ローマ法王が仲介役!?アメリカとキューバの国交正常化交渉の記事で目にした「embargo」の意味とは?

今週17日(水)、アメリカとキューバが国交正常化に向けて動き始めました。

具体的にはキューバとの間で国交正常化交渉を直ちに開始するほか、数か月以内に、キューバの首都ハバナにアメリカ大使館を設置するということです。
さらにキューバへの渡航や送金を緩和するとともに、原則として禁止してきたアメリカ製品の輸出を建築資材や携帯電話など一部について認めるとしています。
また、オバマ大統領はキューバのカストロ国家評議会議長と前日、電話で会談したことを明らかにするとともに、キューバ人の工作員3人を解放する一方、キューバで投獄されていたアメリカ人ら2人が釈放されたことを発表しました。
アメリカはキューバ革命などを受けて1961年に国交を断絶し、経済制裁を科すなど対立関係にありました。

via 米 キューバと国交正常化交渉開始へ NHKニュース

このニュースに関して私が特に興味深いと思ったのは、アメリカとキューバの仲介にフランシスコ法王(Pope Francis)が関わっていたということ。

ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times @nytimes)に『Pope Francis Is Credited With a Crucial Role in U.S.-Cuba Agreement』という記事が出ていたので、読んでみました。すると、”embargo” という単語が何度も出てきました。

Although the Vatican has had problems with Havana, it steadfastly opposes the American embargo and has kept diplomatic lines open.

via Pope Francis Is Credited With a Crucial Role in U.S.-Cuba Agreement – NYTimes.com

The cease of the embargo will encourage and revitalize the island’s perspectives, as well as its economy.

via Pope Francis Is Credited With a Crucial Role in U.S.-Cuba Agreement – NYTimes.com

ポイント

“embargo” は「通商禁止令」という意味です。

embargo | Macmillan Dictionary

  1. government order preventing trade with another country
  2. a government order preventing a piece of information from being published until a particular time

(2. のように情報に使われると、「(一定期間の)差し止め」という意味にもなります。)

つまり一文目は「バチカンはハバナとの間に問題を抱えていたが、断乎としてアメリカの通商禁止令に反対し、外交をオープンにしていた」、そして2文目は「通商禁止令の停止は国や国の経済を後押し、活性化させるだろう」となっていたのでした。

補足

というわけで、ローマ法王がどのように関わっていたのか、記事を追ってみたいと思います。

Francis is being credited for helping bridge the divide by first sending letters to President Obama and President Raúl Castro of Cuba, and then having the Vatican host a diplomatic meeting between the two sides in October.

(フランシスコ法皇はまずオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長へ書簡を送り、10月には両国の外交会談をバチカンで設け、互いの溝を埋めるために一役買ったと言われている。)

via Pope Francis Is Credited With a Crucial Role in U.S.-Cuba Agreement – NYTimes.com

手紙の内容は詳しくは明らかになっていませんが、キューバで拘束されていたアメリカ人、アラン・グロス(Alan P. Gross)氏を含む政治犯の解放や、関係の見直しを促したようです。

For Francis, the breakthrough on Wednesday burnished his efforts to reposition the Vatican as a broker in global diplomacy. He has already waded into Middle East protests, hosting a prayer summit meeting between the Israeli and Palestinian presidents that bore few tangible results. Soon afterward, Israel began its military assault against Hamas, the Palestinian militant group, in Gaza.

(水曜の成功により、国際外交の仲介役としての立ち位置を目指すフランシスコ法皇の努力に磨きがかかった。これまでにも中東での抗議活動に干渉し、イスラエルとパレスチナの両トップを招いて平和の祈りを行ったが、あまり目に見える成果には至らなかった。イスラエルはその後まもなく、ガザを拠点にするパレスチナの軍事組織ハマスに対して軍事攻撃を開始している。)

via Pope Francis Is Credited With a Crucial Role in U.S.-Cuba Agreement – NYTimes.com

バチカンは1935年にキューバと国交を樹立。当時のフィデル・カストロ国家評議会議長(Fidel Castro)が1996年にバチカンを訪問し、ヨハネ・パウロ2世(Pope John Paul II)と面会しています。その2年後には、今度はヨハネ・パウロ2世がキューバを訪問し、通商禁止令を非難していました。後継者であるベネディクト16世(Pope Benedict XVI)も、2012年にキューバを訪問しています。

After he became pope in 2013, Francis was expected to revitalize the church in the Southern Hemisphere. But his background has also helped the Vatican reposition itself as an independent actor in diplomacy, less tethered to European or American worldviews than in the past.

(2013年の就任以来、フランシスコ法皇は南半球の教会活性化に対する貢献を期待されていたが、アルゼンチン出身というバックグラウンドを持ち、これまでよりもヨーロッパやアメリカの世界観との結びつきが薄いことで、外交において独立した役割を得つつある。)

via Pope Francis Is Credited With a Crucial Role in U.S.-Cuba Agreement – NYTimes.com

フランシスコ法皇は、歴代法皇で初めての中南米出身者であるだけでなく、Twitter にもローマ法王として初めて参加。

流行の自撮り(selfie)にも積極的です。

さらには雑誌ローリング・ストーンズ(The Rolling Stone)の表紙を飾り、TIME 誌(@TIME)の選ぶ『パーソン・オブ・ザ・イヤー(Person of the Year)』にも昨年選出されました。


歴史的発表があった17日(水)は、奇しくもフランシスコ法皇の誕生日。78歳を迎えたフランシスコ法王の快進撃は続きます。