『国際男女格差レポート』に関する動画で耳にした「empower」の意味とは?

日本で「セクハラ野次」が問題になっていたので、海外ニュースもいろいろチェックしてみたところ、英インディペンデント紙の記事『Sexist views dent Japan push for women’s rights – The Grand Island Independent: World』の以下のくだりに興味を持ちました。

More than half of all Japanese women attend college — almost on a par with men — but women are paid only 70 percent of men’s wages for equal work, according to government data. Japan ranks 105th in the Geneva-based World Economic Forum’s Global Gender Gap Report, which measures economic equality and political participation. Iceland was No. 1, and the U.S. 23rd.

Abe has proposed requiring that a third of all senior management in government agencies be women and has pressured the private sector to promote more women, including to board positions. Women make up only 3.9 percent of board members of listed Japanese companies, versus 12 percent in the U.S. and 18 percent in France, according to the Organization for Economic Cooperation and Development. Japan has never had a female head of state.

(政府のデータによると、日本女性の半数以上が大学に行っていて、男性とほぼ同等であるものの、同じ仕事においても女性は男性の70%の給料しか支払われていないという。ジュネーブにある世界経済フォーラムが男女の経済面における平等や政治への参加率などを測定してまとめた『国際男女格差レポート』では、日本は105位。一位はアイスランドで、アメリカは23位となっている。

阿部首相は、政府機関において上級管理職の3分の1を女性にし、民間企業においても役員の地位などに女性をもっと昇進させるよう提案した。経済開発協力機構〔OECD〕によると、上場企業の役員における女性の割合は、アメリカの12%やフランスの18%に対し、日本はわずか3.9%。女性の国家元首は日本ではまだ誕生していない。)

via Sexist views dent Japan push for women’s rights – The Grand Island Independent: World

特に私が興味を持ったのは、『国際男女格差レポート』です。さっそく世界経済フォーラム(World Economic Forum)のサイトで詳しく見たところ、動画があるのを発見。観てみると、”empower” という表現を2度耳にしました。

We are trying to understand how countries are empowering women economically, politically, how much access they have to health, what kind of education they are receiving.(0:09)

The world has closed 96% of health gaps, 93% of education gaps, 60% of economics participation gaps, and 21% of political empowerment gaps.(0:28)

ポイント

“empower” は「〜にする(en)」と「力(power)」がくっついた言葉であることから想像できるように、「力付ける」という意味で使われています。女性などに対しては、「社会的地位を向上させる」「権利を与える」という意味で使われることも多いです。

empower | Macmillan Dictionary

  1. [FORMAL] to give a person or organization the legal authority to do something
  2. to give someone more control over their life or more power to do something

(より自立させたり、何かをする力を与えたりするという意味なんですね。)

つまり一文目は、「私たちは国々が経済的に、そして政治的にどうやって女性の立場を向上させているか、女性がどれくらい健康にしているか、どのような教育を受けているかなどを理解しようとしています」、そして2文目は「世界では男女間の健康格差は96%、教育格差は93%、経済参加格差は60%、そして政治権利格差は21%に縮小されています」と書かれていたのでした。

補足

この国際男女格差レポートが実施されるのは、今年で8回目だそうです。136カ国を対象に、男女格差を縮小する能力について「経済的平等」「政治参加」「健康と生存」「教育機会」という 4つの分野でランキングを決定しています。

国際男女格差レポートの指数は、男女間での資源や機会の配分について、世界の人口 93%以上を代表する 136カ国
を評価しています。報告書は、次の 4つの分野における男女間の不平等格差の大きさを測定します:

• 経済活動への参加と機会 – 給与、参加レベル、および専門職での雇用
• 教育 – 初等教育や高等・専門教育への就学
• 政治への関与 – 政策決定機関への参画
• 健康と生存 – 寿命と男女比

via The Global Gender Gap Report 2013 | World Economic Forum(日本語版)

というわけで、国際男女格差レポート上位25位をまとめてみました。

順位 前年順位
1位 アイスランド(Iceland) 1位
2位 フィンランド(Finland) 2位
3位 ノルウェー(Norway) 3位
4位 スウェーデン(Sweden) 4位
5位 フィリピン(Philippines) 8位
6位 アイルランド(Ireland) 5位
7位 ニュージーランド(New Zealand) 6位
8位 デンマーク(Denmark) 7位
9位 スイス(Switzerland) 10位
10位 ニカラグア(Nicaragua) 9位
11位 ベルギー(Belgium) 12位
12位 ラトビア(Latvia) 15位
13位 オランダ(Netherlands) 11位
14位 ドイツ(Germany) 13位
15位 キューバ(Cuba) 19位
16位 レソト(Lesotho) 14位
17位 南アフリカ共和国(South Africa) 16位
18位 イギリス(United Kingdom) 18位
19位 オーストリア(Austria) 20位
20位 カナダ(Canada) 21位
21位 ルクセンブルグ(Luxembourg) 17位
22位 ブルンジ(Burundi) 24位
23位 アメリカ(United States) 22位
24位 オーストラリア(Australia) 25位
25位 エクアドル(Ecuador) 33位

