黒木華さんがベルリン映画祭で最優秀女優賞受賞!山田洋次監督最新作『小さいおうち』

先週、『日本国外で活躍!2013年〜2014年に海外の映画祭に出品された邦画5選』という記事で・・・

上記の作品リストの中で私がもっとも観たいと思っているのは、『小さいおうち』。今週日曜に最後の上映が行われるので、なんとかスケジュールを調整できたらと思います!

via 日本国外で活躍!2013年〜2014年に海外の映画祭に出品された邦画5選 : ツカウエイゴ

と書きましたが、有言実行しました。ジェガーさんを引っ張って、山田洋次監督の最新作を観てきました。

原作は、2010年に第143回直木賞を受賞した中島京子さんの『小さいおうち』。
小さいおうち
公式サイトによると、山田洋次さんが本を読了後、自ら熱望して映画化したそうです。

50年を超える監督人生の中で“家族の絆”を描き続けてきた山田監督が、今作で初めて“家族の秘密”に迫る。

via 山田洋次監督最新作『小さいおうち』2014年1月25日ロードショー!

私自身は “家族の秘密” よりも、「小さいおうち」そのものにとても興味を持ちました。「小さいおうち」が建てられるのは昭和10年(1935)頃。1935年といえば、戦況が本格化する直前です。日本の「和」と西洋の「洋」が入り混じっていて、大正時代の延長のようないわゆる「昭和モダン」の雰囲気がそこかしこに表れています。真っ赤な瓦屋根もまさに、和洋折衷の賜物の一つ。

ここに登場する昭和は、大正時代から始まった和洋折衷の文化が、大輪の華を咲かせた時代。音楽ならジャズやシャンソン、建物やインテリアはアール・デコやアール・ヌーボーが欧米から輸入され、広く浸透していった。また、映画はサイレントからトーキーに移行し、ハリウッドが黄金期を迎えた。これらの西洋文化と日本文化が混じり合って生まれた、独特の世界観が昭和モダンである。本作でも赤い三角屋根に、ステンドグラスがはめ込まれた扉や窓、蓄音器、煙草セット、紅茶カップなどに至るまで、当時の流行が完璧に再現された。やがて始まる第二次世界大戦の足音に微かに脅えながら、だからこそ人生を楽しもうと華やぐ人々の命の輝きが、胸に迫るこの時代。今、日本が昭和ブームに沸いているのは、その輝きに惹かれるからかもしれない。
 一方で、そんな好景気に湧く華やかな日々のすぐ背後には、恐ろしい戦争へと向かう軍国主義の影が急速に迫っていた。「この作品は、東京郊外のモダンな家で起きた、ある恋愛事件の秘密を巡る物語が核にあるけれども、そのストーリーの向こうに、あまり見つめられてこなかった当時の小市民家庭の暮らし、戦前から敗戦の時代を描きつつ、更にはその先に、果たして今の日本がどこへ向かっていくのか、というようなことも見えてくる作品にしたい」と撮影前に語った山田監督。

via 山田洋次監督最新作『小さいおうち』2014年1月25日ロードショー!

この映画で描かれる「小市民家庭」の暮らしは、倍賞千恵子さん演じる80歳のタキばあちゃんの回想として描かれるので、「実際の生活が少し美化されている感」はあります。でも、こういうプチ・ブルジョワ階級の日本人の生活に戦争の影がじわりじわりと忍び寄り、影響を与えていく作品を観たことがあまりなかったように思ったので、めちゃくちゃ興味深かったです。

逆に「ある恋愛事件の秘密」の方が私にしたら「サブプロット」に思えてしまって、昭和のシーンが一通り終わったらもう映画を観終わった気になってしまいました。ジェガーさんも「最後の方、終わったと思ったらまだ続きがあった、というのが2、3回あった気がする」と言っていたので、私と同じ映画の観方をしていた模様。確かに、恋愛事件に重きを置いていないと、「最後にいろいろ盛り込んだ感」は否めませんでした。

でも、黒木華さんはとても良かったです。昭和の女性の細やかな気遣いや気品、凛とした強さや恥じらいなどを、見事なまでに美しく演じていらっしゃいました。肉食女子が優勢な現代にいると、同じ女性ながら「ああ、かつての日本にはこういう女性がいたんだな」と感心すらしてしまうほど。タキさん、女子力高すぎです。

あと、この映画を英語字幕で観て面白かったのは、タキさんの方言の英語訳。タキさんは山形県出身で、めちゃくちゃ方言が強いのですが、その方言が英語字幕では南部地方のアクセントで表現されていました。たとえば、「あなた」は標準語では “you”、南部地方では “ya” と言うのですが、そういう感じで使い分けられていたのです。そんな発見も面白かったです。

ちなみに、物語の中でも『The Little House』という絵本が登場するのですが、その本も実在します。
Little House 70th Anniversary Edition with CD
静かな田舎に建てられたちいさいおうちのまわりに工場が建ち始め、町として発展するにつれておうちが昔ながらの良さを懐かしむという物語で、出版されたのは1943年。こちらも読んでみたいです。