安保関連法に関する海外記事で目にした「pacifist」の意味とは?

今月19日に成立した安全保障関連法。このことについて AP 通信が『Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation(Q&A:賛否両論を呼んでいる日本の安保法について)』という記事を出していたので読んでみたところ、”pacifist” という単語を何度か目にしました。

Japan’s post-World War II pacifist constitution restricts the military to defending itself and the country. It’s even called the Self-Defense Forces.

via Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation

Many Japanese are wary of any change to the country’s pacifist stance, which has brought seven decades of peace and relative prosperity.

via Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation

ポイント

“pacifist” は「平和主義者」という意味です。

pacifist | Macmillan Dictionary

pacifist: someone who believes that violence is wrong and refuses to fight in wars

(暴力は間違っていると信じ、戦争で戦うことを拒否する人を指すんですね。)

つまり一文目は「第二次世界大戦後の日本の平和憲法は軍隊の役割を自衛のみに制限している」、そして二文目は「日本人の多くが、70年もの間平和とそれに準ずる繁栄をもたらした国家の平和主義の変化に慎重になっている」と書かれていたのでした。

関連して、他の記事では “pacifism(平和主義)” という単語もよく目にしました!

補足

海外メディアが今回の安保法制定についてどのように解説しているのか気になるところですが、質問は次の3つに分かれていました。

  1. 制定された法律が日本の軍隊をどう変えるのか(HOW WOULD THE LEGISLATION CHANGE JAPAN’S MILITARY?)
  2. 触れられているのはやはり「集団的自衛権(collective self-defense)の行使」について。具体的に以下のように説明されていました。

    For example, Japan would be able to intercept a missile flying over its territory that is headed for U.S. territory. Under the previous rules, it could shoot down a missile only when aimed at Japan. Or, if an American warship comes under attack, Japanese forces could go to its defense.

    Farther afield, Japan would be able to carry out minesweeping in Middle East waters.

    (たとえば日本は、自国の領域を越えて米領域に発射されたミサイルを迎撃することが可能になる。これまでの規則では、日本に向けて発射されたミサイルのみ撃ち落とすことができていた。また、米軍艦が攻撃に遭った際に、日本の部隊が防衛できるようにもなる。

    さらに言えば、中東地域の海域で掃海業を実施することも可能になる。)

    via Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation

    ただし、これらの活動には実施条件もあります。たとえば、状況が差し迫った深刻な脅威下にあること。たとえば、石油輸送が妨害されると資源不足の日本にとっては深刻な脅威となります。したがって中東地域での掃海業は OK ということになるようです。

    The opposition says the conditions are overly vague, giving future governments too much leeway to interpret them as they see fit.

    (反対派は、この条件があいまい過ぎて、政府に都合よく解釈する予知を与えていると指摘する。)

    via Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation

    加えて、これまでインフラ整備や治安維持などの戦闘外活動のみに関わっていた日本の国連平和維持活動における役割も拡大され、他国軍の後方支援や防護なども可能になります。

  3. どうしてこのように変わったのか(WHAT’S DRIVING THIS CHANGE?)
  4. Backers of the legislation argue that Japan’s backyard has become a more dangerous place, citing North Korean missile tests and Chinese challenges to Japanese sovereignty over remote islands.

    (新しく制定された法律の支持者たちは、北朝鮮のミサイルテストや、中国・日本間の離島の主権問題などによって、日本の周辺地域の危険性が高まっていることを主張する。)

    via Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation

    主な同盟国である米国との関係強化も大きな理由です。米国は太平洋地域での同国の影響に対抗する中国に太刀打ちするためにも、周辺国であるオーストラリアやフィリピン、そして日本などにより緊密な協力を求めており、日本の今回の変化を歓迎していると書かれていました。

    Japan has largely depended on the U.S. for protection since World War II, allowing American troops to be stationed on Japanese soil in return. The U.S. remains treaty-bound to defend Japan, but there is also nascent concern that a budget-constrained United States may not be able to or have the political will to do so in the future.

    (日本は第二次世界大戦以来、米国に大きく防衛を頼っており、その見返りとして日本の国土に米軍が駐屯することを認めている。米国は今のところ条約に従って日本を防衛し続けているが、軍用費が制約された米国が将来的に日本を防衛できなくなる、あるいは政治的な意志で防衛しなくなるかもしれないという新たな懸念も生まれている。)

    via Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation

  5. どうしてこの変化がこれだけ論争を招いているのか?(WHY ARE THE CHANGES SO CONTROVERSIAL?)
  6. これまでにも、1992年に自衛隊が国連平和維持活動に初めて参加した際や、2004年の自衛隊イラク派遣の際など、日本では常に論争が巻き起こっていました。

    They worry that deepening U.S.-Japan security ties will make Japan a more likely target of anti-U.S. extremists, and increase the risk of becoming embroiled in a U.S.-led conflict. Some students worry the legislation could lead to a military draft as Japan’s population shrinks and ages.

    (反対派は、米国と日本の連帯が深まることによって、日本が反米過激主義者たちのターゲットになる可能性が高まることや、米国主導の紛争に巻きこまれる危険性が上がることを怖れている。日本の人口縮小や高齢化によって、徴兵制が施行される懸念を示す学生もいる。)

    via target=”_blank” Q&A: A look at Japan’s contentious security legislation

    マスコミによる世論調査では現在、反対派が支持派を大きく上回っています。また、これまでにない規模のデモが続いているということにも記事では触れられていました。

デモに関しては、特に若い世代の参加に関しても注目が集まっています。

一方、TIME 誌(@TIME)のコラムでは、日本の軍事費に対する指摘もありました。

First, it’s much easier to pass a new law than to build a new military. That’s especially true in Japan, which doesn’t have much more money to spend on defense. The country’s debt is already approaching 250% of GDP, and the International Monetary Fund warned this summer that it will rise to as much as three times the size of Japan’s economy within 15 years unless the government reins in spending. The country’s rapidly aging population demands progressively higher spending on pensions and health care. That’s why Japan’s Ministry of Defense is asking for a bump in military spending of just 2.2% for next year, a rise that owes more to increased costs imposed by a weaker yen than a desire to beat China, which is recording double-digit increases in military spending.

(新しい法律を通すことは、新しい軍隊を作ることよりもずっと簡単である。特に日本に関してはそうで、日本にはこれ以上防衛に使うお金があまりない。日本の借金はすでに GDP の250%に達しており、IMF はこの夏、日本政府が出費を制御しなければ15年以内に借金が日本経済の3倍に膨れ上がるだろうと警告した。日本で急速に進む高齢化によって、年金や医療保健費への出費は次第に増している。そのため、防衛省が来年の防衛費用に求めているのはわずか2.2%の増加だ。それも軍用費の増加が記録的な二桁上昇となっている中国を凌ごうという目的というよりは、円安によるコストの上昇に負う増加である。)

via Why the World Doesn’t Have to Fear Japan | TIME

安全保障関連法はその後25日の閣議で、今月30日に公布することが決められました。法律は公布から6ヶ月以内に施行されることになっています。

U.S. Navy and Japan Maritime Self-Defense Force sailors stand in formation.