上位4カ国が北欧というのが、さすが、という感じですが、驚いたのは5位のフィリピン。アジア諸国で最も男女格差の少ない国はフィリピンだったんですね!

フィリピンは、アジア・太平洋地域では最も目覚ましい進展を続けており、世界全体でも第5位となっています。フィリピンでの男女格差の改善は、レポートのサブ指数である、経済活動への参加と機会が向上したほか、政治参加に関しても高いスコアを示していることの表れです。

via The Global Gender Gap Report 2013 | World Economic Forum(日本語版)

そういえばフィリピンは、アロヨ大統領(2001-2010)など、女性の大統領もいましたね。

さらに気になったのは、アフリカの国が上位に多くランクインしていたこと。これには女性の労働力人口が増加したことが背景にあるそうです。

アフリカでは、レソト(第16位)、南アフリカ共和国(第17位)、ブルンジ(第22位)、モザンビーク(第26
位)が 30位までにランクインするなど、多くの国が比較的よい順位となっています。これには主に、女性の労働人口が増加したことが背景にあります。こうした経済活動を通じて、女性たちは収入を得るとともに経済的な意思決定も行えるようになってきたものの、技術を必要としない、低賃金の経済部門で働く女性は数多くいます。

via The Global Gender Gap Report 2013 | World Economic Forum(日本語版)

その他、上位の国では、経済参加率や政治参加率の高い国が目立ちました。

レポートの指数により、4つのグループが形成されていることがわかります。まず、女性の健康および教育に資金投入を行ってきたことで、現在は経済及び政治参加の分野でその成果が見られるグループ。次に、これらの分野への投資を行っているものの、社会的あるいは制度的な障害によって、さらなる人材のプールを利用することができない状態にある国々のグループ。3番目は、教育および健康の面で著しい格差があるために、女性が、技術を必要としない職場の労働力として重要な役割を果たしていながら、その才能を遺憾なく発揮することができない国々のグループ。そして、教育、経済、政治における格差が著しい国々のグループです。

via The Global Gender Gap Report 2013 | World Economic Forum(日本語版)

日本は、健康面や教育面ではおそらく世界トップレベルに入ってもおかしくないくらい男女格差がないはずなのですが、それでも105位ということは、残りの経済参加率や政治参加率がいかに低いかがわかります。まさに2番目のグループですね。

「セクハラ野次」に関する海外メディアの記事(といっても主に日英)でも、日本の経済参加率や政治参加率の低さが指摘されていました。

The composition of the Tokyo assembly reflects the under-representation of women in positions of influence in Japan. Just 27 of the chamber’s 127 representatives are female. All but 78 of the 772 seats in the upper and lower houses of parliament are occupied by men.

(東京都議会の構成を見ても、日本で影響を与えるポジションに女性があまりいないことが反映されている。127名の議員のうち、女性はわずか27名。上院・下院合わせて772議席のうち、78議席以外は男性が占めている。)

via Tokyo assemblywoman subjected to sexist abuse from other members | World news | theguardian.com

The incident is especially embarrassing considering that the heckles were coming from members of Prime Minister Shinzo Abe’s LDP party, since Abe has himself been vocal about making Japan a better place for working women. The Prime Minister wrote in the Wall Street Journal last year that he wants to boost women’s participation in the workforce to 73% by 2020, and close the wage gap (Japanese women make 30% less than men).

(安倍晋三首相率いる自民党員が野次を飛ばしたことを考慮すると、なお一層この事件はきまりが悪い。阿部首相自ら、日本を働く女性にとって居心地の良い国にすると主張してきたからだ。首相は昨年、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄せた記事で、女性の職場参加率を2020年までに73%に引き上げ、賃金格差をなくしたいと記述していた。〔日本人女性は男性よりも30%給料が低い。〕/ TIME 紙)

via Japan Politician Sorry for Heckling Female Colleague | TIME

今回の事件を機に、日本でも経済面や政治面における男女格差の見直しが進めばいいなと思います。