「産休」「育休」は英語で何と言う?

先日女子会で Amazon に勤める子から、Amazon では産休が来年から最大20週に増えるという話を聞いた私。家に帰ってさっそくニュースを調べてみると、記事になっていました。

Amazon だけでなく、今年は IT 業界を中心にさまざま企業や組織が産休制度を改良しています。

これらの記事を読んでいると、”maternity leave” や “parental leave” という表現を何度も目にしました。

As you may have heard, the U.S. is one of the only countries in the world, along with Suriname and Papua New Guinea, that does not have mandatory paid parental leave.

via These Are the Companies With the Best Parental Leave Policies | Money.com

According to SHRM’s 2015 Employer Benefits Survey, 21% of employers offered some type of paid maternity leave in 2015, while 17% offered paid paternity and/or adoption leave—a notable increase from 2014, when just 12% of employers offered paid maternity, paternity, and adoption leave.

via These Are the Companies With the Best Parental Leave Policies | Money.com

ポイント

“maternity leave” は「産休」、”parental leave” は「育休」という意味です。

maternity leave | Macmillan Dictionary

maternity leave: time before and after the birth of a baby when a woman is allowed to be away from her job

(父親が取得する場合は “paternity leave” と言います。)

parental leave | Macmillan Dictionary

parental leave: a period of time away from work that is allowed to a parent to care for a baby or child

(”maternity leave” や “paternity leave” と厳密に区別されているわけではなく、全部同じような意味で使われることもあります。)

つまり前半は「聞いたことがあるかもしれませんが、アメリカはスリナムとパプアニューギニアに並び、育休取得を義務づけていない数少ない国の一つです」、そして後半は「アメリカ人材マネジメント協会が発表した2015年度の福利厚生調査によると、2015年は雇用主の21%が何らかの有給出産休暇を提供している一方、父親の育児休暇や養子受け入れに伴う有給育児休暇の提供は17%にとどまった。それでも昨年の12%から比べると大幅な増加となっている 」と書かれていたのでした。

補足

私はアメリカに来るまで、アメリカが実は「育休取得を義務づけていない国」ということを知らず、てっきり「欧米の産休・育休制度は日本よりも整っている」と思っていたので、この事実を知った時はけっこう衝撃的でした。

なんせ「産休・育休が最大20週取得可能に」と言っても約5ヶ月ですし、一般的に1年くらい産休・育休が取得できる日本から来た私からすると、「えっそれでも全然短くない!?」という感じです。

・・・産休・育休制度が整っているのは、欧米じゃなくて “欧” だけやないかーい!

すると NPR がこの夏に『Lots Of Other Countries Mandate Paid Leave. Why Not The U.S.? : It’s All Politics(多くの国は有給休暇を義務づけていのにアメリカではなぜ?–答えは全て政治問題)』という記事を出していたのを発見したので読んでみました。

President Obama likewise brought new attention to paid leave this year as well, when he pointed out in his State of the Union address that the U.S. is the only advanced economy that doesn’t mandate paid sick or maternity leave for its workers.

He was right about that — it’s true that most American workers are covered by the Family Medical Leave Act, which allows workers up to 12 weeks of leave per year to care for family members. But that leave is unpaid.

(オバマ大統領も今年の一般教書演説で、アメリカが先進国の中で唯一、有給の病気休暇や産休を義務づけていないと指摘し、有給休暇への関心を引き寄せた。

大統領の指摘は正しい。育児介護休業法により、ほとんどのアメリカ人は家族の世話や介護などで1年につき最大12週まで休暇が取得できることが認められているが、あくまで無給休暇である。)

via Lots Of Other Countries Mandate Paid Leave. Why Not The U.S.? : It’s All Politics : NPR

私の勤め先も全くこの通りで、私は来年、3ヶ月間産休・育休を取得したら職場に復帰する予定です。やはり無給休暇なので、今の間に有給休暇や病気休暇をできるだけ貯めておいて、産休・育休期間に充てることにしています・・・

私は仕事が好きで、専業主婦への憧れもないので、仕事を辞めることは考えていないのですが、この育休・産休制度はかなり私の中ではネックになっていて、「いつか子どもが欲しい」とは思いながらも、これまでずるずると出産を先延ばしにしていたところがありました。

そしていざ妊娠してみると、「そもそも何でアメリカはこうなってんねん」という疑問が浮上。記事を読み続けてみると、アメリカらしい理由が語られていました。

  1. アメリカの民主主義に対する考え方
  2. For a variety of reasons, Lipset argued, Americans have a different way of thinking about their democracy — the young American democracy was founded with values like individualism and equality of opportunity at its center. And unlike many European democracies, the U.S. has never been a monarchy or a feudal society — that means there’s less awareness of class divisions and less deference to the state in the U.S., Lipset writes.

