幼少時代に虐待を受けた経験からインスパイアされたゲーム『Papo & Yo』

ジェガーさんはテレビゲーム(video game)が好きです。一方、私はあんまりゲームに興味がありません。映画は2人とも好きなので一緒に楽しめますが、ゲームに関してはジェガーさんは今のところ主に1人で楽しんではります。

でもジェガーさんはできればゲームも一緒に楽しみたいそう。なので、私が興味を持ちそうなゲームを探してよくプレゼンしてきはります。

その結果、最近私がはまったのが、『Papo & Yo』というゲーム。

ジェガーさんのプレゼンは以下のセリフから始まりました。

「このゲームな、制作者のヴァンダー・キャバレロ(Vander Caballero)さんの幼少時代の経験が基になってるんやで。」

そう聞くと私、ノンフィクション系の映画や本が好きなので、どうしても気になってしまいます。

「どんな実体験なん?」
「この人な、小さい時お父さんから虐待受けてはってん。それをテーマにしてゲーム作りはってん。せやからタイトルもポルトガル語で『お父さんと僕』っていう意味になってんねん」
「なんでポルトガル語なん?」
「コロンビアの人やねん。ゲームの舞台もな、この人の故郷をイメージして作られてるんやで。パズル系のゲームやし、たぶん好きやと思うで。」

確かに私がこれまでに気に入ったゲームはパズル系が多いです。「ほなちょっとどんなんかやってみよか」という気になってきました。ジェガーさん、プレゼン成功です。

『Papo & Yo』を一言で語ると、コロンビアの貧民街(favela)に住む少年が、モンスターに変わり果ててしまったお父さんを元に戻そうと奮闘する冒険物語。リアルな貧民街の雰囲気が感じられる一方、ファンタジーの要素も多く、期待を裏切る展開が続きます。

ゲームのパズル自体は私でもそんなに難しくなかったので、ゲーム上級者の人にはちょっと物足りないところもあるかもしれませんが、このゲームの醍醐味は難易度ではありません。それよりも、世界観や物語を味わうことに意味があります。

私もジェガーさんもゲームを攻略した瞬間、達成感を得たというよりも、本や映画のように何かすごく大きな物語を追体験したような感動的な気持ちになりました。

終わってから、キャバレロさんのことが気になってインタビュー記事を探してみたところ、Bit Creature のインタビュー記事に興味深いことが書いてありました。

I want Papo & Yo to be challenging emotionally. I don’t want it to be challenging dexterity-wise or logic-wise, because emotion and rationality do not gel together. You cannot rationalize it, but you can feel it.

(『Papo & Yo』は、感情面において挑戦的なものにしたいんです。感情と合理性は相容れないので、器用性や論理性の面で挑戦的なものにはしたくない。『Papo & Yo』は合理化できないけれども、感じることができるのです。)

via A Child In Bogota | Bit Creature

まさにそう。めちゃくちゃ感情的になりました。短いゲームですが、テーマはとても深いです。エンディングで「まさかゲームしてこんな気持ちになるなんて・・・!」と思ってジェガーさんの方を見たら、ジェガーさんも目が赤っぽくなってて、”I was misty-eyed.(涙目になったわー)” って言ってはりました。