ゲーム『inFAMOUS Second Son』に関する記事で何度も目にした「treaty」の意味とは?

以前『ジェガーさんの書いた記事で何度も目にした「protagonist」の意味とは?』という記事で、ジェガーさんの書いた記事がアトランティック誌(The Atlantic)に載ったことについて書きましたが、またジェガーさんの記事が、今度は『KOTAKU』というサイトに掲載されました。



KOTAKU はジェガーさんがほぼ毎日チェックしているサイトで、ゲームやサブカルに関する記事が多いです。

ジェガーさんはアトランティック誌の記事では登場人物の性的マイノリティの描写について書いてはりましたが、今回はこの間発売されたゲーム『inFAMOUS Second SoninFAMOUS Second Son)』(日本は5月22日発売予定)について書いたとのこと。このゲームは、私たちの住んでいるところが舞台になっています。
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さっそく読んでみたところ、何度か “treaty” という言葉が出てきました(以下、例)。

However, the US government reneged on their end of the treaty.

via Even Superpowers Can’t Separate Seattle From Its Dark Past

Hansen is the great-great grandniece of Chief Seattle, the man who signed the original treaty all those years ago.

via Even Superpowers Can’t Separate Seattle From Its Dark Past

ポイント

“treaty” は「合意、条約」という意味です。

treaty | Macmillan Dictionary

treaty: an official written agreement between two or more countries. When national leaders negotiate a treaty, they discuss it before reaching agreement; and when they ratify a treaty, they give it their formal approval, usually by signing it or voting for it

(2カ国以上の国の間で交わされる公式書面での合意という意味なんですね。)

つまり、例に挙げたうちの一文目は「しかし米政府は、合意に反した」、二文目は「ハンセンは、大元の合意に署名したチーフ・シアトルの甥(姪)のひ孫娘だ」と書かれていたのでした。

補足

というわけでジェガーさんは、『inFAMOUS Second Son』の主人公がネイティブ・アメリカンの部族の一員という設定になっていることに着目したみたいです。

The game’s Seattle setting may be real, but the tribe the Native American protagonist belongs to is a developer fabrication. If the region’s actual original inhabitants have been overlooked, it’s a remorseful irony: the tribe who once occupied the land where Seattle now stands has long fought for recognition because the federal government keeps telling them that they officially do not exist. But while the game’s developers appear to have cautiously attempted to mute certain hot-button elements associated with their choice of setting, you can’t separate a real place from its history.

(ゲームの舞台となっているシアトルは一見本物だが、ネイティブ・アメリカンの主人公が属する部族は開発者が作り上げたものだ。もし地域に実際に住む原住民たちが見過ごされているのなら、残念な皮肉と言える。今はシアトルと呼ばれる土地をかつて征服した部族が、連邦政府に「公式に存在しない」と言われたために、存在を認められるべく戦っているからだ。たとえゲームの開発者たちが、舞台設定に関して反響を呼びそうな要素に触れないよう注意していても、現実の場所は歴史から引き離すことはできないのだ。)

via Even Superpowers Can’t Separate Seattle From Its Dark Past

ジェガーさんは “歴史から引き離せない現実の場所” の例として、私たちのいるところにあるランドマーク的存在、スペース・ニードル(Space Needle)を挙げます。

ゲームに出てくるスペース・ニードルには、頂上の展望台のまわりにフェンスが張り巡らされていますが、そのフェンスは現実と同じ。

スペース・ニードルが1962年の万国博覧会(Seattle World’s Fair)開催に合わせて建てられた当時、フェンスはありませんでしたが、1974年に飛び降り自殺が2件発生したのを機に作られたそうです。

The nearby Pacific Science Center where you fight Department of Unified Protection troops? That was designed by Seattle-born Minoru Yamasaki. After the 1941 date that would live in infamy, Yamasaki had to shelter his parents in a New York apartment because the authorities in Seattle had begun rounding up Japanese-Americans and incarcerating them in internment camps without trial or charge. Later he would design the World Trade Center.

