シャルリー・エブド襲撃事件とソニーのハッキング事件が「表現の自由」に与える影響について書かれた記事で目にした「shelve」の意味とは?

今週パリで起こった、風刺週刊誌『シャルリー・エブド(@charlie_hebdo_)』襲撃事件。経緯や背景については日本語でも詳しく説明された記事がたくさんあるので、省略したいと思います。

私が『シャルリー・エブド』事件を知ってまず思ったのは、昨年末に起こった米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)の大規模ハッキング事件のことでした。あちらも、北朝鮮の金正恩(Kim Jong-un)第1書記の暗殺を描くコメディー映画『The Interview』が引き金になったと考えられています。

すると Variety 誌(@variety)も『Fear and Censorship: Paris, Sony Attacks Put Creative Freedoms Under Fire(恐怖と検閲:パリとソニーで創作の自由が攻撃の的に)』(1.7.2015)という記事を出していたので読んでみたところ、”shelve”
という単語が2回出てきました。

Thus far, it doesn’t appear that films will be shelved as a direct result of Wednesday’s attack.

via Fear and Censorship: Paris, Sony Attacks Put Creative Freedoms Under Fire | Variety

New Regency quickly shelved a Steve Carell project called “Pyongyang,” set in North Korea, after “The Interview” debacle.

via Fear and Censorship: Paris, Sony Attacks Put Creative Freedoms Under Fire | Variety

ポイント

“shelve” は、問題や計画などを「棚上げする」という意味です。

shelve | Macmillan Dictionary

shelve: to decide not to use something such as a plan or suggestion now, although you may use it later

(日本語と表現が似ていて興味深いです!)

つまり一文目は「今のところ、水曜日の事件が直接関係して棚上げされた映画はない模様だ」、そして二文目は「ニュー・リージェンシーは、映画『The Interview』論争の後すぐに、北朝鮮を舞台にしたスティーブ・カレルの映画プロジェクト『平壌』を棚上げした」と書かれていたのでした。

補足

というわけで、記事をじっくり読みたいと思います。

A brutal attack on French satirical newspaper Charlie Hebdo over cartoons depicting the prophet Mohammad has jolted Hollywood, escalating concerns by artists and producers that major studios and networks may avoid greenlighting movies and TV shows with
potentially inflammatory content.

(預言者ムハンマドのイラストに対して仏風刺週刊誌『シャルリー・エブド』が残忍な攻撃を受けた事件で、ハリウッドが動揺に揺れている。主要スタジオやネットワークが、扇情的な内容を含む映画やテレビドラマに対してゴーサインを出さなくなる怖れがあるという懸念が、アーティストやプロデューサーの間で高まりつつある。)

via Fear and Censorship: Paris, Sony Attacks Put Creative Freedoms Under Fire | Variety

『Paradise Lost』3部作や『クルード アマゾンの原油流出パニック(Crude)』(2009)などのドキュメンタリー映画を手がけるジョー・バーリンジャー(@joeberlinger)監督は、政治的圧力の強いプロジェクトはネットワークやスタジオのバックアップを得るのがすでに難しくなってきていると語ります。広告主や一部の観客を遠ざける恐れなどが障害になっているようです。

“We were already heading in the direction of possible self-censorship in Hollywood because of the Sony hacking, and this might just reinforce those tendencies,” said Ira Deutchman, chair of the film program at Columbia University and co-founder of Emerging
Pictures.

(「ソニーのハッキングの件で、ハリウッドではすでにできるだけ自己検閲する方向に向かいつつあります。今回の事件でその動きがさらに強化されるかもしれません」と語るのは、コロンビア大学の映画学科長でエマージング・ピクチャーズの共同設立者でもあるアイラ・ドイッチマン氏。)

via Fear and Censorship: Paris, Sony Attacks Put Creative Freedoms Under Fire | Variety

現在でも国際市場に映画を輸出する際には、その国の文化や国民性などに配慮するため、あるいは中国においては政府検閲をパスするために映画のシーンを編集することがありますが、上記の「自己検閲」というのは、表現の自由が認められている一方で多種多様な人種が混在する国内市場においても、配慮せざるを得ない動きになりつつあることを意味しています。

一方で、ソニー・ピクチャーズが映画『The Interview』の公開中止を発表した後、一転して公開する運びになったように、全てのプロダクションが牽制しているわけではありません。たとえばパラマウント映画は、ジャーナリストのキム・バーカー(Kim Barker)さんがアフガニスタンのカブールでのタリバン取材についてまとめた手記を映画化する『Taliban Shuffle』を制作する方向で決定。コメディアンで女優のティナ・フェイ(Tina Fey)さんを主演に迎え、2月から制作開始だそうです。

“We all must stand firm on issue of free speech,” Fey told journalists at a Television Critics Association press conference hours after the attacks in Paris. “We are Americans. Even if it’s just dumb jokes in ‘The Interview.’ We have the right to make
them.”

(パリの事件の数時間後、「私たちは言論の自由を固守せねばなりません」とテレビ評論家協会の記者会見で語ったフェイ氏。「私たちはアメリカ人です。私たちには創作する権利があります。たとえ『The Interview』のくだらないジョークでも。」)

via Fear and Censorship: Paris, Sony Attacks Put Creative Freedoms Under Fire | Variety

連邦控訴裁判所でも、同様の問題が焦点になっています。中東でのデモを喚起した問題作『Innocence of Muslims』に出演していた女優が、同作を YouTube から撤回して欲しいと訴えている件で、同作がイスラム教に対して攻撃的であることを知らなかったことや、作品に関わっていることで脅迫状を受け取ったことなどに対し裁判官たちは同情を示しているものの、YouTube を所有する Google は抗議をしています。判決は近々出る予定です。

パリの今回の事件では、犠牲者12名のうち8名が『シャルリー・エブド』のジャーナリスト及びイラストレーターでしたが、これを受け世界中のイラストレーターたちがペンを持って立ち上がっています。

『シャルリー・エブド』は来週に特別号を発行することを発表していますが、100万部の印刷を予定している特別号には、世界中の漫画家から寄付されたイラストが並ぶようです。

フランス政府も支援を決定。

8日(木)夜には犠牲者を追悼して、エッフェル塔が数分間消灯されました。

犠牲者たちのご冥福をお祈りします。