全米初!?ゲーム中毒者のためのリハビリ施設について書かれた記事で目にした「channel」の意味とは?

最近ちょくちょくジェガーさんの記事を紹介していますが、またまたジェガーさんが面白い記事を書いたので、ご紹介したいと思います。

ジェガーさんはテレビゲームに関する記事をよく書いていて、今回は全米初となるテレビゲーム中毒者のためのリハビリ施設を訪れたそう。

さっそく記事を読んでみると、”channel” という単語を目にしました。

“Testosterone is in their systems! They need to channel that into something useful.”

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

Maybe there is something more concerning in the addictive cycle of gaming—any type of video game, violent or not—which channels the addict ever further away from nurturing human contact, love, and social ambition.

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

ポイント

前者と後者の “channel” は、それぞれ少し違う意味で使われています。

channel | Macmillan Dictionary

  1. to use money or supplies for a particular purpose
  2. to use your energy, ability, feelings, or ideas for a particular purpose
  3. to make something follow a particular system
  4. [USUALLY PASSIVE] to send something such as water along a passage
  5. to allow the spirit of a dead person to speak using your voice, as some people claim to be able to do

(もともとは 4. のような「水路を通す」という意味でしたが、そこから派生して 3. の意味ではマーケティング分野でも良く使われています。名詞として使われるとテレビの「チャンネル」という意味もあります!)

つまり、一文目は 2. の意味で「テストステロン〔男性の代表的な性ホルモン〕が体の中にありますから!それを何か有効活用する必要があるんです」、二文目は 3. の意味で「ジャンルに関係なくゲームの中毒的サイクルによって人間の触れ合いや愛、社会的野心の育成が阻害されることに、より深刻な問題があるようだ」と書かれていたのでした。

補足

というわけで、今回のジェガーさんの記事は実況中継風になっています。

I’m somewhere in the hushed hinterlands beyond Bellevue and Redmond, Washington, the hometowns of Nintendo of America, Microsoft Game Studios, Valve, Sony Online Entertainment (Sony’s MMO studio), Bungie, Sucker Punch, and perhaps dozens of other game developers whose creative works enthrall millions.

(今私は、ワシントン州のベルビュー市とレドモンド市を越えたあたりの静かな奥地にやってきています。ワシントン州と言えばそう、任天堂アメリカ本社やマイクロソフト・ゲームスタジオ、バルブ、ソニー・オンライン・エンターテインメント〔ソニーの MMO スタジオ〕、バンジー、サッカーパンチ、その他創造的な作品で多くの人を魅了する大勢のゲーム開発者たちのお膝元です。)

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

そこに、テレビゲーム中毒者やインターネット中毒者ためのリハビリ施設『reSTART』があります。患者は全員男性。かつては女性がいたこともあったみたいですが、現在は女性の受け入れはしていません。

“When and if we expand, we may have something just for women,” she went on. But with only three bedrooms and up to six patients at a time, the way lodging would need to be segregated at reSTART would prove problematic, Cash said. And in any case, she said, most of her prospective patients are male.

(「もし施設を拡大するなら、その時は女性のための施設も考えるかもしれません」と彼女は続ける。しかし、ベッドルームが3部屋で、一度に最高6人の患者を受け入れる現状では、reSTART で男女別にすることは問題があるとキャッシュは言う。キャッシュによると、いずれにせよ見込み患者のほとんどは男性だそうだ。)

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

この施設に来る患者の多くは、テレビゲーム中毒であるともにポルノ中毒でもあるそうです。コンピュータを通してゲームにもポルノにも両方アクセスできるという理由はもちろん、両方脳を刺激して影響を与えるという理由からも関連性があるとのこと。

Cash, a psychologist who co-authored the book Video Games & Your Kids: How Parents Stay in Control, has even taken a term, “intimacy disorder,” originally used for sex addicts, and applied it to digital media addicts. She argues that someone with intimacy disorder, in the context of digital media addiction, has either not developed or has lost the social skills needed to engage in satisfying real-life social interactions.