(その近くにある、DUP〔ゲームに登場する政府機関エージェント〕との戦いの場でもあるパシフィック・サイエンス・センターはどうだろう?こちらはシアトル生まれのミノル・ヤマサキ氏が設計したもの。1941年の汚名演説〔Infamy Speech〕後、シアトル当局が日系アメリカ人を集めて裁判や告訴なしで強制収容所に監禁すると、ヤマサキ氏は両親をニューヨークのアパートに匿った。彼こそ、後に世界貿易センタービルを設計した人である。)

via Even Superpowers Can’t Separate Seattle From Its Dark Past

Pacific Science Center

(By Ryan Somma [CC-BY-2.0], via Flickr

では、ゲームの主人公はどうでしょうか。主人公デルシン・ロウ(Delsin Rowe)は、”アコミッシュ(Akomish)” という架空の部族の一員です。ジェガーさんによると、”アコミッシュ” という部族は確かに存在しないものの、デュワミッシュ(Duwamish)という部族は現実に存在するそうです。

Seattle is built within the 54,000 acres of land that was ceded by the Duwamish tribe. Chief Seattle was the Duwamish leader at the time and it was he who signed the treaty on their behalf. To an observer, it seems as though Sucker Punch had Seattle’s Duwamish tribe somewhere in mind when they created the Akomish—beyond the similar sounding tribe names and the stated intent to create a Seattle-centric hero.

(シアトルは、デュワミッシュ族から譲られた54,000エーカーの土地の中に造られている。シアトル酋長は当時デュワミッシュ族のリーダーで、部族を代表して合意にサインした。端から見ていると、まるでサッカー・パンチ〔inFAMOUS Second Son を開発したゲーム会社〕はアコミッシュ族を作り上げた際、デュワミッシュ族のことをどこかで意識していたのではないかと思える。それは、部族名の響きが似ていることや、サッカー・パンチが「シアトルらしいヒーローを作りたい」と語ったことだけではない。)

via Even Superpowers Can’t Separate Seattle From Its Dark Past

ジェガーさんはデュワミッシュ族のロングハウスまで訪れて、ゲーム中のアコミッシュ族との類似点を指摘。『inFAMOUS Second Son』のネイト・フォックス(Nate Fox)監督にもインタビューしていますが、監督もそれらの類似点には気づいていなかったようです。

デュワミッシュ族は連邦政府によって「絶滅した」と言われていますが、実際には約600人が今も存在しています。

In 1855, Chief Seattle signed the Treaty of Point Elliott with Governor Stevens and ceded the Duwamish land in exchange for a reservation and other federal guarantees for his tribe, including healthcare and education. However, the US government reneged on their end of the treaty. Despite not giving the Duwamish their reservation, the settlers of the new city named after their chief banned the Duwamish from Seattle by community ordinance.

(1855年、シアトル酋長はスティーブンズ知事とエリオット岬条約にサインし、医療保険や教育を含めた連邦保障や保留地を部族に与えることと引き換えに、デュワミッシュ族の土地を譲った。しかし米政府は、合意に背いた。シアトル酋長の名前から取って市の名前をシアトルと名付けたくせに、入植者たちはデュワミッシュ族に保有地を与えず、コミュニティの法律に従ってシアトルから追い出したのである。)

via Even Superpowers Can’t Separate Seattle From Its Dark Past

その後数十年間にわたって、白人入植者たちはデュワミッシュ族のロングハウスを90軒以上焼失させました。1866年には、シアトルの南にデュワミッシュ族の保留地を設けることを内務省原住民族局が提案しますが、シアトル市の立ち上げに関わったアーサー・デニー氏(Arthur Denny)が対抗。シアトルの土地をデュワミッシュ族に渡さないための署名活動を実施し、原住民族局は提案を撤回することとなりました。

現在あるロングハウスは、そんなデニー氏の子孫や、他の白人入植者たちの家族らによる寄付で購入された土地に建てられているそうです。

ちなみにゲームには、デニー・パーク地区(Denny Park district)というエリアが出てくるそうですが、このような名前の地区には現実にはありません。でも、デニー・パーク(Denny Park)は実際にあります。そしてその横を走っている大通りは、デニー・ウェイ(Denny Way)という名前です。

Second Son producer Brian Fleming has spoken about Sucker Punch’s decision to use a real city for their game’s backdrop, a change from the fictional approximations of the first two Infamous games. “If it was going to be the real Space Needle,” Fleming said, “it had to be the real Seattle.”

(本作のプロデューサーであるブライアン・フレミング氏は、サッカー・パンチがゲームの背景に本物の都市を取り入れたことについて、現実に近い架空世界を描いた過去2作からの変化だと語る。「もし本物のスペース・ニードルを取り入れるんだったら、やっぱり本物のシアトルでないといけません。」)

via Even Superpowers Can’t Separate Seattle From Its Dark Past

というわけで、ジェガーさんと私はこのスペース・ニードルのすぐそばに住んでいるので、ゲームには私たちの家の近所がめっちゃ出てきます。ジェガーさんはゲームを手に入れた当初、ゲーム内容を無視してひたすら私たちの住んでいるアパートを探してはりました。私もちょっと見させてもらいましたが、街の細かいところまで本当によく再現されていてびっくりです。

でも何より、ジェガーさんがこんなにゲームを深読みしていたことにびっくりです!