすらされていなかったので、作品賞はどうなることやらと思っていましたが、やっぱり『アルゴ』でした!
『アルゴ』の元ネタになっている記事も取り上げています→ ベン・アフレック監督最新作『アルゴ』の元になった WIRED の記事で目にした「classify」の意味とは? | ツカウエイゴ
彼のスピーチはすごく評価が高かったです。受賞スピーチと言えばたいてい “自分が賞を受賞するにあたって忘れてはならない重要な人々に感謝の思いを伝えまくる” という流れが一般的なんですが、彼の場合はおもむろに “This is a strange thing, because hree years ago, before we decided to do a straight swap, I had actually been committed to play Margaret Thatcher.(実は3年前、互いに入れ替わろうと決める前は、私がマーガレット・サッチャー役を演じることに全力で取り組んでいたんです)”(4:02)。これには昨年マーガレット・サッチャーを演じて主演女優賞を受賞し、プレゼンターとして登壇していたメリル・ストリープ(Meryl Streep)も爆笑。
さらにダニエル・デイ・ルイスさん、”Steven didn’t have to persuade me to play Lincoln, but I had to persuade him that, perhaps, if I was going to do it, that Lincoln shouldn’t be a musical.(リンカーン役についてはスティーブン・スピルバーグに特に説得されたわけじゃないんですが、もし私がリンカーンを演じるならミュージカルにするのはやめた方が良い、とは伝えました)”(4:15)
下ネタや毒舌を交えなくても、みんなが聞いてほっこりするジョークを言える人って、ほんまに好感度上がります。ダニエル・デイ・ルイス、ますますファンになりました。
というわけで、来年のアカデミー賞の司会はダニエル・デイ・ルイスが良いんじゃないかと、一人で勝手に思っています。
※アイキャッチ画像:By Dave_B_ [CC-BY-2.0 (target=”_blank” http://creativecommons.org/licenses/by/2.0)], via Flickr