    (〔政治学者のシーモア・M・〕リプセット氏は、アメリカ人はさまざまな理由によって、民主主義に対し独特の考え方を持っていると主張する。つまり、アメリカの民主主義は歴史が浅く、個人主義と機会均等を中心に価値が置かれていると言う。ヨーロッパの民主主義とは異なり、アメリカは君主制や封建社会に置かれたこともないため、階級区分への関心も薄く、国家に対する忠誠心も低いとリプセット氏は述べる。)

    via Lots OfOther Countries Mandate Paid Leave. Why Not The U.S.? : It’s All Politics : NPR

    リプセット氏によると、ヨーロッパのように労働党や労働組合がアメリカではそれほど力を持っていないのも、アメリカ人には同じ階級身分で団結しようという意識が低く、労働組合に属す価値をあまり見出さないところがあるからだそうです。アメリカン・ドリームという言葉にも象徴されるように、アメリカ人はどうも、団結するよりも自らのステータスを上げることによって環境改善を目指す傾向があるようです。

  3. 第二次世界大戦の影響
  4. Europe suffered both massive casualties and massive damage to its infrastructure, Milkman explains, and it needed to get more people into the workplace. That meant helping women get into work. Meanwhile, when the U.S. troops came home, it meant less of a need for women in the workplace.

    (〔ニューヨーク私立大学の社会学教授であるルース・〕ミルクマンは、ヨーロッパは大規模な犠牲とインフラ損害に苦しみ、多くの人材を職場に送り込む必要があったと説明する。したがって女性の雇用も支えられていたという。一方、アメリカでは米軍が帰国したことによって、職場における女性の必要性が下がってしまった。)

    via Lots Of Other Countries Mandate Paid Leave. Why Not The U.S.? : It’s All Politics : NPR

    これまで女性の雇用を支える必要が特になかったために、制度があまり整えられて来なかったという背景もあるんですね。

  5. 雇用側の反対
  6. One other force opposing paid leave is the business community. Trade groups like the National Federation of Independent Business and chambers of commerce at the state and national levels have repeatedly opposed paid-leave policies.

    (有給休暇に対抗するもう一つの圧力は、ビジネス・コミュニティである。全米独立企業連盟や、州や国家レベルの商業会議所などの業界団体は、繰り返し有給休暇制度に反対を示している。)

    via Lots Of Other Countries Mandate Paid Leave. Why Not The U.S.? : It’s All Politics : NPR

    彼らの反対理由は、人件費がかさむため。そして、企業や組織の柔軟性や融通性が失われる可能性があるため、とのこと。

というわけで、今のところは有給休暇制度については国ではなく完全に “企業・組織次第” となっていますが、それではなぜ IT 業界はこういう制度の充実にやたら力を入れているかというと、IT 業界は人材確保が大変だからだようです。

Tech companies often implement changes before businesses in other industries because recruiting for engineering and other talent is so competitive, said Glassdoor community expert Scott Dobroski.

(テック企業はしばしば他業界に先駆けて制度変更を実施しているが、それはエンジニアや他の優秀な人材のリクルートが極めて競合的であるため、と〔雇用者レビューサイト〕Glassdoor のコミュニティ・エキスパート、スコット・ドブロスキー氏は語る。)

via Amazon increases paid leave for new parents | The Seattle Times

こうして企業の制度改革がどんどんニュースになっていくことで、他の企業や組織にも少しずつ改革が浸透していって、全体的に福利厚生制度が充実していけば良いなと願います。

ちなみに、米労働省(Department of Labor)もこんなキャンペーンを展開していました。

来年の選挙に向けて、このあたりも要注目です。