(心理学者で『Video Games & Your Kids: How Parents Stay in Control』の共同著者でもあるキャッシュは、デジタルメディア中毒者に対し、もともとセックス中毒者に使われていた “intimacy disorder(親密性障害)” という言葉すらあてはめる。彼女が言うには、デジタルメディア障害において親密性障害のある人は、満足の行く実生活での社会的交流に必要な社交スキルが発達していないか、または失われているという。)

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

キャッシュさんいはく、人が一緒にいる時は、神経系統に影響を与える物質が脳の辺縁領域(imbic area)から発散され、感情的あるいは物理的に自己を制御するそう。

“It’s my theory that limbic resonance doesn’t occur when you are not face-to-face with somebody. That it requires, perhaps, the stimulation of our senses,” she explained. “We have to be able to see and hear and touch and feel and smell each other for that release to occur. But what happens is that people seek to satisfy their social needs online.”

(「これは私の考えですが、誰かと対面しない時にはこの “limbic resonance(脳の辺縁領域における共鳴)” は起こりません。というのは、それがおそらく感覚の刺激を必要とするからです」と彼女は説明する。「物質が発散されるためには、私たちはお互いに見て、聞いて、触って、感じて、におうことができる必要があります。でも実際には、人々は社会的欲求をオンラインで満たすことを求めているのです。」)

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

オンラインで社会的欲求を満たそうとすることは、栄養のないジャンクフードを食べていることと同じだと言えるそう。

This seems to be why internet comments descend into blame and insults so immediately, in a way that rarely happens in face-to-face interactions. Limbic resonance, indeed, seems to be failing to fully engage.

(このことは、対面交流ではめったに起こらない形でインターネット上のコメントがあっという間に非難や侮辱に発展していくことの説明にもなりそうだ。本当に、”limbic resonance” が完全に機能していないように見える。)

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

現在、施設には5人の患者がいて、ジェガーさんはそのうちの3人にインタビュー(残り2人は取材拒否)。どの人も中毒になる前に何かしら大きな社会的変化を経験していたそう。たとえばコールさんという男性は、友人がインターネットでいじめにあって自殺。アンドリューさんはかつてフットボールチームのキャプテンで、高校時代は彼女が途切れたことがなかったそうですが、大学に入って孤独を経験しゲームに溺れていきました。

Studies have shown that, at least in men, video games can double dopamine levels in the reward system—which is similar to sex, incidentally. Why men are more affected by video games is a subject of some speculation, but Professor Allan Reiss, who led a study at Stanford investigating gender differences in video game’s effect on our reward system (the mesocorticolimbic system) speculated that males tend to be more intrinsically territorial.

(研究結果によると、少なくとも男性はテレビゲームによって脳の報酬系のドーパミン値が倍になると言われていて、それは偶然にも性行為と似ているという。どうして男性の方がテレビゲームの影響を受けやすいかについてはまだ憶測を呼んでいるが、スタンフォード大学でテレビゲームが報酬系〔中脳皮質系経路〕に与える影響の男女の違いについて調査をしているアラン・リース教授によると、男性の方が本質的に縄張り意識が強い傾向があるそうだ。)

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

男性の間で人気があるゲームのジャンルも、縄張りや侵略系のゲームが多いそうです。

また、テレビゲームと同様、オンライン上のポルノ消費も若い男性に影響を与えます。テレビゲームやオンライン上のポルノの途切れることのない目新しさが、ドーパミン値を高くするとのこと。それを心理学者のフィリップ・ジンバルドー(Philip Zimbardo)氏は「覚醒中毒(arousal addictions)」と呼んでいます。たとえば、ドラッグ中毒の場合は「もっと欲しい」となりますが、覚醒中毒の場合は「別のものが欲しい」となるそう。

Video game addiction has not yet been recognized by the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM), so insurance doesn’t cover it. So for now, it is something only the wealthy, or their offspring, can see about getting treated.

(テレビゲーム中毒は、『精神障害の診断と統計マニュアル〔DSM〕』ではまだ認知されていないため、保険が効きません。なので現在のところは、裕福な人たち、あるいはその子孫たちのみが治療を受けられる状態になっています。)

via A Day at the First Video Game Rehab Clinic in the US | Motherboard

というわけで、今回の記事もめちゃくちゃ長かったのですが、めちゃくちゃ興味深いです。

世間での反響も大きく、なんとこの記事、TIME 誌で「注目記事」として取り上げられました!
TIME-game rehab

さらに、ゲームやサブカルについて紹介する『Kotaku』というサイトも、ジェガーさんの記事に対する記事を公開。
Kotaku-game rehab
さらには ABC News の夜の看板番組『Nightline』も、ジェガーさんのこの記事をきっかけに同施設に取材を申し込んだそうです・・・!

ジェガーさん、めっちゃバズってます。