シェリル・サンドバーグが亡き夫に寄せたエッセイで目にした「void」の意味とは?

Facebook の最高執行責任者(COO)のシェリル・サンドバーグ(@sherylsandberg)さんが、1ヶ月前に急死した夫に向けて Facebook 上でエッセイを綴り、話題になっています。

Today is the end of sheloshim for my beloved husband—the first thirty days. Judaism calls for a period of intense…

Posted by Sheryl Sandberg on Wednesday, June 3, 2015

さっそく読んでみると、”void” という単語を何度か目にしました。

You can give in to the void, the emptiness that fills your heart, your lungs, constricts your ability to think or even breathe.

via Sheryl Sandberg – Timeline Photos

In the brutal moments when I am overtaken by the void, when the months and years stretch out in front of me endless and empty, only their faces pull me out of the isolation and fear.

via Sheryl Sandberg – Timeline Photos

ポイント

“void” はこの場合、「喪失感」という意味で使われています。

void | Longman Dictionary

  1. a feeling of great sadness that you have when someone you love dies or when something is taken from you
  2. a situation in which something important or interesting is needed or wanted, but does not exist
  3. [literary] an empty area of space where nothing exists

(もともとは 3. の「空洞」という意味で、そこから派生しています。2. のように状態に使われると「空虚」という意味になります。)

ちなみに、以前『アメリカでチェック(小切手)を書く時の注意』という記事でちらっと書きましたが、チェック(小切手)を無効にする場合は “VOID” と書きます!

つまり一文目は「心や肺に広がって、考えることや呼吸することすら妨げる喪失感や空虚感に、押しつぶされそうになります」、そして二文目は「何ヶ月、何年という時がただ無限に目の前に続いていくように感じられて、喪失感に心を奪われそうになる恐ろしい瞬間、彼らの面影が私を孤独と恐怖から救い出してくれます」と書かれていたのでした。

補足

このエッセイ、私もとても共感したので、特に私が共感した部分をピックアップして行きたいと思います。

I have learned that I never really knew what to say to others in need. I think I got this all wrong before; I tried to assure people that it would be okay, thinking that hope was the most comforting thing I could offer. … Real empathy is sometimes not
insisting that it will be okay but acknowledging that it is not. When people say to me, ‘You and your children will find happiness again,’ my heart tells me, Yes, I believe that, but I know I will never feel pure joy again. Those who have said, ‘You
will find a new normal, but it will never be as good’ comfort me more because they know and speak the truth.

(私は困っている人に対してどんな言葉をかければいいのか、実は分かっていませんでした。今までの私は間違っていました。今までは、私にできる最大限のことは希望を与えることだと思い、大丈夫と安心させようとしていました。でも場合によっては、本当の共感というのは大丈夫と言い聞かせることではなく、大丈夫ではないと認めることでもあります。私は「あなたもお子さんたちもきっとまた幸せを見つけるでしょう」と言われた時、心の中でこう思いました。「確かに。でも、きっと心の底から喜びを感じることはもう二度とないでしょう」と。それよりも「新しい普段の暮らしが始まっても、これまでと同じというわけにはいかないでしょう」と言ってくれる人の方が、よく分かっていて本質を語っているので慰めになります。)

私も、ブログをまた書き始めてから大分持ち直してきましたが、まだやっぱり精神的に疲れやすい日々が続いています。今までと同じように元気に振る舞おうと思っても、やっぱりジェガーさんの病気が発覚したことは私の日々にも大きく影響を与えています。

私の場合は「何かできることがあったら力になるから」と言ってもらえることが、側にいてくれている感じがしてとても心が救われます。あと、笑うと元気が出ます。

Adam M. Grant taught me that three things are critical to resilience and that I can work on all three. Personalization — realizing it is not my fault. He told me to ban the word ‘sorry.’ To tell myself over and over, This is not my fault. Permanence —
remembering that I won’t feel like this forever. This will get better. Pervasiveness — this does not have to affect every area of my life; the ability to compartmentalize is healthy.

(作家のアダム・グラント氏は、立ち直るために重要なことを3つ教えてくれました。いずれも私にできることだと。一つ目は「個人のせいにしない」– つまり自分のせいではないと認識すること。私は “sorry” という言葉を使わないように言われました。何度も何度も、これは私のせいではないと自分に言い聞かせました。二つ目は「永続させない」– 永遠に同じ気持ちが続くわけではないことを思い出すこと。状況は必ず良くなります。そして最後は「波及させない」– 私の生活のすべてが影響を受けることはありません。互いに影響を及ぼさないようにすることが大切です。)

私も、ジェガーさんのためにもっと自分ができることがあったのではないかと何度も思いました。ジェガーさんも、医師に何度も「自分の何がだめだったのか」と聞いていました。その度に医師は「あなたたちのせいではありません。自分たちの中に原因を探しても何も見つかりません」と私たちに言いました。

病院から外に出ると、何気ない一日を送っている人たちが別世界の人に見えます。世の中の景色が、がらっと変わりました。今回の出来事で、私の価値観は大きく変わりました。

でも価値観が変わったのは、良いことでもあります。私は毎日、いかにジェガーさんと幸せな時間を持つかに対して、以前よりもさらに意識的になりました。小さなことが本当に、大きな幸せに感じられています。

それはシェリルさんも同じみたいで、彼女もこんなふうに書いていました。

I have learned gratitude. Real gratitude for the things I took for granted before — like life. As heartbroken as I am, I look at my children each day and rejoice that they are alive. I appreciate every smile, every hug. I no longer take each day for granted.

(私は感謝することを学びました。以前は当たり前だと思っていたこと — たとえば生きること — に対する真の感謝を学びました。これだけ気持ちが打ちひしがれていると、毎日子どもたちを目にして、生きていることに喜びを感じます。一つひとつの笑顔、一つひとつの抱擁に感謝を抱きます。毎日を当たり前に感じることはもうなくなりました。)

亡くなったシェリルさんの夫デイブ・ゴールドバーグ(Dave Goldberg)さんは、米オンライン調査会社サーベイモンキー(SurveyMonkey)の最高経営責任者(CEO)でした。先月、家族や友人らと一緒にメキシコのリゾートで休暇を過ごしていた際にジムで倒れ、そのまま急逝したそうです。

米インターネット調査最大手、サーベイモンキーの最高経営責任者(CEO)、デイブ・ゴールドバーグ氏が2日死去した。47歳だった。同氏は交流サイト最大手、米フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)の夫で、シリコンバレー有数のパワーカップルとして知られていた。

 米メディアによると、ゴールドバーグ氏は休暇で家族と滞在していたメキシコのリゾートで運動中に転倒。頭蓋骨損傷による出血多量で死亡した。

 連続起業家でベンチャーキャピタリストでもあったゴールドバーグ氏は、2009年にサーベイモンキーのCEOに就任。社員14人だった小さなベンチャーを社員数500人、企業価値約20億ドルの企業に育てた。04年に結婚したサンドバーグ氏は著書「リーン・イン」で、ビジネスで成功できたのは家事や子育てを半分受け持ってくれたゴールドバーグ氏の存在が大きかったと述べていた。

via デイブ・ゴールドバーグ氏死去、フェイスブックCOOの夫  :日本経済新聞

以下のインタビューを読むと、デイブ・ゴールドバーグ & シェリル・サンドバーグ夫妻がどんなに素敵な「パワーカップル」かよくわかります。

私もジェガーさんの存在に感謝して、一日をますます大切にしていきたいと思います。