サウジアラビアとイラン間の緊張関係に関する記事で目にした「proxy」の意味とは?

新年から Facebook ページや Twitter(@tsukaueigo)で私が気になったニュースを【ツカウエイゴ Pickup】として配信しています。年明けのニュースで私が特に気になったのは、サウジアラビアとイラン間の緊張関係でした。

【ツカウエイゴ Pickup】

Posted by ツカウエイゴ on Monday, January 4, 2016

他にもいろいろ記事を読んでいると、「proxy」という単語を何度か目にしました。

“…Here, you have the two most powerful Islamic states in the heart of the Middle East now basically waging a direct confrontation, as opposed to an indirect war by proxy, so … we should be really alarmed at the escalation of the confrontation..”

via Saudi Arabia-Iran row spreads to other nations – CNN.com

Relations between Shiite Iran and its oil-rich Sunni neighbors across the Persian Gulf have never been warm, and the civil wars in Syria and Yemen have fueled mistrust and proxy battles between the two countries for years.

via Everything You Need to Know About the Iran-Saudi Arabia Crisis | Mother Jones

ポイント

“proxy” は「代理」という意味です。

proxy | Macmillan Dictionary

proxy: someone who has the authority to do something for you, especially to vote

(権限のある人が、投票など、代わりに何かをするという意味です。)

つまり前半は「『中東の中心部で最も勢力の強い二国が、代理による間接的な戦争ではなく、真っ向から対立している・・・私たちはこの対立激化に対してよく警戒すべきである」、そして後半は「ペルシャ湾を挟んで並ぶシーア派のイランと原油生産の盛んなスンニ派のサウジアラビアの関係は、いまだかつて温厚だったことがなく、シリアやイエメンでの内戦が両国間の疑いや代理紛争を何年も煽ってきた」と書かれていたのでした。

補足

というわけで、冒頭の【ツカウエイゴ Pickup】で取り上げた記事もけっこうわかりやすいですが、その後見つけたマザー・ジョーンズ(@MotherJones)誌の記事『Everything You Need to Know About the Iran-Saudi Arabia Crisis(イランーサウジアラビア危機に関して知っておくべきこと)』もめちゃわかりやすかったので、そちらを詳しく読んでみたいと思います。

  1. 何が起こったのか?(What happened?)
  2. Saudi Arabia rang in the new year by executing 47 prisoners on Saturday. One of them was a Shiite cleric named Nimr al-Nimr, a longtime critic of the Saudi government who was accused by Saudi Foreign Minister Adel al-Jubeir during an interview with Reuters of “agitating, organizing cells, [and] providing them with weapons and money.” In response, protesters attacked the Saudi embassy in Tehran. Shortly thereafter Saudi Arabia ceased diplomatic relations with Iran.

    (サウジアラビアが土曜、47人の死刑を執行。そのうちの一人はイスラム教シーア派の聖職者ニムル・ニムル師で、サウジアラビア政府を長年批判しており、アデル・ジュベイル外相がロイター通信とのインタビューにてニムル師のことを「扇動的で、組織的で、武器や金を供給していた」と非難していた。これに対し、〔イランの首都〕テヘランでは抗議者たちがサウジアラビア大使館を攻撃。間もなくサウジアラビアはイランとの断行を表明した。)

    via Everything You Need to Know About the Iran-Saudi Arabia Crisis | Mother Jones

    これを受け、バーレーンとスーダンもイランと断交。アラブ首長国連邦(UAE)もテヘランから駐イラン大使を召還し、スタッフを縮小させて外交関係を格下げしています。サウジアラビアはさらに同国ーイラン間の航空便の往来を停止し、国民の渡航を禁止しました。

  3. どうしてこのことが重要なのか(Why does it matter?)
  4. Both Saudi Arabia and Iran are deeply enmeshed in Syria’s civil war. Saudis fund Islamist rebels in Syria while Iran supplies weapons, soldiers, money, and diplomatic backing to the Syrian government along with extensive support to its close ally in Lebanon, Hezbollah.

    (サウジアラビアもイランもシリア内戦に深く絡んでいる。サウジアラビアはシリアのイスラム反抗勢力を資金的に援助し、イランもシリア政府に対して武器や兵士、資金を供給し、外交援助を図っている。また、イランは緊密な同盟を結んでいるレバノンのシーア派組織ヒズボラに対しても幅広く援助している。)

    via Everything You Need to Know About the Iran-Saudi Arabia Crisis | Mother Jones

    さらに、サウジアラビアの南隣に位置するイエメンで起こっている内戦に対する悪影響も心配されています。イエメンはもともとスンニ派の政府によって統治されていましたが、現在はシーア派反抗勢力のフーシ(Houthis)が政権を掌握。サウジアラビアは昨年3月からイエメンのフーシに対して空爆で圧力をかけていますが、イランはフーシを支持しており、今後イエメン内戦にイランも本格的に絡んでくる可能性が懸念されています。

    また、二国の緊張関係の影響は周辺諸国だけでなく、原油市場にも及んでいます。

    Iran has huge oil reserves, and it will finally be able to export that oil to the world market again this year now that Western sanctions are lifting. That could mean even more oil on the world market and another year of low prices—or tensions between Iran and Saudi Arabia could send oil prices rising again.

    (膨大な石油埋蔵量を抱えるイランは、今年から欧米諸国の制裁措置が解かれることによって、再び原油を国際市場に輸出することが可能になる。これによって国際市場への原油供給量はさらに増え、引き続き今年も低価格となる見込みだ。しかしイランーサウジアラビア間の緊張状態によっては、再び原油価格が上昇する可能性もある。)

    via Everything You Need to Know About the Iran-Saudi Arabia Crisis | Mother Jones

原油市場に関しては当面価格上昇はないとの見方も強いですが、イランとサウジアラビアの関係が悪化するのは心配・・・

ちなみに、スンニ派とシーア派に関するおさらいは、AFPBB News(@afpbbcom)の記事『【Q&A】スンニ派とシーア派、どう違う?』がわかりやすかったです。

米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の「宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム(Pew Forum on Religion and Public Life)」による昨年のまとめによると、イスラム教徒は世界中に16億人近くいるとされる。

 うちスンニ派が9割を占めると考えられており、残る1割にはシーア派の分派が複数存在する。

 しかし中東に限ると、両派のバランスはここまで極端に差がない。これは約8000万人のシーア派教徒を擁するイランのように、シーア派が大多数を占める国があるためだ。イランは昔から世界で最も有力で、最も重要なシーア派国家とみなされている。また近隣のイラクやバーレーンもシーア派が多数派を形成している。

 一方、メッカとメディナ(Medina)という二大聖地を持つサウジアラビアは、スンニ派の中心国とみなされることが多く、同国の国王は両聖地にある「二聖モスクの守護者」と呼ばれている。

via 【Q&A】スンニ派とシーア派、どう違う? 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

イスラム教の派閥は本当ややこしいです。