映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で耳にした「washed-up」の意味とは?

先週ちらっと書いた、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro González Iñárritu)監督の最新作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)〔Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)〕』(日本は2015年春公開予定)を観に行ってきました。

相当面白かったので、帰宅後さっそく特集映像を観ていると、”washed-up” という単語を2回耳にしました。

It’s about a washed-up, in quotes, actor, if you will.(0:55)

Are you at all afraid that people will say you’re doing this play to battle the impression that you’re a washed up comic strip character?(1:17)

ポイント

“washed-up” は「廃れた」という意味です。

washed-up | Merriam-Webster Dictionary

washed-up: no longer successful, skillful, popular, or needed

(成功も名声も〔きれいさっぱり洗い流されて〕なくなった状態、なんですね!)

つまり、最初の方は「言ってみれば、”廃れた” 俳優の話です」、後半は「廃れたマンガキャラの印象を払拭すべく舞台に挑んでいると言われることは気になりますか?」と言われていたのでした。

補足

私は最初に『バードマン』というタイトルを耳にした時、てっきり新手のスーパーヒーロー映画かと思ったのですが、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、「20年前にスーパーヒーロー “バードマン” を演じて有名になった過去を持つ “廃れた” 役者の物語」です。

「バードマン」制作後、俳優としてのキャリアが伸び悩むリーガンは、レイモンド・カーヴァー(Raymond Carver)の短編『愛について語るときに我々の語ること(What We Talk About When We Talk About Love)』を脚色してブロードウェイの舞台に仕上げ、自ら演出・主演を手がけて再起を図ろうとします。

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が、主役が急遽不在となり、代わりにつかまえた人気俳優(エドワード・ノートン)は演技以外ろくでなし。人生をかけた舞台なのに、次から次へと心配事が増えていき、リーガンはプレッシャーに追い詰められていきます。

注目すべきは、このリーガンがプレッシャーで追い詰められていく様子が、ほぼワンカットで撮影されていること。撮影監督(cinematographer)は、昨年『ゼロ・グラビティGravity)』でアカデミー賞を受賞したエマニュエル・ルベツキ(Emmanuel Lubezki)さん。計算しつくされたカットで、めちゃくちゃリズム感が良いです。ブロードウェイの舞台裏のごたごたと、リーガンの人生のごたごたがワンカットでうまくつながっていて、もはや芸術的。


俳優としてのキャリアの新境地に挑むリーガンの抱く「恐怖」は、言ってみれば、全クリエイターが抱く恐怖。イリニャトゥ監督自身、監督として成功した後、やはりリーガンのようなプレッシャーに襲われたそうです。リーガンの心の中には過去の成功の象徴である「バードマン」が棲みついていて、リーガンにいちいち口出ししてくるのですが、それもイリニャトゥ監督自身の経験が元になっているとのこと。

そういう意味では、過去にティム・バートン(Tim Burton)監督の『バットマン(Batman)』(1989)でバットマンを演じたことのあるマイケル・キートン(@michaelkeaton)さんも、リーガンと立場が似ているかもしれません。リーガンが舞台『愛について語るときに我々の語ること』にキャリア人生をかけたように、マイケル・キートンさんも『バードマン』にキャリア人生をかけたのではないかと思うほど、演技が光っています。アカデミー賞主演男優賞ノミネートは確実なんじゃないでしょうか。個人的には、受賞して欲しいところ。

もう、映画館で観たばかりですが、もう1回映画館で観たいです。今のところ、今年観た映画の中で No.1 です!